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Pediatricsの特集

乳児の栄養と長期アウトカム:乳児栄養研究IIの6年フォローアップ結果
Infant Feeding and Long-Term Outcomes: Results From the Year 6 Follow-Up of Children in the Infant Feeding Practices Study II
Pediatrics September 2014, VOLUME 134 / ISSUE Supplement 1
http://pediatrics.aappublications.org/content/134/Supplement_1.toc
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FDAとCDCが資金提供した乳児栄養縦断研究IIの、子どもが6才になった時点でのフォローアップ研究データを発表した。
この研究では妊娠第三期から12ヶ月までは毎月フォローアップしていて赤ちゃんの栄養について正確なデータを得ている。一連の研究結果は
・母乳を与えた期間が長く母乳以外の食品や飲料の導入が遅いことと関連したのは耳・喉・鼻の感染症の少なさで、呼吸器や尿路の感染には関連がなかった
・母乳のみを与えることや離乳食の導入時期は6才時点での食物アレルギーと関連しない
・乳児の頃から砂糖入り飲料を与えられた子どもの肥満率は高い
・母乳を与える期間の長さは情動的、心理社会的問題に対して保護作用があるようだったが他の交絡要因を調整すると統計学的有意差はなくなった
・母乳は母親の体重に影響なかったが、妊娠前に肥満だった女性では母乳を与えることで与えない場合より体重減
・母乳を与える期間の長さは6才の時の食事内容と幾分関連
・乳児の時に砂糖入り飲料を飲んでいると6才の時に砂糖入り飲料を飲む率が高い
・乳児期に野菜果物をあまり食べない場合は6才でもあまり食べないことが多い。ただしこの関連は子どもの好みなのか家庭環境なのかわからない
・母乳でもミルクでも子どもにボトルを使って与える場合、母親は最後まで飲むようコントロールする傾向があり、6才になっても食器を空にするよう求める傾向がある
詳細データはCDCのサイトで公開されている
Infant Feeding Practices Study II and Its Year Six Follow-Up
http://www.cdc.gov/ifps/

(母乳のメリットは宣伝されているほど大きくはない。もちろん可能な限り母乳を与えるのがよいことに変わりはない。赤ちゃんに甘い飲料を与える必要はない。最後まで食べることを強制しないように、と言っている。自分で満腹感をコントロールできるようにするには強制しないほうがいいとのこと。やってしまう気持ちはわかる・・容器を空っぽにするほうが気持ちがいいんだよね。でも子育ては親が満足するためにやるものではないから。)