食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • 水のフッ素添加と甲状腺機能低下−専門家の反応

SMC
Water fluoridation and underactive thyroid – experts respond
February 24th, 2015.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2015/02/24/water-fluoridation-and-underactive-thyroid-experts-respond/
Journal of Epidemiology & Community Healthに発表された新しい研究で、水のフッ素添加がイングランド甲状腺機能低下の期待される率より30%多いことと関連することが示唆された。
ニュージーランドでは保健省が飲料水のフッ素濃度を0.7-1.0 mg/Lにするよう推奨している。
SMCが専門家のコメントを集めた
ニュージーランド歯科医師会CEO David Crum博士
この論文は甲状腺機能低下の主要原因がヨウ素欠乏であること、英国の2つの水のフッ素添加地域が同時にヨウ素欠乏率の高い地域であることに言及していない大きな欠陥があるようだ。ニュージーランドでは幸い食卓塩へのヨウ素添加が行われていて状況は異なる。
UK SMCから
イングランド公衆衛生局の歯科公衆衛生部長Sandra White博士
PHEは定期的に水のフッ素添加についての根拠をレビューしている。何十年にも渡って蓄積された根拠は総合的にフッ素添加は安全で有効な公衆衛生対策であり甲状腺機能との関連はないことを示している。
Southampton大学職業環境医学教授David Coggon
疫学的エビデンスとしてはこれは最弱なものだ。地域差に最小限の補正をして幾分高い率の甲状腺機能低下が見られた4地域が飲料水のフッ素濃度が比較的高かった。観察された影響が他の要因による可能性がある。他に相当しっかりした疫学的方法論がある。

  • 期待されるエボラの薬物試験に多くの注意点

ScienceInsider
Many caveats on promising Ebola drug trial
By Jon Cohen 24 February 2015
http://news.sciencemag.org/africa/2015/02/many-caveats-promising-ebola-drug-trial
今月初めエボラの最初の期待できる治療法として一面のニュースとしてもてはやされた医薬品についての研究者の地味な評価は、一部の人に役にたつかもしれない「ほんのわずかな希望slight hope」がある、だった。
ギニアでの臨床試験の実施に協力したNGOによるリークをもとに2月4日にメディアが報道したが、フランスの研究者チームが公にデータを議論したのは昨日が初めてである。
ボルドー大学のDenis MalvyがこのJIKI研究について説明した。参加したのは69人の成人と青少年で全員に最大10日間ファビピラビル(アビガン)を投与した。結果は同じクリニックで試験開始前の3ヶ月間に標準的ケアを受けた患者と比較した。参加者の48%は死亡しこれまでと同じだった。サブセット解析で入院時の血中エボラウイルスの量が少ない患者では生存率が向上していた。Malvyは、もともとこの試験ではウイルス量の違う患者のアウトカムを解析する予定はなかったがこの病気の標準診断法にデータがあったので使った結果興味深いパターンが見られた、という。ウイルス濃度が高かった29人中27人が死亡しファビピラビル単剤療法が死亡率を下げることは極めてありそうにない。ウイルス量の少ない40人では歴史的コントロールの30%に比較して15%しか死亡しなかった。しかし同時期の非投与群は設定できないので明確なことは言えない。死亡率の低下は時間とともに病院のケアが改善してきたためかもしれない。またウイルスの数についても詳細に検討すると差が無くなるかもしれない。
(日経の見出しと比べてみよう
富士フイルムのインフル薬、エボラ熱死亡率半減 中間結果
株価操作でもしたいのだろうか)

  • 募集:大規模研究のために8万人の英国人の赤ちゃん

Natureニュース
Wanted: 80,000 British babies for massive study
Helen Pearson 24 February 2015
http://www.nature.com/news/wanted-80-000-british-babies-for-massive-study-1.16977
米国での同様の研究が中止された後に英国が子どもたちを生まれたときから追跡する努力を始めた
米国より英国のほうが成功する可能性が高いのはNHSがほぼ全ての妊娠女性や子どもたちへの医療を提供しているため中心的役割を果たせることがある

