食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

運動と療法が「慢性疲労症候群に有効」

Behind the headlines
Exercise and therapy 'useful for chronic fatigue syndrome'
Wednesday October 28 2015
http://www.nhs.uk/news/2015/10October/Pages/Exercise-and-therapy-useful-for-chronic-fatigue-syndrome.aspx
481人の長期研究結果を報道するDaily Mailの単純化した見出しは「MEにはポジティブシンキングと運動で打ち勝てる」だった。この研究は慢性疲労症候群CFS)の4つの治療法を比較したもので研究者らはそのうち2種類の治療法が2年有効だったことを発見している。2011年の研究では認知行動療法(CBT)と運動療法(GET)が効果的だということが報告されさらに2年間追跡してどうなったかを調べた。その結果CBTとGETは改善の程度を維持し、他の二つの治療法、スペシャリストによる治療(SMC)と適応的療法(APT)は研究最終年以降改善していた。しかし研究者が結論しているように「まだより良い治療法が必要である」。
Daily Telegraphや Daily Mailは研究を紹介しながらもCFS心理的あるいは精神的疾患なのかどうか、研究者と患者団体の意見の違いに焦点をあてて報道している。しかしこの研究は治療法の比較でありこの病気の性質についてのものではない。

関連

  • MEは「思いこみ」であると示唆する見出しへの反応

Sense about science
Response to headlines suggesting ME 'is all in the mind' –
28 October 2015
http://www.senseaboutscience.org/resources.php/214/response-to-headlines-suggesting-me-is-all-in-the-mind
Daily Telegraphと Daily Mailなどの10月28日の記事が、新しいME/CFSについての研究がこの病気は「思いこみ」であり、ME/CFSが「慢性で治らない」という見解に反すると報道した。
この研究の主著者のオックスフォード大学精神医学教授Michael Sharpe
この研究はME/CFSが「思いこみ」だということを発見したものではない、実際病気の原因については一切検討していない。人々はこの種の治療方法に効果があるならその病気の性質についてもわかると考えているがもちろんそうではない。この研究は病気の原因についてではなく、どうすれば病気の人の役にたつかを調べたものである。「思いこみ」というはこの病気についての大きく間違った説明である。
この研究はME/CFSが慢性疾患であるという見解とは矛盾しない。効果があるとされた治療法は「完治」するものではなく全ての人に有効ではない。ただ良い知らせはこれらの治療法の効果が2年経っても明確で病気が再発していないことである。これはこれらの治療をやってみたい患者にとっては安心材料である。

  • CFS/ME のリハビリ治療PACE試験の長期フォローアップ研究とそれに伴うコメントへの専門家の反応

SMC UK
expert reaction to long-term follow-up study from the PACE trial on rehabilitative treatments for CFS/ME, and accompanying comment piece
October 28, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-long-term-follow-up-study-from-the-pace-trial-on-rehabilitative-treatments-for-cfsme-and-accompanying-comment-piece/
King’s College London応用心理学教授Rona Moss-Morris教授
これはいくつかの限界はあるが著者はそれについては明確にしているしっかりした研究だと思う
しかし効果のない患者もいるのでさらに研究が必要である。またPACEで用いられたCBTやGETはCFS患者専用に作られたもので鬱や不安治療用のCBTやジムで行われている運動とは違うことに注意。
(メディアの風向きが変わって来たのだろうか?)