食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

AAASの年次会合セッションの紹介

Fighting scientific misinformation: A South African perspective
By Kelly Servick 15 February 2015
http://news.sciencemag.org/africa/2015/02/fighting-scientific-misinformation-south-african-perspective
2006年、南アフリカの次期大統領Jacob ZumaがHIVを避けるために性交後にシャワーを浴びると言った。この発言が医療専門家を怒らせ、この国が科学を正確に伝えることに苦しんでいることを明らかにした。Thandi Mgwebi(写真)は南アフリカ国立研究財団(NRF)の研究部長として過去6年このコミュニケーションを改善しようとしてきた。AAASでの発表後にScienceのインタビューに応じた。
Q: 南アフリカの科学と一般の人の間の断絶は何か
A:科学コミュニケーションのための組織的プラットフォームがない。一般人と科学者は違うゲームをしている。ZumaのHIVに関する発言のような間違った話はコミュニケーションの欠如による。私は彼が何故そんなことを言ったのかわからないが、それは冗談ではなかった。
Q:その影響は?
A:定量的にはわからない。知識のある人たちにとっては笑い事だが、地方の村で何が起こっているかはわからない。明らかに悪い影響があるだろう。
Q:この種の間違った情報にはどう対処する?
A:全ての科学者に何らかの形でコミュニケーションに関与してもらう試みをしている
Q:米国と南アフリカの科学の誤解はどう違う?
A:規模が違う。問題は同じだと思うが。また社会経済問題がたくさんある。アフリカでは土地固有の信仰システムが重要で、HIV予防のための教育はその信仰に従って調整される。

Why it's OK to swear on social media—and other tips for tweeting disasters
By Emily Underwood 15 February 2015
http://news.sciencemag.org/people-events/2015/02/why-its-ok-swear-social-media-and-other-tips-tweeting-disasters
注意点
1.具体的に 何時どこでのような情報があるほうがいい
2.自然に(ありのままに)
3.遠くから参加 災害のまっただ中のヒトが冷静に的確なツイートをすることを期待するのは現実的ではないが事態を監視している人が足りない情報を補うことができる

  • 医療用大麻についてあなたが知りたいけれど尋ねるのが心配なこと

Everything you wanted to know about medical marijuana, but were too afraid to ask
By Lizzie Wade 15 February 2015
http://news.sciencemag.org/health/2015/02/everything-you-wanted-know-about-medical-marijuana-were-too-afraid-ask
長い使用歴のある大麻について科学でわかっていることとまだ足りないことについてのセッションがあった。これまで104のカンナビノイドが発見されているが多くの化合物の薬理作用はまだ研究されていない。医療用の大麻は主に化学療法を行っている患者の食欲刺激や吐き気の抑制目的で使用されてきた。多発性硬化症患者の症状緩和作用からTHCとカンナビジオール(向精神作用のないカンナビノイド)を含むSativexが開発された。
マリファナ大麻由来薬物は不安や鬱の治療に役立つ可能性はあるがエビデンスとされるもののほとんどは逸話的なもので臨床試験による確認が待たれる。ガイドラインを作るにはエビデンスが少なすぎる。少なくとも米国では大麻臨床試験に資金を得るのは難しい。
大麻は成人には(慢性気管支炎を除き)長期健康への有害影響の根拠はないが子どもや青少年の発達中の脳への影響は異なる可能性があり現時点ではデータが少ない。
(コメントがたくさんついていて政治的問題になっていることを感じさせる)

  • あなたの猫のトイレについてあなたが知らないこと−はあなたを傷つけないだろう

What you don’t know about your cat’s litter … probably won’t hurt you
By David Grimm 13 February 2015
http://news.sciencemag.org/environment/2015/02/what-you-don-t-know-about-your-cat-s-litter-probably-won-t-hurt-you
15才のWesley Wolfの科学研究は2年前に単純な疑問から始まった−猫のトイレ砂の種類が家の細菌数に影響するだろうか?当時7年生だったWolfは獣医のお母さんに、彼女の病院の動物で実験していいかと尋ねた。オーナーの協力も得て、粒子の細かい砂と、つぶつぶのネコ用トイレ砂と、破いた新聞紙の3種類の砂のトイレケージに30匹の猫を入れて24時間と48時間後に肉球を培地を撒いたペトリ皿に押しつけて細菌数を調べた。結局トイレの種類による違いはなかった。その結果をAAASでポスター発表する。Wolfは「だから飼い主はトイレの種類で悩む必要はなく安くて便利なものを使えばいい」という。今回AAASでは彼を含む139人の学生がAmerican Junior Academy of Sciencesの一環として州から選抜されて発表する。