  • ワクチン戦争再び

WSJ
The Return of the Vaccine Wars
By David Oshinsky Feb. 20, 2015
http://www.wsj.com/articles/the-return-of-the-vaccine-wars-1424463778
ワクチンを巡る議論はワクチンそのものと同じくらい古い
1976年にEdward Jennerが天然痘のワクチンを発見したとき、彼は賞賛と同じくらいの批判を浴びた。経済学者Thomas Malthusはワクチンは危険な人口増加をもたらすと心配した。ワクチン接種した子どもの頭から牛の角が生えている風刺画が現れた。
現在のはしかのアウトブレイクを巡って抗議の嵐がおこっている。先週ニューヨーク大学生命倫理学者Arthur Caplanはワクチンに反対する医師たちを「ホロコースト否定論者」と比較して医師免許剥奪を要求した。一部の小児科医はワクチン拒否の子どもたちは治療しないと言う。それらにたいして反ワクチン団体の設立者Barbara Loe Fisherは主流メディアは製薬会社のロビー活動によってありもしない危機を報道していると非難した。
アメリカのワクチン戦争は特に論争が多い。
(以下反ワクチン運動の歴史。筆者はニューヨーク大学の歴史研究者。最後だけ)
予防接種は、コミュニティの全ての人のより安全な将来を保障するために個人に極めて小さなリスクを求めるものである。それを拒否して他人の集団免疫に依存して自分勝手に生きることは危険で不当なことである。予防接種は強制とみなすのではなく、公共の福祉への賛同を意味し、このメッセージには再び耳を傾けるべきである。

  • オンタリオの少女たちが入院したフロリダのスパの職員が医療行為の中止を命ぜられる

Official at Florida spa Ontario girls attended ordered to stop practicing medicine
Tuesday, Feb. 24 2015,
http://www.theglobeandmail.com/news/national/official-at-florida-spa-ontario-girls-attended-ordered-to-stop-practicing-medicine/article23194160/
オンタリオの少女たちががんの代替療法を求めて行ったフロリダのスパが、フロリダ保健省から無免許医療行為であるとの文書を送付されていた。そのスパ、Hippocrates Health Instituteはカナダの報道機関からのコメント要請には応えない。
ミシサガ族の11才の少女Makayla Saultは化学療法を中止してスパに行くと決めたときにニュースになった。先月脳卒中で亡くなったが彼女の家族は化学療法が原因だと非難している。がん専門医は、実際には放置した白血病脳卒中の原因だろうと言う。
二人目の匿名の11才の少女は、裁判官が化学療法ではなく伝統療法を選ぶのが先住民の権利だと判断したもので、ハーブとライフスタイルの変更を伴う代替療法を受けている。
Hippocrates のウェブサイトでは「個人の振動周波数またはバイオエネルギー場を変えて独自の振動周波数をもつがん細胞が存続できないようにして」がんを治療すると宣伝している。
(この裁定は裁判官が疑似科学の脅威を誤認したためと思われる。詐欺師に騙されている人を信仰の自由だと言うだろうか。金銭的詐欺と違うのはがんの代替医療の被害者は多くが死んでしまうため告発されにくいこと。わかっててやってる。)

Superman-shaped pills could cause death, say Queensland police
February 25, 2015
http://www.brisbanetimes.com.au/queensland/supermanshaped-pills-could-cause-death-say-queensland-police-20150225-13ojac.html
警察が通称Death, Dr Death, Killerまたは Red Mitsubishi.(五角形なのになんで三菱?)と呼ばれているドラッグに警告している。パラメトキシメタンフェタミン(PMMA)を含むがしばしばMDMAやエクスタシーとして販売されている。PMMAは海外で死亡が報告されているPMAの類似化合物である。オーストラリアで流通している可能性がある