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加工肉は「がんの原因」とWHO報告が警告

Behind the headlines
Processed meat 'causes cancer' warns WHO report
Tuesday October 27 2015
http://www.nhs.uk/news/2015/10October/Pages/Processed-meat-causes-cancer-warns-official-report.aspx
Daily Telegraphが「加工肉が喫煙と並んでがんの主要原因にランキングされる、とWHOが言う」と報道した。グループ1発がん物質−タバコ、アルコール、アスベストと同じランクになった。WHOのIARCが赤肉と加工肉の摂取とがんの関連を評価した報告を発表した。Q & Aも発表された。この報告書では赤肉というのは牛肉、子牛肉、豚肉、羊肉などを指し、加工肉とは塩漬け、発酵、燻製などの加工で変換されたものを指す。最大の根拠は直腸結腸(大腸)がんとの関連である。
この報告はどのようにメディア報道されたか?
英国メディアの報道の質はいろいろだった。一部のメディアはグループ1発がん物質に分類されたことが、他のグループ1発がん物質と同じくらい危険だというみなす落とし穴にはまっていた。この例はDaily Expressの「加工肉はタバコと同じくらい危険」という見出しなどである。これは単純に事実ではない。
グループ1発がん物質はがんの原因となることがわかっているというものでこのグループの物質が全て同じリスクだという意味ではない。ベーコンサンドが兵器レベルのプルトニウム暴露と同じくらい危険なことはないし、ハムロール一つより毎日20本の喫煙のほうが遥かに危険である。Daily Mailや Guardianは加工肉を食べることのリスクを文脈に従って報道する努力をした。どちらの新聞もCancer Research UKが作った有用なインフォグラフィクスへのリンクを提供した。このインフォグラフィクスで提供されている重要な統計は、もしみんなが禁煙したら年に64500のがんが減らせるが、もしみんなが加工肉あるいは赤肉を食べないとしたら8800減るということである
この助言はどのような根拠に基づいているのか?
赤および加工肉とがんの関連は新しい知見ではなく、これらを食べる人で大腸がんが多いことを示唆する根拠はたくさんある。Cancer Research UKによると大腸がんの21%、全てのがんの3%が赤肉による。
WHOのワーキンググループは800以上の観察研究を評価し解析した。しかしながら全てのバイアスや交絡を排除することはできない。
リスクは?
直腸結腸がんと加工肉についての正の関連は、肉を調べた18のコホート研究のうち12で、9の症例対照研究のうち6でみつかった。10のコホート研究の結果をプールしたレビューを見て、ワーキンググループは1日100gの赤肉を増やすと直腸結腸がんのリスクが17%
(95%信頼区間1.05 から1.31)、加工肉50gで18%(95% CI 1.10 から 1.28)増えることを発見した。また赤肉摂取と膵臓がんと前立腺がん、加工肉と胃がんの関連を示すデータもあった。
これらの知見の結果、WHOワーキンググループは加工肉を「ヒト発がん物質」と分類した。赤肉については根拠が限られるので「おそらくヒト発がん物質」と分類した。
どのくらいの赤肉を食べるのは安全なのか
WHOワーキンググループの助言は現在の公衆衛生助言である加工肉と赤肉を食べる量を制限するようにという助言を支持するものである
保健省は赤肉と加工肉の摂取量が1日90g以上(調理後重量)なら70gまで減らすように助言している。90gというのは牛肉羊肉豚肉の、スライスしたパンの半分の大きさの薄切り3枚に相当する。典型的な英国式ソーセージ2本と薄切りベーコン2枚を含む朝食は130gに相当する。
赤肉を全く食べないようにする必要はない、それはタンパク質や鉄、亜鉛ビタミンB12などの良い栄養源である。もしあなたが現在大量の赤肉や加工肉を食べているなら、減らすのが良いだろう。以下のような方法がある:
・肉を小さくする
・チキン魚に変える
・週に数日赤肉を食べない日にする
・肉の代わりに一部を豆にする
・ベーコン、チョリソー、サラミの代わりにチキンソーセージやベジタリアンソーセージにする
(魚肉ソーセージ安くていいよ!)