食品安全情報blog過去記事

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ミルクのヨウ素とIQについての専門家の反応

SMC UK
expert reaction to iodine in milk and IQ
April 28, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-iodine-in-milk-and-iq/
Food Chemistryに発表された論文がスーパーマーケットのミルクのヨウ素濃度を調べ、オーガニックと表示してあるミルクは普通のミルクに比べてヨウ素濃度が低いと報告した。著者らは妊娠中の女性などにヨウ素欠乏リスクを大きくする可能性を示唆した
Bristol大学小児周産期疫学名誉教授Jean Golding教授
過去に極端にヨウ素濃度の低い妊娠女性は認知機能低下の子ども(専門用語でクレチン)がうまれることと関連が示されている。今の女性はそこまでヨウ素欠乏ではないが、私は母親の周産期ヨウ素濃度と子どもが8-9才の時のIQと読解力に正の関連があることを報告した2013年のLancetの論文の共著者である。Lancetの研究では英国人女性の多くが子どもの発達にとって至適な量のヨウ素より少ないことを示した。従って集団のヨウ素摂取量を増やす方向での情報は歓迎する。
ミルクは主なヨウ素摂取源であるがどのミルクが最も適切なのかは知る必要がある。この研究では全脂肪でもセミスキムミルクでも低脂肪乳でもヨウ素含量に差はなかった。このことは先の研究同様で、信頼性が増えた。しかし妊娠女性はオーガニックミルクはヨウ素が少ないことを知るべきである。オーガニック酪農家は牛にヨウ素を添加すればヨウ素含量を増やすことはできる
Surrey大学栄養医学教授Margaret Rayman博士
この研究は我々の先の研究を補完するもので、我々の知見と同等であり、類似の欧州での研究とも同等である。オーガニックミルクはヨウ素含量が少ない(この研究では35%、我々のは42%)。
但しデータの解釈には限界があり、ミルク中のヨウ素の測定は難しい。
Surrey大学MRC集団健康科学フェローSarah Bath博士
この研究に限界はあるが、英国に置いてはミルクが主なヨウ素摂取源なのでヨウ素欠乏リスクについては意味があるかもしれない。ただしこの研究では個人のヨウ素状態について調べてはいないのでオーガニックミルクを飲んでいるヒトのヨウ素状態については結論できない。妊娠中の適切なヨウ素摂取は重要である
英国栄養士会Catherine Collins
これは興味深い研究でこれまでのデータを補強する。英国人の食事からのヨウ素摂取量のうち40%がミルク由来である。オーガニックだろうと慣行だろうと全てのミルクは良質なタンパク質やカルシウムの摂取源であるが、もしオーガニックミルクを選ぶのなら、オーガニックでないミルクと同じ量のヨウ素を摂るためには30%余計に摂る必要がある。