食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • 海の「災害」は誇大宣伝、と研究者は言う

Natureニュース
Ocean 'calamities' oversold, say researchers
Daniel Cressey 14 January 2015
http://www.nature.com/news/ocean-calamities-oversold-say-researchers-1.16714
海洋研究にもっと懐疑的に
しばしば世界の海が崩壊寸前であると描写される。しかし確かに課題はあるものの一部は大げさである、と研究者がレビューで主張する。科学者や雑誌やメディアが海洋科学の信頼性を毀損する可能性のある集団思考に陥っている。この議論の多い研究は海洋科学コミュニティの分断を顕わにした。
パースの西オーストラリア大学の海洋生物学者Carlos Duarteらは外来生物や珊瑚の死滅などの海についての悲観的なメディア報道は必ずしも実際の観察に基づいたものではない、という。問題なのはジャーナリストだけではなく海洋研究コミュニティがこの問題について十分懐疑的ではない可能性がある。海の状況についてあまりにも破滅的悲観的な報告が多いことについては学会などで会話はあるがこの論文はそれを初めて公にしたものである。このような懸念を口にすることには仲間からの圧力が大きいのでこの論文は物議を醸すだろう、とDuarteはいう。BioScienceに12月31日発表されたレビューで、Duarteらは過剰な漁獲、くらげの大発生、外来種や海の酸性化による珊瑚などへの影響についての破滅的状況の主張について吟味した。過剰な漁獲のような一部にはしっかりした根拠があるが、くらげの大発生のような他のものについてはメディアが注目したものの根拠は曖昧だった。
見出しの過剰宣伝
Duarteらは多数のニュースや学術論文をレビューした。
例えば世界中でくらげの大発生が増加していると主張されるが2012年まで世界の増加を定量しようとする試みがなく、少数の事例を外挿したものだった。その種の主張の過剰宣伝は危険である。一般の人々はそのような警鐘に慣れ、既に手遅れだと信じて海を救おうとしなくなるだろう。
Duarteらの主張に同意しない人たちもいる。Duarteらの論文で批判されている、海水の低酸素濃度'dead zones'が将来世界に拡大してするとした論文を書いたRalph Keelingは、文献では「地球温暖化の重大な帰結の可能性」と書いたのであった災厄calamityという単語は使っていない、Duarteらの論文だって過剰宣伝だ、と言う。
(悪い予測はどんなに外しても構わないと思っているらしい人たちはどの分野にもいる。最悪を宣伝することで研究費がとれるのでモラルハザードになっている)

  • オーストラリアでの合成大麻による死亡−専門家の反応

SMC
Synthetic cannabis deaths in Australia – experts respond
January 15th, 2015.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2015/01/15/synthetic-cannabis-deaths-in-australia-experts-respond/
2人のオーストラリア人男性が合成大麻による中毒疑いで死亡した。
オーストラリアSMCが専門家のコメントを集めた
オーストラリア国立大学救急コンサルタントで上級医学臨床講師David Caldicott博士
合成カンナビノイドはより広範な「新規向精神物質」あるいはNPSsとよばれるカテゴリーに属する。これらの物質には規制が追いついていない。合成カンナビノイドは植物相当危険で死亡が多数報告されている。オーストラリアのドラッグマーケットはいたちごっこをしつつ進化している最中でより賢明な対応が必要である
ニューサウスウェールズ大学教授で国立大麻予防情報センター所長Jan Copeland
二人の死亡は薬物に関連するリスクを再確認させる。大麻THCについては混乱が多い。安全でなく合法でもない。合成大麻として販売されているものは何が起こるかわからない。2013年には約23万人のオーストラリア人(人口の1.2%)が合成カンナビノイドを使用したが多くは酷い影響を経験して1回か2回のみである。
マッコリー大学医学健康科学部Mark Connor教授
シドニー大学で合成大麻を研究しているPhD学生Richard Kevin
新しい合成薬物は研究者が対応しきれないほど早く開発されている。これらを使うのは道に落ちている錠剤を無作為に拾うようなもので何を使っているのか正確に知ることはできない。

  • 合成大麻による死亡がオーストラリアで警鐘を鳴らす

ScienceInsider
Synthetic cannabis deaths sound alarms in Australia
By Dennis Normile 14 January 2015
http://news.sciencemag.org/biology/2015/01/synthetic-cannabis-deaths-sound-alarms-australia
合成大麻の使用疑いで、オーストラリアで昨日と今日二人の男性が死亡し、最近の入院患者の増加により、世界でのこの問題の拡大に注目が集まっている。
薬物の使用者は天然のマリファナだと宣伝されている製品を使っているつもりでもその作用は合成薬物による。THC作用を真似た合成薬物を植物に塗して「スパイス」として販売されている。合成薬物は天然の植物より危険であることが多い。
毒性が不明な多様な合成カンナビノイドが世界中の家内工業で無数に製造されている。品質もばらばらなので特に毒性の高いロットに遭遇すると中毒患者が集団発生する。ニュースによると昨秋ロシア北部だけで合成大麻は25人を殺し700人以上を病気にした。