食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 完全菜食主義者のイタリア人両親が息子の重症栄養不良が発見されて調査されている

Vegan Italian parents investigated for neglect after baby son found severely malnourished
By Alice Philipson, Rome 6:40PM BST 03 Jul 2015
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/italy/11716428/Vegan-Italian-parents-investigated-for-neglect-after-baby-son-found-severely-malnourished.html
両親は完全菜食主義の子どもへの影響を知らなかったという
11ヶ月の赤ちゃんが重症栄養不良で入院して両親が調べられている。虐待で告訴される可能性がある。医師によると子どもはビタミンB12不足で、這ったり座ったりできない。両親は30代で肉、卵、乳製品を食べない。赤ちゃんは固形食導入以降菜食主義にした。しかし親が与えた野菜を食べなかったので母乳を与えた。母乳のみでは6ヶ月を超えると栄養不良になる。ただし入院後、両親は間違っていたことを認識し、肉や魚を与えることに直ちに合意した。
数ヶ月前イタリア北部のベルガモで、裁判所がベジタリアンの母親に、12才の息子に肉を食べさせるよう命令した。肉を食べる父親が、息子が適切な食事を与えられていないと申し立てていた。

  • ジャンクサイエンス=がらくた政策

Junk science = garbage policy
By T. Becket Adams • 7/6/15 12
http://www.washingtonexaminer.com/junk-science-garbage-policy/article/2567516
この春、Johannes Bohannon博士とドイツの科学者チームが、低炭水化物ダイエットをしている人たちが奇妙なトリック−毎日チョコレートバーを食べる−でより早く痩せられることを発見した。世界中の報道室がこの知見に熱心に反応した。Huffington Post Indiaは「素晴らしいニュース:チョコレートが減量に役立つ!」と宣言し英国のDaily Mailは「イースターエッグをパスしよう!新しい研究はチョコレートを食べることがBMIに影響せず減量に役立つことを明らかにした!」と見出しを飾った。米国ではModern Healthcareが「ダイエットしている?チョコレートを忘れずに」と書いた。この話はインターネットや印刷物やテレビに広がり続けた。欧州の高級紙Bildですら「チョコレートで痩せる!」と題した報道をした。
ジャーナリストや読者はこれまで眉唾物の知見が出回るのを見てきた。しかしBohannonの研究は捏造ではない。この健康に関する研究は科学者やレポーターはジャンクサイエンスを見抜くことが滅多にないという仮説を調べるために意図的に計画された。この策略を見抜いたものはいない。
著者の分子生物学の学位をもつジャーナリストであり真のファーストネームはJohn であるBohannonは「我々の指摘したことの一つは、詐欺師にひっかかるのはジャーナリストではなく、この分野やその他の分野の科学者のほうである。科学の全体が科学者とジャーナリストの基準の低さによって毀損されている」という。
彼はWashington Examinerに、このプロジェクトへの関心は個人的経験に根ざす、と語った。彼の母親は科学的に怪しいダイエット法に騙されて、腎障害を負った。そのダイエット法に対して科学者やレポーターが誰も疑問を提示しなかったことにがっかりして、Bohannonは他にどれだけの研究が吟味されていないのか探り始めた。だからドイツのテレビレポーターであるPeter Onnekenが間違った科学を販売するのがどんなに簡単かを暴こうという考えで彼に連絡してきたとき、彼は賛成した。
「科学者が何をやっているのか知っていると考えているためにこれに騙された賢い人たちがいる」とExaminerに語った。"Institute of Diet and Health"という虚偽の研究所の名前で、Bohannonと協力者達は実際に試験を行い、賢明で説得力のある、ただしインチキのプレスリリースを作った。そして実際の試験の結果から、一部のデータを意図的に強調し重要な詳細情報をプレスリリースから外し、どれだけのメディアが気がつくか観察した。どこも気がつかなかった。研究をチェックした人はたった1人もいなかった。別の専門家のコメントを求めたり、著者自身に不正確である可能性について尋ねたりする人は誰もいなかった。
「私は報道がいかにひどいかを知ってショックを受けた。私はどれだけひどい人たちがプロのジャーナリストと自称しているかを認識していなかった。」と彼は言う。
問題はクリックを欲しがるオンライン出版だけにとどまらない。事実を確認する人を雇っている有名な出版社ですら研究の詳細はとばした。今や説明責任など全くない。戯言だけが溢れている。
メディアの状態
Gallupによると米国で議会の次に信用できないのが新聞、テレビ、インターネットニュースなどである。アメリカ人は地元ニュースを信頼していない。報道に関する一般の信頼は過去最低記録を更新し続けている。しかしアメリカ人は概して科学には好意的だ。報道が信頼を取り戻すために科学にしがみつくのは驚きではなく、事象「オタク(ナード)」「専門家」がメディアに増えていることを説明するだろう。新聞の見出しは「科学」トピックが増えている。「なぜあなたが仕事休みにFacebookを見たいのか科学が説明する」「科学が人類の存在をとうとう説明する」などの見出しが溢れる。
しかしBohannonの結論のように、ほとんどのリポーターは科学研究の機微には興味がない。彼らはセクシーな物語が欲しくて、それに権威があればなおいい。
科学ジャーナリズムが減っていることは否定できない。そしてナードが増えている。科学ジャーナリストの時代だと思うなら不思議ではないか?
ジャンクサイエンスの帰結は間違った情報が拡散することだけではない。間違った科学情報を吸収した人々は、Bohannonの母親のように、健康を害することもある。
政治、農薬、力
2013年4月に欧州委員会ネオニコチノイド3種の禁止を投票しメディアはミツバチを救うために正しい方向だと喜んだ。2年後、EUは禁止をどうするか検討している。農薬についてのセンセーショナルな物語を待ち望んだメディアはそもそも禁止が必要だったのかどうかすら尋ねることをしなかった。禁止後欧州のミツバチの巣の数は増えなかっただけではなく失われるミツバチの数に変化はない。そして農家は禁止により病害の増加で収量が減った。ジャーナリズムが仕事をしていたら禁止されていなかったかもしれない。
メディアはミツバチの数が本当に減っているのかどうかという最も重要な質問をしなかっただけでなく、禁止は科学によるものではなく政治によるものだということも見逃した。
欧州のネオニコチノイド禁止への一般の支持は2013年1月にEFSAの報告書が広く報道されたことによる。しかしこの規制機関のリスク評価は酷く間違って報道された。ジャーナリストは細かいことは気にせず、化学物質がミツバチに悪いとかき立てた。ドイツの研究グループは、ネオニコチノイドの禁止は大きな経済的ダメージをもたらすだろうといった。さらに5年禁止が続くとEUの農家の収入に最大190億ドルの減少となるだろう。
(以下セラリーニとかワクチンとかHayesのアトラジンとか)
最後はBohannonの「希望」で、彼の論文のニュースに読者からこの研究は欠陥があるという指摘があったこと。