食品安全情報blog過去記事

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健康に関する知見のメディアの誇張報道は悪いプレスリリースが原因

SMC
Bad media releases to blame for media’s exaggerated reporting of health findings – experts respond
December 10th, 2014.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2014/12/10/bad-media-releases-to-blame-for-medias-exaggerated-reporting-of-health-findings-experts-respond/
本日BMJに発表された英国とオーストラリアの科学者による研究によると、多くの場合、大手メディアの誇張した健康に関する主張の原因は、構成の悪い大学のプレスリリースにある
彼らは、ピアレビューされた雑誌の論文に比べると、大学のプレスリリースの40%には誇張した助言があり、33%には誇張した因果関係の主張があり36%には動物実験を過大にヒトに当てはめていることを発見した。
Dr Ben Goldacreによるコメントではプレスリリースは科学的出版の一部として扱うべきで、宣伝には引用文献をつけて著者が責任を持つべきと示唆している。
ニュージーランドSMCのPeter Griffin
Goldacreが言うように、これは周辺的な問題ではない。健康に関する研究のプレスリリースはメディア報道に影響し、メディア報道は人々の行動に影響する。忙しいジャーナリストはニュースを作るのにますますプレスリリースに頼り、プレスリリース担当者は成果を誇張し大声で叫んだほうがニュースの見出しになりやすい。この問題への答えは研究者が広報担当者ともっと積極的に関わることだ。
オーストラリアSMCのSusannah Eliott博士
この研究は英国での大学のプレスリリースとメディア報道の関係をしらべたものだがオーストラリアにも幾分違うが同様の問題があるだろう。オーストラリアには英国のようなタブロイド紙はないが、オーストラリアのプレスリリースに改良の余地があるのは疑いがない。科学者が、PR部門のやることは関係ないと考えずに誤解や過剰宣伝を見張るべきである。
メルボルンの科学コミュニケーション機関Science in PublicのクリエイティブディレクターNiall Byrne
この研究は正しいように思える。メディアが誇大報道をしている時、プレスリリースを見るのだが間違っているのはそこである。プレスリリースで誇大宣伝をしないことが重要である。プレスリリースでは研究の限界も示すべきである。
12年科学コミュニケーションビジネスをやってきてThe Australianのもと編集者でCSIRO の広報ディレクターだったJulian Cribb
大学や研究所から発表される近頃の科学「ニュース」の多くは全くニュースではなく、研究所の宣伝のための法螺である。客観的科学コミュニケーションの崩壊は世界的な科学と大学の法人化と商業化の結果であり、科学的知見をバランス良く報告することを研究所の宣伝、誇大広告によるマーケティング自画自賛に変えた。人々は馬鹿ではない。法螺吹きや誇大宣伝ばかりしているやつは怪しいと知っている。本当の科学コミュニケーションとマーケティングには明確な線引きが必要であるが多くの大学はその違いを考えていないようだ。真の科学的成果は誇張する必要がない−それ自体がものを言う。
UK SMC
UK SMCのFiona Fox
この研究はメディア報道とプレスリリースの関係を調べたもので私たちは既に知っている。人々の科学についての誤解はメディアだけが悪いのではない。新しい研究の報道は科学者と広報担当者とジャーナリストの複合的な産物で、この全ての場所に間違いがあり得る。
メディアの科学への関心はかつてなく高い。この機会に科学者や広報担当者は責任ある行動が必要である。
Leicester大学Paul Boyle教授
科学コミュニティは研究の再現性問題に格闘している。結果が信頼できて再現できることは十四杖ある。研究の成果の主張にしっかりした妥当性があることは必須である。研究をできるだけ正確に伝えることは学者、広報担当者、メディアの義務である
Stempra (Science, technology, engineering and medicine public relations association)会長Edward Sykes博士
この観察研究では著者らは2011年の英国の主要20大学の400以上の健康関連プレスリリースをレビューした。この研究には限界はあるがなぜ科学についての間違った報道が行われるのかについてさらなる研究の第一歩である。健康に関する研究はいい加減であってはならない問題である。この研究は広報担当者だけへの警告ではなく、科学者への警告でもある。
(STAPでは理研のプレスリリースは科学者本人が誇大宣伝したわけで・・)