食品安全情報blog過去記事

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SMC UK

  • Lancet気候健康委員会の新しい報告書

new report from the Lancet Climate Health Commission
June 23, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/new-report-from-the-lancet-climate-health-commission/
Lancet気候健康委員会の新しい報告書は気候変動を「医学的緊急事態」と宣言した。著者は気候変動によるヒト健康への脅威は大きく、ここ50年の世界的健康や開発の成果を損なう可能性があるという。さらに大気汚染を減らし食生活を改善するという緩和/適応対策の健康上のメリットを示唆する新しい根拠を提示し、今世紀の世界の健康を改善する最大の機会の一つとなる。著者らがSMCに来て知見を発表する。

  • マウスとヒトでの絶食ダイエットの影響についての専門家の反応

expert reaction to effects of fasting diet in mice and humans
June 18, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-effects-of-fasting-diet-in-mice-and-humans/
Cell Metabolismに発表された研究が、毎月数日マウスにカロリー制限食を与えることの影響を調べ幹細胞の増加と組織再生を報告した。次に同様のカロリー制限食の予備的試験を少数のヒトで行い、加齢や糖尿病、心疾患のリスク要因の減少を報告した。
オックスフォード大学生化学准教授Lynne Cox教授
この新しい研究は絶食の影響を真似た特別な食事法が健康に過ごせる時間を長くするかどうかを報告した。何年もの間カロリー制限(毎日30-40%減らす)が加齢時の健康改善によいとされてきたが、この新しい食事法はカロリー制限よりやりやすそうだ。ヒトでは月に5日、三ヶ月間、通常の1/3から半分のカロリーを供給する低タンパク質植物ベースの食事代用品を摂る。
この研究の注目点は酵母細胞からマウス、及び小人数のヒトまでいろいろなモデルで実験していることである。全ての結果が一つの方向を示していて、定期的に絶食の真似をすることで(つまり微量栄養素は維持しながらカロリー摂取量を減らす)疾患のリスク要因が減ることである。最も注目すべきはマウスで45%がんの発症率が減ったことである。我々はマウスではなくマウスのがんの発症率がヒトより遥かに大きいが、食事が自己消化の促進と炎症削減による可能性があるという知見は重要であるかもしれない。
著者はこの食事法は医師の指導のもとでのみ、病気のある人は除いて、行うべきであることを強調している。実際この食事法はマウスが高齢になると突然の食事の変化による追加のリスクがありそうで期間を短くし、ヒトの飢餓食は総カロリーに対する脂肪の割合が驚くほど多い。試験の各群の男女比が違い平均年齢も違うことが比較を複雑にしている。著者の二人は既にダイエット食を販売する商売に乗り出している。ただいこれは必ずしもバイアスを意味せず単に彼らが自分たちの知見をいかに重大だと信じているかを示すだけかもしれない。
健康によいと主張する食事法はたくさんあるがこれについてはたくさんのデータがある。もちろんもっと調べる必要があり、マウスに関する限りこの食事法は若いマウスの死亡を減らすが高齢になって死亡率は加速する。ヒト試験は数が少なく短期間である。