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高血圧とCVDの原因としての砂糖と塩を比較した論文への専門家の反応

SMC
expert reaction to article comparing sugar with salt as causes of hypertension and CVD
December 10, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-article-comparing-sugar-with-salt-as-causes-of-hypertension-and-cvd-2/
Open Heartに発表された論文で高血圧と心血管系疾患に影響が大きいのは塩より砂糖であると示唆している
Warwick大学心血管医学疫学教授Francesco Cappuccio教授
砂糖のとりすぎが心血管系疾患に寄与していること、添加された砂糖が問題であることについては著者に合意する。しかし塩ではなく砂糖を減らせと強調することは不誠実である。どちらも集団レベルでの目標とすべきであり心血管系疾患予防のための効果的アプローチである。我々は現在必要量の10倍の塩を食べている。著者は加工食品の塩を減らすと砂糖の量が増えると主張しているがこれには根拠がない。塩を砂糖で代用する必要はない。さらに著者は減塩による効果には疑問があるとしているが、私はこの論文の引用文献12-15が生データの存在が疑わしいとして取り下げられ、それをもとにしたコクランレビューも取り下げられたのに編集者がそれを引用することを認めたことに驚く。私がこの研究から導き出す結論は、砂糖か塩のどちらを減らす?という間違った議論はやめるべきだというきとである。どちらも減らすべき。

King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授
私の意見ではこの論文では添加された砂糖の影響が誇張されている。減塩と減量は血圧を下げるだろうが、添加された砂糖の直接影響についての根拠は希薄である。砂糖入り飲料を人工甘味料入り飲料で置き換えると血圧が下がるという根拠を見たことがない。
クリスマス前に付け加えると、アルコールは間違いなく血圧を上げるのでもっと心配すべきだろう。
公衆衛生栄養士Gaynor Bussell
著者は特定の見解「果糖が悪くて塩はOK 」に沿って議論を組み立てているようだ。これはオリジナルの研究ではなくバランスの取れた根拠の提示でもない。健康にとって大切なのは砂糖だけとか塩だけではなく、全体の食生活である。
East Anglia大学ミネラル代謝教授Susan Fairweather-Tait教授
2010年にEFSAは炭水化物と食物繊維の食事参照摂取量に関する科学的意見を発表していて、そこで砂糖の大量摂取は血中トリグリセリドとコレステロール濃度を上げる可能性についての幾分かの根拠があるとしているが砂糖の上限摂取量を決めるには十分ではないとしている。さらに砂糖の摂取と血圧との関連については根拠はない。
(問題の論文の著者DiNicolantonio が取り下げられた論文の著者なので取り下げを知らないなどということはあり得ず、かなり悪質と思われて当然)