食品安全情報blog過去記事

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論文

  • サツマイモは天然に「遺伝子組換え」されている

Sweet potato naturally 'genetically modified'
21-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/gu-spn042115.php
PNASに発表されたUGentと国際ジャガイモ研究所の発見によると、世界中のサツマイモは自然にアグロバクテリウム由来の遺伝子を含む。外来DNAを含むため「天然GMO」とみなすことができる。
調べた栽培品種291に外来遺伝子配列が存在し、一部の野生の関連種にも存在した。またその配列はサツマイモの中で活動していて、それが農家の好むサツマイモのポジティブな性質の一部であることを示唆する。植物や動物のゲノムに最近や真菌やウイルスのDNAが見つかったのはこれが初めてではない。このような「水平遺伝子伝達」の例は増えている

  • ミツバチの研究が殺虫剤についての議論をかきたてる

Natureニュース
Bee studies stir up pesticide debate
Daniel Cressey  22 April 2015
http://www.nature.com/news/bee-studies-stir-up-pesticide-debate-1.17366
Natureに4月22日に発表された二つの論文が殺虫剤のミツバチへの影響について報告している。
Newcastle大学の昆虫神経動物行動学者Geraldine Wrightらはミツバチとマルハナバチを箱に閉じこめ、ただの蜜と、イミダクロプリド・チアメトキサム・クロチアニジンを入れた蜜とを選ばせた。その結果ハチたちはイミダクロプリドかチアメトキサムの入った蜜の方を好んだ。野外条件でも好むかどうかは不明である。ハチの味覚ニューロンへのネオニコチノイドの影響を調べたところ濃度にかかわらず反応は同じで好む理由は味ではないことを示唆した。
二つ目の論文はスウェーデンのLund大学の生態学者Maj Rundlöfらによる野外研究である。スウェーデン南部のクロチアニジン処理種子を蒔いた菜種畑8つと未処理畑8つで、ミツバチやマルハナバチを含む野生のハチを観察した。ミツバチは種子処理の有無では反応に違いはなかったが野生のハチの密度は処理した畑で約半分だった。独居性のハチの巣とマルハナバチのコロニーの増加も処理した畑では少なかった。ミツバチは農薬の毒性試験にも使われているので野生のハチより強い可能性があると著者はいう
議論は過熱している。

  • 中国の科学者がヒトの胚の遺伝子を操作した

Natureニュース
Chinese scientists genetically modify human embryos
David Cyranoski & Sara Reardon
22 April 2015
http://www.nature.com/news/chinese-scientists-genetically-modify-human-embryos-1.17378
生殖細胞を操作しているという噂が本当だとわかり、倫理上の議論再燃
世界で初めて中国の科学者がヒトの胚のゲノムを編集したとオンラインジャーナルProtein & Cellに発表し、噂を確認した。この論文では広州のSun Yat-sen大学のJunjiu Huangらが、地元の不妊治療病院から得た、生きて出産できない胚(体外受精精子が2つ入り染色体が余分になった胚)を用いて、CRISPR/Cas9という遺伝子編集技術によりβサラセミア遺伝子の改変を試みた。その結果臨床に使うには重大な問題(成功率の低さ)が明らかになったと報告している。
中国の情報筋によると中国では少なくとも4つのグループがヒトの胚での遺伝子編集を行っている。