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内分泌活性物質と非単調用量反応―EFSAが現在行っている作業

Endocrine active substances and non-monotonic dose response – EFSA’s ongoing work
20 May 2015
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/150520.htm?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=20150522&utm_content=hl
EFSAは現在、内分泌活性物質分野の科学的知見を発展させるために多くの取組みに携わっており、非単調用量反応やリスク評価における生物学的妥当性のような重なり合う問題にも取り組んでいる。この作業は内分泌かく乱物質の定義を規定するEFSAの2013年の科学的意見のフォローアップである。
内分泌活性物質は通常のホルモン活性に相互作用したり干渉したりする可能性のある化学物質である。2013年3月の科学的意見の中で、EFSAの科学的委員会は世界保健機関の内分泌かく乱物質の定義を支持した:この物質が内分泌系に相互作用や干渉した結果、有害作用を起こすことがあるという合理的な証拠が必要である。
化学物質の「低用量影響」(標準毒性学試験に一般的に使用されるのより低い量で生じる)と不規則な/非線形の(または「非単調」)用量反応関係についての仮説は毒性学とリスク評価のカギとなる概念を疑う。EFSAの2013年の意見では取り扱っていないが―それは内分泌かく乱物質を同定する基準と試験方法の妥当性についての欧州委員会からの特別な要請で実施された―EFSAはこの分野を超えた問題がより詳細な検討を必要とすることを認識している。
すでに2012年6月に、EFSAは低用量仮説について議論するために全世界からの主な科学者を呼び集めて科学討論会を開催した。EFSAは食の安全性分野で、ヒトリスク評価のための非単調用量反応に関する全ての入手可能なデータと研究の批判レビューを委託することで、2013年6月にこの作業をフォローアップした。この事業はフランスとオーストリアの食品安全機関(それぞれANSESとAGES)、スウェーデンカロリンスカ研究所とオランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)に委託され、2015年末までに結論を出す予定である。
・ヒトのリスク評価のための非単調用量反応のレビュー委託
http://registerofquestions.efsa.europa.eu/roqFrontend/questionsListLoader?mandate=M-2013-0206
間接的には、内分泌かく乱物質に関する2013年の意見に向けた科学委員会の議論中に、EFSAの専門家はまた、EFSAの広範な作業に影響を与えるリスク評価に使用されるいくつかの横断的な概念についてガイダンスが必要であると結論した。特に、生物学的妥当性に関するガイダンスは、評価に使用できるデータの有用性を決めるための専門家の判断(エキスパートジャッジメント)がどのように使われてきたかについてさらに明確にし共通の理解を作り出すことを目的とする。具体的には内分泌かく乱物質の意見に関する科学委員会の議論中に持ち上がったリスク評価における「有害性」についての重要な問題に取り組むことになるだろう。たとえば、観察された影響はその生物(たとえば実験動物)の有害影響なのかそれとも単なる適応反応なのか?入手可能なデータ(たとえばテスト結果)はヒトや評価される別の特定集団に外挿できるのか?
・実験の&ヒトの研究からの有害で明確な健康効果の生物学的妥当性を同定するためのガイダンスの委託
http://registerofquestions.efsa.europa.eu/roqFrontend/questionsListLoader?mandate=M-2014-0294
この分野にEFSAは関与し続け、EFSAの科学者は「内分泌かく乱物質」を同定する基準について話し合うための6月1日の欧州委員会の会議に参加する。EFSAの科学委員会の議長であるAnthony Hardy教授はEFSAの作業に洞察を加えるために委員会が計画した会議に出席する予定である。農薬評価に関わるEFSAの科学者も専門分野からの知見に寄与するだろう。EFSAは続いて欧州議会で行われる関連イベントにも参加する予定である。
これらの活動はこれらの問題に関する科学的知見と、それらを扱うリスク評価の最良の実践の向上に寄与している。