食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 再現性の危機:抗体を非難

Reproducibility crisis: Blame it on the antibodies
Monya Baker 19 May 2015
http://www.nature.com/news/reproducibility-crisis-blame-it-on-the-antibodies-1.17586
生物学実験の主力である抗体が間違った知見をまき散らしている。一部の伝道者達が変化を求めている。
(培養細胞系統のコンタミや性質の変化、抗体の怪しさ、配列を確認しないPCRバンド、キットと機器の打ち出す数値、と落とし穴は山ほどある。捏造でなくとも信頼できない論文が無数にあるのがこの業界)

  • 生命医学研究の再現性と信頼性

Reproducibility and reliability of biomedical research
http://www.acmedsci.ac.uk/policy/policy-projects/reproducibility-and-reliability-of-biomedical-research/
英国で開催されたシンポジウム

  • 報告書は気管外科医が不正を行ったことを発見

ScienceInsider
Report finds trachea surgeon committed misconduct
By Gretchen Vogel 19 May 2015
http://news.sciencemag.org/europe/2015/05/report-finds-trachea-surgeon-committed-misconduct
人工気管移植で有名なPaolo Macchiariniが科学的不正を行っていたと結論された。スウェーデンカロリンスカ研究所の外部委員による報告書(スウェーデン語)が提出されたことをスウェーデンの新聞が昨日報道した。論文に記載されていることが病院の記録と違い、無数の不一致が手術を成功したかのように間違った印象を与えるように系統的に操作されている。また病院の医師は彼の手術は適切な許可を得ず行われ患者からのインフォームドコンセントも得ていない。これらは科学的不正の問題ではなく医師法の範疇であり当局が調査を始めている。
(こういう新しい技術を成功したって誇大宣伝する人ってどこにでもいる。)

  • Crayolaは人々に色鉛筆をアイライナーに使うのは止めてという

Crayola Tells People to Please Stop Using Colored Pencils as Eyeliner
May 19, 2015
http://time.com/3889581/crayola-colored-pencils-eyeliner/
美容ブロガーが色鉛筆を熱湯に浸してアイライナー代わりにすることを薦めてきたが、Crayolaはそれを歓迎しない。企業のウェブサイトに強い言葉で声明を発表した。
Is it safe to use Crayola Crayons to make lipstick, eyeliner and other makeup?
http://www.crayola.com/faq/safetymsds/is-it-safe-to-use-crayola-crayons-to-make-lipstick/
クレヨンは毒性はないnontoxicがメイクに使うことは薦めない。そのような目的では作られていない。

  • 5年で9人の労働者が死亡し、連邦政府は油田での化学物質吸引の危険性を警告

After 9 worker deaths in 5 years, feds warn about dangers of inhaling chemicals at oil wells
Canadian Safety ReporterMay 19, 2015
http://www.safety-reporter.com/articleview/24400-after-9-worker-deaths-in-5-years-feds-warn-about-dangers-of-inhaling-chemicals-at-oil-wells
コロラドノースダコタで各3人、テキサス、オクラホマ、モンタナで各1人が原油生産タンクで死亡している。多くは当初自然死や心疾患と考えられたが後にタンクでの計測中あるいは計測用のサンプルを採取中に炭化水素を吸入したことによる死亡であると確認された。全員が1人で作業していた。高濃度の炭化水素見当識障害をおこし時に死亡する。CDCはまだ死因の結論を出していない。政府はこの傾向について警鐘を鳴らした。突然の死者の増加はエネルギーブームにより経験の少ない労働者が働いていることとも関連するという。

