食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • 英国の保護者は子どもたちがテレビで見たジャンクフードを買ってというのに困っている

British Heart Foundation
UK parents hounded by their kids to buy junk food they see on TV
26 January 2015
https://www.bhf.org.uk/news-from-the-bhf/news-archive/2015/january/uk-parents-hounded-by-their-kids-to-buy-junk-food-they-see-on-tv
新しい調査によると、70%の保護者が子どもたちがテレビで見たジャンクフードを買ってと言うことに困ったことがある。
16才以下の子どもをもつ2100人の保護者へのアンケート調査。43%は少なくとも週に一回は手を焼き、39%はテレビでのジャンクフードの宣伝が子どもたちが健康的な食事をすることを困難にしていると回答した。
ジャンクフードの宣伝禁止強化請願に署名を募集している。

  • ディズニーに関連したはしかは「反ワクチン主義者」にスポットライトをあてる

CTVニュース(カナダ)
Disney-linked measles shines spotlight on 'anti-vaxxers'
Friday, January 23, 2015
http://www.ctvnews.ca/health/disney-linked-measles-shines-spotlight-on-anti-vaxxers-1.2202026
ディズニーランドが発生源の大規模はしかアウトブレイクは、子どもたちに予防接種をしていない小規模ではあるが声の大きい反ワクチン運動への批判を誘発した。
12月半ば以降6州とメキシコのこれまで少なくとも70人がはしかになったが多くは予防接種をしていない。はしかはワクチンによって根絶しそうなところまで行ったが近年復活している。その一部はワクチン拒否による。
反ワクチン団体はワクチンを接種していたのにはしかになった事例があるのだから反ワクチンのせいではないと主張。
(「反体制」なら何でも正義とばかりに持ち上げて報道するメディアもどうしようもない)

  • Florida Keysで数百万匹のGMO昆虫が放出されるかもしれない

Millions of GMO insects could be released in Florida Keys
January 26, 2015
http://www.todayonline.com/daily-focus/science/millions-gmo-insects-could-be-released-florida-keys
極めて痛いウイルス性疾患対策のための英国の研究者らの申請が認可されればFlorida Keysで数百万匹のGMO昆虫が放出されるかもしれない。米国で増加しているデング熱とチクングンヤ熱の対策として。ただ一部の人は遺伝子組換え昆虫に刺されると考えて反対している。蚊のコントロール対策をしている人たちは、気候変動とグローバリゼーションによって熱帯病が拡散し選択肢は枯渇しているという。デング熱やチクングンヤ熱にワクチンはない。そして病気を媒介するネッタイシマカは(雌がヒトを刺して病気を広める)現在使用されている6つの殺虫剤のうち4つに耐性になった。
Oxitecは遺伝子組換え雄のみを放出し、それは野生の雌と交配して子どもが死亡する。
FDAは「必要な情報を全てレビュー」した後にのみ野外試験を認める。

  • 記念のための超音波:ノーと言おう

'Keepsake' Ultrasounds: Just Say No
by Keng Lam | January 21, 2015
http://www.berkeleywellness.com/self-care/preventive-care/article/why-keepsake-ultrasounds-are-bad-idea
「あなたのお腹の赤ちゃんのライブ4D動画を!」
「我々のプライベートで心休まるスパのような雰囲気の中でお腹の赤ちゃんとの絆を」
「あなたの赤ちゃんが生まれる前にどんな顔か見てみよう」
この手の宣伝が記念のために胎児の超音波を宣伝しているウェブサイトに溢れている。一部の企業は友人や親族に見せられるライブストリーミングビデオなども提供している。レクリエーション超音波やコマーシャル超音波とも呼ばれ、これらは医学的に必要ではないので保険が適用されない。そしてますます議論になっている。
FDAは2014年12月に避けるよう消費者に警告を出している。専門の医学団体も同意している。

  • 両親の子どもが大学に行くという信念が初期の成績に大きな役割を果たす

Parents' belief that a child will attend college plays big role in early academic success
22-Jan-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-01/uoc--pbt012215.php
Pediatricsに発表された、早期子ども縦断出生コホート研究の6600人のデータを解析した研究。子どもが生まれてから幼稚園にはいるまでの間に保護者には4回インタビュー、子どもたちの標準心理学教育検査を行っている。親の仕事や教育レベル、収入により5段階の社会経済学的集団に分類。最も貧しい家族の子どもは、その収入が貧困レベルほど低くなくても成績が悪い。
・子どもが大学に行くことを予想しているかどうかが子どもの成績に重要。成績の最も低い子どもの場合57%が保護者に大学進学を期待されているが成績の良い子どもたちでは98%。
・算数と読みの両方の成績が家族の社会経済状態に相関する。どちらの分野でも家族の状態が良いほど成績がよい。
・社会経済状態の低い集団の子どもたちは高い集団に比較して母親が若く保護者が本を読み聞かせることが少なく自宅でコンピュータを使わず家の本が少ない。
(あたりまえなんだけど、時にこういうデータを確認する。微量の農薬だの環境汚染物質だののあるかないかの影響をどんなにお金をかけて調べたり対策したりするより子どもたちの育つ環境を整えてあげる方がはるかに効果が大きいし大事。この最も社会的援助が必要な層は最も声が小さく、暇とお金のある人たちの些細なことを問題だとする声にかき消されてしまいがち。)

  • おむつの化合物が顕微鏡の力を広げる

Diaper compound may expand power of microscopes
23-Jan-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-01/nion-dcm012315.php
ポリアクリル酸ナトリウムのメッシュを使って細胞を構造そのままに物理的に約4.5倍拡大することで内部構造をよく見えるようにする技術。拡大顕微鏡観察expansion microscopyと命名
Chen et al. "Expansion Microscopy" Science, January 15, 2015. DOI: 10.1126/science.1260088

  • イタリアの裁判所が実験用のイヌのブリーダーに有罪判決を下す

Natureニュース
Italian court convicts lab-dog breeders
Alison Abbott 23 January 2015
http://www.nature.com/news/italian-court-convicts-lab-dog-breeders-1.16784
科学研究目的で飼育されている動物を残酷に扱ったとして3人に有罪
写真は裁判所の建物の外で喜ぶアニマルライツ活動家たち
イタリア北部のBresciaの刑事裁判所がビーグル犬を飼育していた企業の従業員3人に禁固刑を言い渡した。他の被告は無罪とされた。
米国の動物会社Marshall BioresourcesのBrescia近傍にあるGreen Hill施設の施設長に1年、その施設の獣医師とMarshall社の欧州の管理者に1年半。判決は23日に発表されたが理由は2ヶ月以内に発表される。
イタリアの活動家団体は勝利宣言をしているが刑が軽すぎると主張。一方動物実験に賛成の立場の人たちからは驚きと懸念が表明されている。
イヌは新規医薬品の試験などに使用されていて欧州全体で使用される動物の0.25%である。
Green Hillの動物飼育施設は2012年に動物の取り扱いが良くないと主張されて以降暫定的に閉鎖され、地元の裁判所は直ちに活動家団体に動物たちを里親に引き取らせることを許可し、調査が始まっていた。2013年5月にBrescia裁判所は全て無罪としたが一週間後に検察官は同じ裁判を個人相手におこした。
有罪とされた3人は控訴できる。判決が確定しても通常イタリアの裁判では3年以内の判決は罰金や保護観察になるので刑に服すことはないだろう。
(L'Aquilaの地震の裁判といい、GMへの感情といい欧州の反科学の「雰囲気」を象徴する)