食品安全情報blog過去記事

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おまけ

カツオ節は毒物?EUが輸入を認めない理由
http://b.hatena.ne.jp/entry/bylines.news.yahoo.co.jp/tanakaatsuo/20141221-00041692/

言葉足らずな記事なのでちょっと見当違いなコメントもあるので。

・燻製に含まれるベンゾピレンBaPは遺伝毒性発がん物質でALARA原則が適用される。
・燻製でできるのはBaPだけではなく、多種類の多環芳香族炭化水素(PAH)ができる。BaPはPAHの指標に過ぎない。
EUはいくつかの食品に規制値を設定している
参考
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/pdf/120514_pah.pdf
・燻製なら全て規制値を超えるわけではない。規制値以内の製品もある。
・規制値以内に収めるためには工程管理が必須になるが日本はそういう考え方が小規模業者にはあまり浸透していないような(輸出したいならHACCP必須)。
・基本的に遺伝毒性発がん物質は望ましいものではないので、EUでは燻製の代わりに燻製風味の香料(くん液)を使うことで暴露量を下げていっている。いろいろな種類のくん液を食品添加物として認可している。くん液は燻製の煙成分から発がん物質を除去して作っている。食品添加物は食品のリスクを下げるために役にたっている。
・鰹節は軽いので他の燻製の基準値を適用されると超過しやすい。ただそのぶん摂取量も少ないので必要なら別途基準を作ることはできるだろうけれど欧州にはその必然性はないだけ。
・韓国は「世界で最も厳しい基準を採用」することが好きなので欧州の基準に倣った。でもさすがに鰹節には別枠を設けた。
・ただ韓国は韓国人が大好きなごま油にEU基準をそのままあてはめてしまったのでしょっちゅう違反がでている。ごまを炒った香ばしい香りのないごま油なんて!炒るとPAHはできる、精製すれば多分除去できるけれどごま油の風味もなくなる。
・PAHは脂溶性なので鰹節の場合、だしで使ったらだし汁にはほぼでない。おかかはそのまま食べるのでしょうがない。
・ちなみに昆布はヨウ素が多すぎるのでEUにはそのまま使えない。
・伝統だから、文化だから、ではなくて、相手国が納得できるように科学的根拠(この場合定量的な数字必須)を示してリスク管理法も実装してちゃんと説明しよう。科学の言葉は基本的には通じるしその過程でもっといいものができるようになる。いろいろなものを柔軟に受け容れて改良してきたのが日本の食文化なのであって昔の方法をそのまま是として変化を拒んできたわけではないでしょうに。