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ECDC/EFSA/EMAの、抗生物質の使用についての総合分析及びヒトと食品を生産する動物の細菌の抗生物質耐性の発生に関する第一回共同報告

ECDC/EFSA/EMA first joint report on the integrated analysis of the consumption of antimicrobial agents and occurrence of antimicrobial resistance in bacteria from humans and food-producing animals
EFSA Journal 2015;13(1):4006 [114 pp.]. 30 January 2015
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4006.htm
ECDC、EFSA、EMAは関連した5つのEU監視ネットワークから現在入手可能な2011年と2012年のデータを用いて、ヒトと食品生産用動物の抗生物質の使用とヒトと食品生産用動物由来の細菌の抗生物質耐性との間の関連を初めて共同で調査した。EU加盟国と報告国の動物とヒトの耐性と抗生物質の使用に関する複合データを、特定の細菌と抗生物質の組み合わせについてロジスティック回帰モデルを用いて分析した。主な食品生産用動物種の耐性細菌の割合の大まかな指標は、食品生産用動物の使用量が種のレベルで入手できないので解析のために計算された。2012年の動物とヒトの抗生物質使用データの比較は、両方とも推定バイオマスkgあたりのmgで表されるのだが、国ごとに状況が異なっていても、全体の抗生物質の使用量はヒトよりも動物で多いことが明らかになった。畜産で広く使用されるいくつかの抗生物質の使用量はヒトよりも動物の方が多いが、ヒトの医薬品として非常に重要な抗生物質(フルオロキノロンや第 3 世代、第 4 世代セファロスポリンなど)の使用量はヒトのほうが多い。ヒトと動物双方で抗生物質の使用と対応する細菌の耐性が、調査対象となった組み合わせのほとんどで観察された。場合によっては、動物の抗生物質の使用とヒト由来の細菌の耐性との間にも正の関連が見られた。懸念の発見を強調すると同時に、抗生物質の使用の他にもいくつかの要因によって影響を受けるAMR現象の複雑さと、現在のデータの限界によりこれらの結果の解釈には注意が必要である。この種の解析のために現在のデータ不足への対策を助言した。いずれにせよ、ヒトと動物の抗生物質の責任ある使用が奨励されるべきである。