食品安全情報blog過去記事

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コメとコメ製品には高濃度の無機ヒ素が含まれる

Rice and rice products contain high levels of inorganic arsenic
11.06.2015
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2015/14/rice_and_rice_products_contain_high_levels_of_inorganic_arsenic-194366.html
BfRはコメ製品のヒ素量を最小化するための方法を探ることを薦める
連邦監視当局の分析で、コメとコメ製品には比較的高濃度の無機ヒ素が含まれることがわかった。この分析で、餅のような一部のコメ製品はコメ穀物よりも無機ヒ素量が多いことがわかった。「一部のコメ製品がコメ穀物よりも高濃度になる理由は明確にしなければならない」とBfRの長官は言う。「なぜならば無機ヒ素はヒトに対して発がん性があると分類されている化合物で、食品に含まれる量は実行可能な限り少なくすべきである、からである」
BfRはドイツ人におけるコメとコメ製品からの、特に有害な無機ヒ素化合物の摂取量を計算した。これらの計算によると、食習慣により、これらの食品は、特に子どもで、EFSAにより設定された無機ヒ素の総摂取量に相当な寄与となる可能性がある。
ヒ素は天然に地殻に存在し自然やヒトの活動により放出され土壌や地下水や地表水に入り植物に吸収される。食品には無機と有機の両方が存在する。無機ヒ素はヒト発がん物質に分類され長期間摂取するとたとえ少量でも皮膚の病変や神経障害、発達への悪影響、心血管系の問題等を引き起こしうる。
その独特の栽培方法と性質から、コメとコメ製品には他の穀物より高濃度の無機ヒ素を含む。BfRは連邦州が測定したコメとコメ製品の濃度に基づきドイツ人での健康リスクを評価した。この評価においては、摂取量データを用いて、乳児、幼児、子ども、成人などの異なる集団毎に無機ヒ素の一日摂取量を計算した。
結論:コメとコメ製品からの無機ヒ素の摂取量は比較的多い。従って、食習慣により、コメは無機ヒ素の総摂取量に相当な寄与をする。無機ヒ素の発がん性についてはリスクの増加と関連しない安全な摂取量は設定できないので、食品中の無機ヒ素化合物の量はできうる限り最小にすべき(ALARA)と考える。ALARAの基本原則は、食品中のこの物質の量は技術的にあるいは他の方法で、達成可能な限り低くすべきである、という意味である。
これまで入手可能なコメ製品のデータは、一部のコメ製品の無機ヒ素濃度が穀物としてのコメより高いことを示している。この理由は不明である。従ってBfRは、企業に、ある種のコメ製品のヒ素濃度の高い理由を明確にし、ALARA原則に沿ってヒ素濃度を最小化する対策を探るように薦める。
消費者には食品中のヒ素濃度がわからない。このためBfR欧州委員会のコメやコメ製品への無機ヒ素の欧州レベルでの最大基準値を設定するという決定を歓迎する。最大基準値が設定された後でも以下のBfRの助言はあてはまる。
BfRは消費者に対し、餅やライスフレーク/ライスプリンの摂取はほどほどにし、他の穀物でできた多様な製品を摂るように薦める。保護者に対しては赤ちゃんや幼児にライスミルクやライスプリンのようなコメを原料にした飲料や食品だけを与えないように助言する。セリアック病患者やグルテンに反応する消費者は、グルテンフリー製品を選ぶときにコメ製品に偏らないようにすべきである。コメ以外にもトウモロコシやソバ、アマランス、キノアなどのようなグルテンを含まない穀物が使える。
しかしながらコメはバランスの取れた食生活の一部であり続けるべきである。食品を選ぶときには、消費者は多様で幅広い食生活をするようにという一般的助言に従うべきで、可能であれば穀物の種類をいろいろなものにすべきである。