食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • 缶飲料をのむことによるビスフェノールA暴露は血圧を上げる 無作為クロスオーバー試験

Exposure to Bisphenol A From Drinking Canned Beverage Increases Blood Pressure
Randomized Crossover Trial
Sanghyuk Bae, Yun-Chul Hong
HYPERTENSIONAHA.114.04261
Published online before print December 8, 2014,
http://hyper.ahajournals.org/content/early/2014/12/08/HYPERTENSIONAHA.114.04261.short
ソウル大学医学部。60才以上の合計60人に、3回に渡って同じ飲料(豆乳)をガラス瓶2本、缶2本、ガラス1本缶1本を与えて2時間後に尿のBPA濃度、血圧、心拍変動を調べた。ガラスビンで飲んだ場合と比べて缶で飲んだ場合は尿中BPAが増え収縮期圧が有意に約4.5 mmHg上がった(t検定)
(豆乳はエストロゲン活性高いので材料としてはよろしくないような。多重検定になっていそうなところもあり保留。)
プレスリリース
ビスフェノールでコートされた缶は血圧を上げるかもしれない
Cans lined with Bisphenol A may increase blood pressure
December 08, 2014
American Heart Association Rapid Access Journal Report
http://newsroom.heart.org/news/cans-lined-with-bisphenol-a-may-increase-blood-pressure?preview=656e

  • インフルエンザワクチンについての神話を修正するのは役にたつか?修正情報の影響についての実験的評価

Does correcting myths about the flu vaccine work? An experimental evaluation of the effects of corrective information
Vaccine
Available online 8 December 2014
Brendan Nyhan, Jason Reifler
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0264410X14015424
米国では毎年インフルエンザで数千人が死亡し数十億ドルの医療費がかかっているがインフルエンザワクチンの接種率は公衆衛生目標より相当低い。理由の一つにインフルエンザワクチンを接種するとインフルエンザに罹るという間違った信念がある。全国を代表する調査実験でワクチンへの誤解を評価した。43%の人がインフルエンザワクチンを接種するとインフルエンザに罹ると信じていた。CDCのウェブサイトからの安全性についての情報を与えると、ワクチンへの懸念が強い人たちはさらにワクチン接種しようという意思が低くなった。ワクチンへの懸念があまり高くない人たちではそのような現象は見られない。
(凝り固まった人たちには事実の提示は効果がないか逆効果、というのはわりと普遍的。じゃあどうすれば、というのは難しい。カルトからの奪還みたいなものでその人にどれだけリソースを割けるか。孤立しているからカルトに引き寄せられやすいので)

  • 最も良く売れている目のビタミンは科学的根拠に見合わない

Top-selling eye vitamins found not to match scientific evidence
9-Dec-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-12/aaoo-tev120914.php
研究者らが11の人気サプリメントを分析したところ、7つは証明されている組成ではなく、11全てに誤解を招く宣伝がなされていた。Ophthalmologyにオンライン発表。
2001年にAge-Related Eye Disease Study (AREDS)で、2011年にはAREDS2で加齢性黄斑変性の進行を遅らせる抗酸化物と亜鉛の組み合わせが報告され、AREDSまたはAREDS2フォーミュラを含むと宣伝するサプリメントの売り上げが急激に増えた。市販のこれらの製品が試験で用いられたものと同じかどうかを調べた。2011年6月から2012年6月までの間に11製品を市場から集めて分析したところ、AREDSと同じ用量だったのは4製品のみであった。また全ての製品でAREDSでは調べていない目の健康や視覚を「サポート」「守る」「役立つ」「促進する」などの宣伝が行われていた。