食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ブラックコーヒーはあなたがサディストであることの兆候ではない

STATS
Black Coffee is Not a Sign You Are a Sadist
by Kristin Sainani | Oct 26, 2015
http://www.stats.org/black-coffee-is-not-a-sign-you-are-a-sadist/
Huffington PostQuartzなどがブラックコーヒーを飲む人はサイコパスやサディストである可能性が高いと叫ぶ。しかしこのメディアの熱狂を作りだした研究はそのような主張の根拠をほとんど提供していない。この研究は二つのボランティア集団(n=504, n=449)でのオンライン調査である。彼らは10のパーソナリティ性質と8つの味覚嗜好を調査してその関連を調べた。その中でいくつかの「統計学的有意」な関連を見つけた。その一つが苦味が好きなことと反社会的パーソナリティである。しかしこの研究にはいくつかの統計学的問題と危険がある。ひとつは偽陽性である可能性−検定回数が多ければ多いほど偶然有意になる。これは多重比較の問題として知られているもので、この研究では80回の検定をしていてそれを補正していない。実際Hochberg法として知られる統計技法を使うと一つの群では関連が無くなる。もうひとつは例え関連があってもその強度が恐ろしく小さいということである。パーソナリティの変動のうちのたった4%である。(表で説明)
最後に結果が一貫性を欠く。参加者に特定の飲料や食品(コーヒーを含む)の好き嫌いを聞いた場合には苦い食品と反社会的パーソナリティに関連がない。研究者は複雑な説明を試みているがもっとありそうな説明は単にこの結果が信用できないということである。

  • ヒトの血を吸った蚊を殺す薬物

Scienceニュース
Drug could kill mosquitoes when they feast on human blood
By Martin Enserink 27 October 2015
http://news.sciencemag.org/africa/2015/10/drug-could-kill-mosquitoes-when-they-feast-human-blood
先月ノーベル賞を受賞した30年前の抗寄生虫薬イベルメクチンがもう一つの働きを持つかもしれない−蚊を殺す。ブルキナファソでの新しい研究が、人々にイベルメクチンを集団投与するとその血を吸った蚊を殺すあるいは弱くしてマラリアの伝染を減らせる可能性があることを示唆した。
(なんかいろいろすごい)

  • 規制の拘束を逃れ、23andMeはいくつかの健康検査を再開、さらに多くを売ることを望む

Natureニュース
Out of regulatory limbo, 23andMe resumes some health tests and hopes to offer more
Erika Check Hayden 27 October 2015
http://www.nature.com/news/out-of-regulatory-limbo-23andme-resumes-some-health-tests-and-hopes-to-offer-more-1.18641
FDA嚢胞性線維症やベータサラセミアなどの36の疾患に関連する遺伝子を持っているかどうかについての検査の販売を認めた。これらは「キャリア」かどうかについての情報で彼(女)らの健康状態について何かを言うものではない。

  • 中国の公衆衛生が劇的に進歩

ScienceInsider
China making dramatic public health gains
By Dennis Normile 27 October 2015
http://news.sciencemag.org/asiapacific/2015/10/china-making-dramatic-public-health-gains
Lancetに発表された二つの研究によると、過去数十年の中国の大幅な経済成長は画期的健康状態の改善につながった。しかし地域格差は残る。

  • 議論の多い慢性疲労研究に批判山積

Criticism mounts of a long, controversial chronic fatigue study
By Jon Cohen 27 October 2015
http://news.sciencemag.org/health/2015/10/criticism-mounts-long-controversial-chronic-fatigue-study
慢性疲労症候群の治療について検討した2011年のLancetの研究がいまだに議論をよんでいる
運動と行動療法が慢性疲労症候群CFS)の治療に役立つことを示した2011年の試験の著者が、当初の知見を支持するフォローアップ研究を本日発表した。しかしこの新しい報告は最初の試験に対する一人のジャーナリストからの長々とした極めて批判的な吟味の直後だった。
問題になっているのは英国で行われている800万ドルをかけたCFSの各種治療法を検討したPACE試験で、認知行動療法により症状の「弱い改善」が見られたが他の専門医による治療法や適応療法は役にたたなかったと報告している。
この研究は患者団体から激しい反発を受けた。その中にはこの研究がCFS/MEが心理的原因が関与していることを示唆するものだという苦情があった。一方研究者からは方法論に欠陥があるという批判もあった。
ジャーナリストDavid Tullerは10月21日にこの試験について吟味する4つのシリーズの第一部をコロンビア大学微生物学者Vincent Racanielloのvirology blogに掲載した。彼はPACE試験の発表後CFS/ME患者が「病気についての考え方を変えるだけで良くなると責められた」と書いている。また方法論についてのいくつかの指摘をしているがこの記事についてのコメントが患者団体のウェブサイトに溢れている。そこにPACE試験の著者による新しい論文がThe Lancet Psychiatryに発表され、火に油を注いだ。この研究では介入による利益が長期間維持されていると結論している。