  • ヘルスカナダはフルーツジュースをフードガイドから外すべきかどうかレビューしている

Health Canada reviewing whether fruit juice should be dumped from Food Guide –
Sheryl Ubelacker / The Canadian Press May 19, 2015
http://www.timescolonist.com/health-canada-reviewing-whether-fruit-juice-should-be-dumped-from-food-guide-1.1940357
連邦政府はカナダのフードガイドのもとでの健康的食事の選択肢からフルーツジュースを外すべきかどうか検討中である。食事助言では1日最大10単位の野菜や果物を食べるように薦めていて100%ジュース125 mLが1単位として薦められている。ヘルスカナダはジュースよりも丸ごとの果物を食べる方がメリットが大きいとしている。
肥満の専門家は長い間フルーツジュースは糖の含量が多くカロリーが高いのでフードガイドから外すべきだと主張してきた。コップ一杯のジュースはティースプーン5杯の砂糖と同じで、さらに健康的という不当なハローを纏っている。
(WHOがジュースの糖分も制限対象としたことで各国で議論がおこっている。そのうち果物も糖度が低い方がいいと言い出しそうな勢い。)

  • ノー、我々は皆携帯電話やwifiからの恐ろしい放射線漬けになってはいない

No, we’re not all being pickled in deadly radiation from smartphones and wifi
Simon Chapman(シドニー大学公衆衛生教授)、20 May 2015,
http://theconversation.com/no-were-not-all-being-pickled-in-deadly-radiation-from-smartphones-and-wifi-41980
明日のオペラハウスでのTedXシドニーのイベントで有名な神経外科医Charlie Teoが脳腫瘍について話す。先週の土曜日にはTeoはチャンネル9のSunrise番組に出て悪性脳腫瘍について話し、その中で「まだ決定的ではないが携帯電話が脳腫瘍の原因となる研究がある」と言った。Teoは最近国連に提出された電子機器や無線装置による電磁波暴露に重大な懸念があると述べている請願書にも署名している。今日のオーストラリアに生活している人々のほとんどは1日24時間なんらかの電磁波に暴露されている。それでがんはどうなったか?1987年の年齢調整脳腫瘍の有病率は10万人当たり6.6で2011年は7.3だった。グラフでは29年分のデータはほぼフラットであることがわかる。脳腫瘍は増加していない。携帯電話が脳腫瘍の原因であるという主張はがん評議会や米国のNCIも否定していてCharlie Teoの結論とは違う。他にオーストラリアから国連提出文書に署名しているのはPriyanka Bandaraである。
昨年私のもと生徒が大学のキャンパス内のwifiについて議論したいとやってきた。彼女は私のオフィスにBandaraと一緒にやってきてEMF測定装置をもって私の部屋には電磁波が一杯だと言った。彼女の主張は私がこれまで何度も聞いたことのあるもので、特定の問題に関心のある高名な科学者たちがたくさんの「ピアレビュー」された論文を書いていて、こうした情報が企業により抑えられていて多くの科学者は恐怖から沈黙している、という。これにより健康被害を被ったという個人が長々とした症状のリストを挙げ、それが出回る。例えばスマートメーターが原因だとされる症状のリストと風力発電が原因だとされる240以上の症状は驚くほどよく似ている。
Bandaraは「予防原則により学校からwifiをなくすべき、あなたはあなたの子どもを毎日電子レンジに入れたい?」という。
小さなリスクを警告することは現実に重大な影響を及ぼすことがある。スマートメータの電磁波が怖くなった女性が10代の娘にろうそくで勉強するように強いていることがニュースになった−ワイヤレスマイクでのインタビューに答えているのだが。怖がらせるメッセージはニセの暴露でも症状の報告を増やすことは実験で示されている。そしてそのような恐怖はあなたに魔法の塗料や保護手袋やそのたのインチキ製品をびっくりするような高い値段で売りつけるのに役立つ。技術の進歩は生活を向上させるが、それに伴う恐怖宣伝は止められないようだ。
International EMF Scientist Appeal
May 11, 2015
http://emfscientist.org/index.php/emf-scientist-appeal
(Charlie Teoはオーストラリアではテレビや本で治療不可能な脳腫瘍を手術して治すゴッドハンドとしてとても有名らしい、同業者からは良く思われていなくて学会も抜けている。↑のEMFアピールの署名は大雑把に電磁波過敏症患者の多さと電磁波危険言説の強さが関連するという皮肉。日本は関心が低いようだ)