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IARCは胃がんの多い国に予防対策をとるよう呼びかける

IARC calls on countries with high stomach cancer burden to act to prevent the disease France, 24 September 2014
http://www.iarc.fr/en/media-centre/pr/2014/pdfs/pr227_E.pdf
IARCの新しい報告書は胃がんの多い国に、国のがん対策計画に胃がんを含めてより多くのリソースを配分するよう強く薦める。
IARCの専門委員会はピロリ菌の除菌による胃がん予防の根拠を評価した。
報告書「Helicobacter pylori Eradication as a Strategy for Preventing Gastric Cancer」はIARCのウェブサイトから無料でダウンロードでき、その要約はJAMAに発表された。
胃がんは世界的にはがんによる死亡の3番目だがこれまであまり注目されてこなかった。我々は主要な原因がピロリ菌H. pyloriであり、抗生物質で治療できることを知っている。ハイリスク集団のスクリーニングと治療で胃がんを減らすことができるだろう。
無視されてきたがん
胃がんは特に中から低所得国でよく見られ、最も貧困な人々で多いが、予防のための公衆衛生対策は僅かな例外を除きほとんど行われていない。2012年は世界で100万人が新たに発症している。特に東アジアに多く半分は中国である。ラテンアメリカや東欧でも比較的高率が報告されている。
胃がんは進行してから発見されることが多く多くの地域で生存率が低い。このことががんによる死亡を3位にしている。
胃がん予防戦略としてのピロリ菌除菌
H. pyloriはIARCによりヒト発がん性があるグループ1に分類されていて胃がんの80%以上の原因と考えられている。いくつかの試験でH. pylori治療により胃がんの予防が示されているが不確実性は残る。専門委員会はH. pyloriの集団スクリーニングと治療の導入を検討すべきと薦めている
報告書
Helicobacter pylori Eradication as a Strategy for Preventing Gastric Cancer
http://www.iarc.fr/en/publications/pdfs-online/wrk/wrk8/index.php

JAMA
胃がん予防
Prevention of Gastric Cancer
Rolando Herrero et al.,
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1906623

(これはこれとして、何故胃がんの研究で日本がリードできないのかがとても不思議。胃検診の導入とそれなりの成果のせいでそれ以外の対策を怠った、あるいは世界のことなんて関心がないようにしかみえない。そして相変わらず胃がん大国のまま。高塩分のものだけを肴に酒をがぶ飲みするのをかっこいいことみたいに言うのやめればいいのに)