食品安全情報blog過去記事

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その他

  • マムズネットと「根拠を尋ねよう」

Sense about science
Mumsnet & Ask for Evidence
Posted by Chris Peters on 29 September 2014
http://www.senseaboutscience.org/blog.php/105/mumsnet-amp-ask-for-evidence
私たちがすべきことやすべきでないことについてあまりにもたくさんの異なる主張がある−自閉症児の育てかた、認知症対策、廃棄物の環境影響を減らす、肥満を減らすには、など。この食事法をすべき、学校給食を変え、携帯電話はできるだけ使わない、プラスチックは避けるべきなのか?混乱している?いらいらする?
この手の主張には信頼できる根拠に基づいたものもあるが多くはそうではない。間違った情報に踊らされたり効果のない製品を買わされたりしたいと思う人はいない。あなたが間違った情報から身を守るためにできることがある−根拠を尋ねることでその主張の背景にある根拠についてたくさんの人がもっと知ることができる。
英国最大の保護者ネットワークであるマムズネットが今週の注目キャンペーンとして「根拠を尋ねよう」を取り上げた理由はこれである。
マムズネットの共同創設者で会長のJustine Robertsはこう述べている:
「親や妊娠中の人たちは、ホルモンが不安定で最も押し売りに弱い時期に、しばしば矛盾するアドバイスや製品の宣伝に攻め立てられている。同様に妊娠したいのにできないことは女性やそのパートナーにとって心の痛むことであり、待望の赤ちゃんを妊娠するために根拠のない方法を試したくなる。これらの攻撃に対応する方法は根拠を尋ねることである。このキャンペーンは、ものごとをそのまま受け容れるのではなく、根拠を尋ねる必要を要約したものである」

  • QuackwatchにGcMAFによる免疫療法が取り上げられている。

Consumer Health Digest #14-36, September 28, 2014
http://www.ncahf.org/digest14/index.html
これまで何度も警告されているが最新の論文はこれ
Yamamotoらによる「転移性直腸結腸がんのビタミンD結合タンパク質由来マクロファージ活性化GcMAFによる免疫療法」の矛盾点と信頼性への疑問
Inconsistencies and questionable reliability of the publication "Imunotherapy of metastatic colorectal cancer with vitamin D-binding protein-derived macrophages-activating, GcMAF" by Yamamoto et al
Ugarte A and others.
Cancer Immunology, Immunotherapy, published online, July 24, 2014
http://www.cancertreatmentwatch.org/q/gcmaf.pdf
(Dr. Nobuto Yamamoto
わりと新しい、日本人による、がん患者を食い物にするインチキ療法、のよう
免疫療法を謳う詐欺は別に新しくないけれど。
http://www.saisei-mirai.or.jp/gan/macrophage.html
徳島大学とか神戸大学がお墨付き与えてるのか
http://www.tokushima-u.ac.jp/_files/00139793/Vol05-P3_4.pdf
宣伝に使ってるnature Outlookもお金出すと載せてくれるやつ。
高濃度ビタミンCとかマイタケエキスとかアミグダリンとか・・・)