  • 神経科学者がオーストラリアの主任科学者に選ばれる

Neuroscientist tapped as Australia’s chief scientist
By Leigh Dayton 27 October 2015
http://news.sciencemag.org/asiapacific/2015/10/neuroscientist-tapped-australia-s-chief-scientist
Alan Finkelが次期オーストラリア主任科学者であるとMalcolm Turnbull首相が発表した。
Finkelはオーストラリア科学技術アカデミー会長でMonash大学の前学長。Finkelの二つの優先課題はオーストラリアの革新の乏しさと化石燃料に依存しない将来への道を示すこと

  • IARCの赤肉と加工肉のレビュー−ニュース

SMC NZ
IARC review on red & processed meat – In the News
October 28th, 2015.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2015/10/28/iarc-review-on-red-processed-meat-in-the-news/
IARCの評価を伝えるニュースへのリンク
(比較的食肉業界の見解を伝えるものが多いような感じ)

Firm: 10% of vegetarian hot dogs contain meat
Oct 27 2015
http://www.clickorlando.com/lifestyle/health/firm-10-of-vegetarian-hot-dogs-contain-meat/36051614
Clear Labsの調査によるとベジタリアンホットドッグの10%には肉が含まれ、ホットドッグの2%からはヒトDNAが検出された。結論として調べたホットドッグやソーセージの14.4%に「問題がある」
コーネル大学の食品安全専門家のMartin Wiedmann教授はClear社の結果は意味が無く、自社サービスを販売するためのセンセーショナルなマーケティングである、という。
Clear Labsは遺伝子検査を売りにしているが分析法は公開していない。
Clear Labsであろうとなかろうと、遺伝子検査が広く行われるようになると、食品製造業者は対応を迫られることになるだろう

  • 10人中9人のオーストラリア人が医療用大麻を支持

Nine out of ten Aussies support medical cannabis
October 28, 2015
http://www.echo.net.au/2015/10/nine-out-of-ten-aussies-support-medical-cannabis/
NSW政府は、新しい調査の結果10人中9人のオーストラリア人が医療用大麻を支持していることが示されたため試験を行うことを発表した。重症の、薬物が効かないてんかんの子どもに2016年から処方を始める。
(効果があるかどうかわからないうちから圧倒的に支持って謎。)

  • カリフォルニアはがん警告リストに肉を加えることを検討

California considers adding meat to cancer-alert list
Wed Oct 28, 2015
http://www.reuters.com/article/2015/10/28/health-meat-california-idUSL3N12S17120151028
カリフォルニアの検討は肉業界とのバトルの予感。これまでもカリフォルニアは消費者の要求に応える最前線で、チキンのケージを大きくする法律を作ったり家畜への抗生物質使用を制限したりしてきた。こんどは肉業界。1986年に成立したProposition 65では発がん性のある全ての化合物を消費者に警告しなければならない。
スターバックスはカリフォルニアのNPOからコーヒーに含まれる発がん物質アクリルアミドを表示しなかったことで訴えられている。肉業界はベーコンやホットドッグへの警告表示を阻止しようしている。カリフォルニア環境事務所は9月にはグリホサートをProp65リストに入れるつもりだと通知している。
(フライドポテトは既に警告対象なので別に驚かない。)

  • プロシュートパニックにならないで:イタリアの生産者がWHOの肉報告に反応

No prosciutto panic, please: Italian producers respond to WHO meat report
October 27, 2015
http://www.torontosun.com/2015/10/27/no-prosciutto-panic-please-italian-producers-respond-to-who-meat-report
イタリアの肉豚肉協会によるとイタリア人は加工肉を平均1日25g食べていて50gより少ないという。
(有名ブランドの生ハムみたいな高いものはもともとそんなに食べられないから庶民には関係ないよねぇ)

Putting radon on the radar
October 27, 2015
http://www.intelligencer.ca/2015/10/27/putting-radon-on-the-radar
オンタリオの20家庭中1家庭はラドンガス濃度が高い、とカナダがん学会が警告する
オンタリオではラドンガスにより毎年850人が死亡していて火事と一酸化炭素中毒による死亡の合計より10倍も多い。地下室のラドン濃度を検査すべき。

  • たとえ健康上の利益があっても、チョコレートはお菓子であって健康食品ではない:ハーバード

Chocolate's a treat not a health food, despite benefits: Harvard
Tuesday, October 27, 2015
http://www.ctvnews.ca/lifestyle/chocolate-s-a-treat-not-a-health-food-despite-benefits-harvard-1.2629499
もうすぐハロウィーンなのでチョコレートについて、あなたが思っているほど心臓や記憶力にいいわけではないことを注意しておくもいいだろう。ハーバード女性健康ウォッチの記事で、観察研究でチョコレート摂取と心疾患や認知症の削減との関連が報告されていたとしても、それは因果関係ではない。そしてチョコレートの健康効果は多分フラバノールによると考えられているがチョコレートのフラバノール含量は様々である。現在JoAnn Manson博士らが毎日750mgのフラバノールカプセルを摂取することの影響について18000人の参加者での研究を行っている。750mgのフラバノールを摂るにはミルクチョコレートなら1000カロリー以上、ダークチョコレートでも700カロリー以上を食べなければならない。ミルクチョコレート1000カロリーだと砂糖と飽和脂肪の摂取量が1日の推奨摂取量をはるかに超えてしまう。そしてホワイトチョコレートにはフラバノールは含まれない