食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • メントールは脳のニコチン受容性を増す

Menthol makes brains more receptive to nicotine
Monday, December 8, 2014 - 12:15pm
http://news.sciencemag.org/sifter/2014/12/menthol-makes-brains-more-receptive-to-nicotine
New Scientistの報告によるとメントールはマウスの脳を化学的に変えてニコチン受容性を増やす。メントールのみでもニコチンとメントールを一緒に与えた場合でも脳のニコチン受容体を増やす、特に報酬とモチベーションに関連する部位で。もしヒトでも同じことがおこるのであれば何故メントールタバコの喫煙者がやめるのに苦労するのかを説明できるかもしれない。

  • 有権者は消費者より食品の安全性に多く支払う傾向がある

Voters more inclined than consumers to pay for food safety
8-Dec-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-12/ps-vmi120814.php
Food Policyに発表された新しい研究によると食品関連疾患リスクを下げるために有権者は消費者より多く支払うが、女性の消費者は男性の消費者より多く支払う。
研究者らは二つの調査を行っている。一つは近所のレストランが食品由来疾患リスクを下げたらどれだけ多く払っても良いかを聞いた。もう一つはリスクを減らしてレストランの値段を上げる結果になる規制に対して賛成するか反対するかを聞いた。全体で864人に調査し、価格の上昇は政策による場合の方が許容されやすい可能性があることを示した。
(消費者というのは自分のことだけ考えれば良いという役割イメージなのかな。責任者として答えてもらうと結果が変わるだろう)

Hookah Smoking Increases Risk of Subsequent Cigarette Smoking Among Adolescents and Young Adults
December 08, 2014
http://cancer.dartmouth.edu/about_us/newsdetail/72447/
JAMA Pediatricsにオンライン発表された2541人の青少年やヤングアダルトを2年フォローした研究によると、水タバコを吸っているが喫煙していなかった人たちは2年後にはタバコを吸うリスクが高い

  • 喫煙はアルコール濫用治療を妨害するか?

Does smoking hamper treatment for alcohol abuse?
Release Date: December 8, 2014
http://www.buffalo.edu/news/releases/2014/12/015.html
アルコール依存症治療は喫煙者のほうが成功しない

Asbestos: An ongoing challenge to global health
8-Dec-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-12/ehs-aao120814.php
Annals of Global Healthに発表された総説。米国でのアスベスト使用のピークは1972年、健康リスクが明らかになって50ヶ国以上で使用が禁止されたがインドや米国などでは禁止されてはいない。2012年の世界のアスベストの使用はインド25%、中国26%、ブラジル9%、インドネシアとロシア各8%など

  • 健康女性のがん、心血管系疾患、消化器出血複合リスクへの隔日アスピリン治療の影響の個別予測

Individualised prediction of alternate-day aspirin treatment effects on the combined risk of cancer, cardiovascular disease and gastrointestinal bleeding in healthy women
Published Online First 4 December 2014
Rob C M van Kruijsdijk et al.,
http://heart.bmj.com/content/early/2014/09/30/heartjnl-2014-306342
100mgのアスピリンを隔日投与した女性健康研究27939人の長期フォローアップ。
アスピリンは直腸結腸がん、CVD、一部の非直腸結腸がんリスクの僅かな低下に関連するが、アスピリンによる出血を考慮すると多くの女性にとっては負の影響のほうが大きい。
エディトリアル
一次予防のための女性でのアスピリン使用
Aspirin use in women for primary prevention
Marco M Ferrario, Giovanni Veronesi
Heart doi:10.1136/heartjnl-2014-306770
http://heart.bmj.com/content/early/2014/11/26/heartjnl-2014-306770.full
現在一次予防のための抗血小板療法、特に女性の、についてはコンセンサスはない。欧州ガイドラインでは抗血小板療法は薦めないとし、米国心臓協会は65才以上の女性の低用量アスピリン治療を支持している。FDAは今年初めに「心臓発作や脳卒中の一次予防として一般的なアスピリンの使用を支持する根拠はない」としている。利益と有害影響のバランスを推定する試みが行われてきてKruijsdijkらの報告も最新のひとつである。結論としてはアスピリン治療は薦めないとしている