  • 乳児期の広域抗生物質と子どもの肥満についての専門家の反応

SMC UK
expert reaction to broad-spectrum antibiotics in infants and obesity in children
September 29, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-broad-spectrum-antibiotics-in-infants-and-obesity-in-children/
JAMA Paediatricsに発表された論文が乳児期の広域抗生物質治療と子どもが大きくなってからの肥満との関連を報告した。抗生物質の累積使用量が多いと影響も大きい。著者はより狭い範囲の抗生物質を使うことで影響が小さくなることを示唆している。
王立薬学会の抗生物質相談薬剤師Kieran Hand博士
この研究は肥満の原因であるとは証明できないが、何度も広域抗生物質を投与された子どもたちに肥満リスクが高いということは印象的である。動物実験の結果からは肥満と抗生物質は関連がありそうだ。感染しないウイルス性疾患に抗生物質を投与すべきではないということを再確認する。
Southampton大学ヒト栄養リーダーGraham Burdge博士
この研究は子どもの肥満と乳児期の抗生物質治療との関連をしらべたものだが、研究デザインから因果関係を調べることはできない。著者らは仮説と事実を注意深く区別している。現時点で腸内細菌への抗生物質の影響と肥満との因果関係を支持する直接的証拠はない。しかしこの研究は乳児期の抗生物質と肥満になりやすさについて何かを示唆する少数の他の研究に付け加わる。重要なことはこの研究は子どもたちの食生活や社会経済状態評価を含まないということである。著者らはこの限界を承知しているが、これらを排除したことでこの研究の知見は混乱する。保護者がこの研究をもとに子どもに抗生物質を与えないことにする懸念がある。子どもの肥満にとって食べ過ぎと運動不足は重要な要因である。
一般生物学会長Nigel Brown教授
この研究は人生の初期に抗生物質を使用することが肥満になんらかの役割を果たすという根拠をさらに増やすものである。小児肥満にとっては抗生物質使用はほんの一要因でしかないが、この研究は適切な抗生物質を選ぶための迅速診断法の重要性を強調する。そのような検査法が無ければ、子どもを守るための広域抗生物質は使われ続ける
University College London 病院肥満医学Nick Finer,教授この研究はこれまでの知見を確認するものである。用量依存性が示唆されている。この研究は因果関係を証明できないが腸内細菌の変化と肥満についての他の研究結果とあう。命に関わる重大な感染症への抗生物質投与は差し控えるべきではないが、こどもへの不必要な抗生物質使用を戒めるさらなる根拠となるだろう。
(病気がちな赤ちゃんは運動できないかもしれないし親も心配で一杯食べさせたくなるというのもあるかも)

  • 慢性の、がんではない痛みへのオピオイド 米国神経学会方針説明書

Opioids for chronic noncancer pain
A position paper of the American Academy of Neurology
Gary M. Franklin, MD, MPH
Neurology September 30, 2014 vol. 83 no. 14 1277-1284
http://www.neurology.org/content/83/14/1277
オピオイド処方薬に関連した死亡や疾患が増加していることを受け、患者の安全性についての小委員会が科学や政策のレビューを行った。35-54才のハイリスクグループではオピオイドによる死亡率が銃や交通事故より多い。オピオイドには短期の鎮痛作用についての根拠はあるが、依存や過剰使用の重大なリスクがない鎮痛の維持や長期にわたる機能改善についてのしっかりした根拠はない。
リスク/ベネフィットバランスが悪くいくつか提言を行っている
(一方日本ではやたらと痛みを我慢するのが美徳とされ・・)

  • 子どもの喘息がガスレンジの換気不足と関連、OSUの研究

Childhood asthma linked to lack of ventilation for gas stoves, OSU study shows
29-Sep-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-09/osu-cal092914.php
子どもがいる家の保護者はガスレンジで料理をする場合には換気すること、とオレゴン州立大学の研究者らが薦める。新しい研究でガスキッチンストーブの換気と喘息、喘息様症状、慢性気管支炎の関連が示された。
換気無しでガスレンジを使っている家の喘息や喘鳴頻度が換気している家より高い。換気無しでのガスレンジの使用が呼吸器の問題を引き起こすとは言えないが関連は明確である。
Environmental Healthに発表。

Several Eastern Ontario teens hospitalized after eating poisonous plant
Joanne Schnurr, CTV Ottawa
Published Monday, September 29, 2014
http://ottawa.ctvnews.ca/several-eastern-ontario-teens-hospitalized-after-eating-poisonous-plant-1.2030239
先週、身近に自生する有毒植物を食べた数人のティーンエージャーが入院した。保健当局は死亡を含む健康リスクについて生徒たちに警告している。通称Jimson Weed (チョウセン朝顔)または Devil's Seed(直訳すると悪魔の実)と呼ばれる。
オンタリオ保健局のDr. Paul Roumeliotisは、「このような事例は初めてではない。子どもたちはこの植物を天然の興奮剤とみなしている。残念ながら心臓、腎臓に悪影響があり昏睡や痙攣に至ることがある。天然だから安全ということはない」と述べている。
(写真は実なのだが日本だと根をゴボウと間違えて、みたいな話が多いような。この植物は全体が有毒なのでどこでもダメではあるけれど)