食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 魚をたくさん食べることは鬱リスクを下げるのに役立つかもしれない−少なくともヨーロッパでは

Eating a lot of fish may help curb depression risk -- at least in Europe
10-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/b-eal090815.php
Journal of Epidemiology & Community Healthに発表されたプール解析
ヨーロッパの研究でしか関連がみられない

  • 安くて塩の多いジャンクフードの生産と販売を減らすことを政府に要請

Call for government to curb the production and sale of cheap salty junk food
10-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/uow-cfg090915.php
WHOのアドバイザーでWarwick大学医学部の心血管医学及び疫学教授Francesco CappuccioがBMJ Openに発表した研究によると、社会経済的地位の低い人たちは収入の高い人たちより塩を多く摂っていてそれが寿命の短さに寄与している。

  • 貧しい食生活と高血圧がいまや死亡のナンバーワンリスク

Poor diet and high blood pressure now number 1 risk factors for death
10-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/uom-pda091015.php
The Lancetに発表された世界疾病負担Global Burden of Diseaseプロジェクトの結果。1990-2013年の188ヶ国の79のリスク要因について検討。
・中東とラテンアメリカではBMIの高さが1番のリスク
・南及び東南アジアでは室内大気汚染、インドでは安全ではない水と子どもの栄養不良
・ロシアでは酒が2番目
・英国を含む高所得国では喫煙がナンバーワン。
・サハラ以南のアフリカでは子どもの栄養不良と安全でない水と衛生不良と安全でないセックスと飲酒の組み合わせ
Avoidable risk factors take an increasing toll on health worldwide
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/tl-arf090915.php
同じ内容のプレスリリース

  • 新石器時代の骸骨がくる病の初期の歴史を明らかにする

Neolithic skeleton reveals early history of rickets
10-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/uob-nsr091015.php
スコットランドのTiree島の新石器時代の骸骨にくる病が確認された。通常日光にあたらないことと関連するので農業を行っていたコミュニティにみつかるのは驚きである。この女性は子ども頃に栄養不良だった。どうして日光にあたらなかったのかは謎。Proceedings of the Prehistoric Societyに発表。

  • ココアフラバノールが健康なヒトの血圧を下げ血管機能を増す

Cocoa flavanols lower blood pressure and increase blood vessel function in healthy people
10-Sep-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-09/cl-cfl091015.php
EUが資金を提供したFLAVIOLA研究コンソーシアムがココアフラバノールが心血管系の健康を維持するのに役立つことを示す
Age とBritish Journal of Nutrition (BJN)に最近発表された二つの研究でココアフラバノールが心血管系の機能を改善し心臓の負荷を下げることを示した。
Ageに発表された研究ではフラバノールを含む飲み物と含まない飲み物を若い22人と高齢の20人に1日2回2週間飲んで血圧や血管の硬さなどを調べた。BNJの研究では100人に増やし1日2回4週間飲んでもらった。
(略。プレスリリースの中にココアフラバノール含量の記載がない。見てみると1杯で450 mgだそうで1日900mg。これによると900mgのココアフラバノールを摂るにはミルクチョコレートだと7110カロリーとることになるらしいけどhttp://www.drkney.com/pdfs/chocolate.pdf。)

  • 遺伝子組換えは良くある植物を抗がん戦士に変える

Scienceニュース
Genetic engineering turns a common plant into a cancer fighter
By Robert F. Service 10 September 2015
http://news.sciencemag.org/biology/2015/09/genetic-engineering-turns-common-plant-cancer-fighter
合成生物学が新たな勝利を刻んだ。本日研究者らが、かつて絶滅危惧のヒマラヤの植物から採取した強力な抗がん剤の合成原料を、よくある実験用植物で合成できるように遺伝子を改変したのだ。この新しい仕事で抗がん剤を十分供給できるようになり、より安全で効果の高い化合物を作るために研究者が化学的修飾をすることも簡単になる。
ヒマラヤポドフィルム(Podophyllum hexandrum)は細胞毒性のある化合物ポドフィロトキシンの原料で、これは抗がん剤エトポシドの合成原料である。エトポシドは1983年から米国で販売されたくさんの異なるがんの治療に用いられている。現在ポドフィロトキシンはアメリカポドフィルムから採集されているがこの植物は成長が遅くポドフィロトキシン含量が少ない。ポドフィロトキシンはいつでも植物にあるわけではなく、葉が傷つくとできる。スタンフォード大学の化学技術者Elizabeth Sattelyはポドフィロトキシン産生酵素を探り、タバコの近縁種Nicotiana benthamianaで発現させた。本日Scienceにオンライン発表された論文で、10の酵素グループを使ってエトポシドの直接の前駆体である(-)-4’–デスメチル-エピポドフィロトキシンを作らせることに成功した。