食品安全情報blog過去記事

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論文

The authenticity and quality of Rhodiola rosea products
Anthony Booker et al.,
doi:10.1016/j.phymed.2015.10.006
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0944711315003189
Rhodiola rosea L. Crassulaceaeの根(ゴールデンルート)は英国では伝統的使用歴に基づきストレスによる疲労や不安などの治療用に登録されている高価なハーブ治療薬である。一方登録されていない無数のサプリメントが販売されていて、中国伝統薬として使用されてきたRhodiola crenulataが混入していることがある。そこで約40の市販製品を分析した。
その結果製品の内容物は様々で、約1/5はR. roseaを含むと主張しながら指標化合物であるrosavinを含まない。残り製品の約80%は登録製品に比べてrosavin含量が少なく、他のRhodiola種の植物を使っているようだった。

  • 何十年も前にミルクに検出された農薬がパーキンソン病の兆候と関連するかもしれない

Pesticide found in milk decades ago may be associated with signs of Parkinson's
9-Dec-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-12/aaon-pfi120715.php
Neurologyに2015年12月9日に発表された滋賀医大との共同研究。
ホノルル−アジア加齢研究では、平均年齢54才の日系アメリカ人男性449人を死亡するまで30年以上フォローしている。死後剖検して脳細胞を観察している。1980年代初めはハワイのパイナップル農場で農薬が多く使われミルクの濃度が高かった。この研究では非喫煙者で1日2杯以上のミルクを飲む人の脳細胞が少なかったが喫煙者では関連がなかった。ただしミルクの摂取について尋ねたのは開始時の一回のみ。疑われているのは今は使われていないヘプタクロル。

  • The Lancet:幸福と不幸は死亡率に直接影響しない

The Lancet: Happiness and unhappiness have no direct effect on mortality
9-Dec-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-12/tl-tlh120815.php
英国100万人女性の研究で、幸福自体は死亡率に直接影響しないことが示された。広く信じられている不幸やストレスが直接病気につながるという間違った信念は原因と結果を混乱させた研究に由来する。
命に関わる病気は不幸の原因になるので不幸と死亡率の高さには関連がある。さらに喫煙者は非喫煙者より不幸な傾向がある。しかし喫煙歴や既往症やその他の社会経済学的要因を調整すると不幸自体は死亡率増加には関連がなくなった。英国ミリオンウーマンスタディでは6人中5人が概ね幸福だと回答し6人中1人が概ね不幸だと回答している。

A gold standard to improve cancer genome analysis
9-Dec-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-12/gcrc-ags120915.php
国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC)が研究質間のゲノム解析の正確さを調べた。5つのラボにある一つの腫瘍のDNAを配布し配列決定されたデータを比較した。さらに最も質の高い配列データを17の研究所に送ってバイオインフォマティクス評価を行った。その結果シークエンシングでも評価でも相当なばらつきがあることがわかった。約1000の単一DNA変異のような小さな変異のうち全てのチームで同じように検出できたのはたった40%だった。DNAの消失や挿入のようなものはさらに成績が悪く337の変化のうち5つのラボで一致したのはたった1つだった。この事態を改善する対策を提案している
Nature Communicationsに発表。
(こういうことに参加していないところはもっとひどいとみなすべき。)

  • 親の懸念を強調した研究が、背の低い子どもについての長く続く議論を再構成する

In short children, a study highlights parents' concerns, reframes a long-running debate
9-Dec-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-12/chop-isc120915.php
1985年に遺伝子組換えヒト成長ホルモンが入手できるようになってから、特に病気ではないが背が低い子どもに毎晩成長ホルモンを投与するのは正当な治療なのかどうかについて議論がある。さらに背が低いことを心配して治療を求める親は子どもの大人になってからの成功や社会心理学的影響を懸念している。身長が低くて治療を求めるのは男の子のほうが多い。Hormone Research in Paediatricsに発表されたこの研究は親に対する調査。
(治療で低身長の人が減ると平均が上がってさらに多くの人が治療したがるのでは。身長高いと多分がんリスクも高くなるけど)

  • 汚染された蜜は害虫コントロール昆虫の行動を変えるかもしれない

ScienceSHOT
Contaminated nectar may change behavior of pest-controlling insects
By Amy McDermott 9 December 2015
http://news.sciencemag.org/chemistry/2015/12/contaminated-nectar-may-change-behavior-pest-controlling-insects
Basic and Applied Ecologyに発表された研究によると、昆虫が花を訪れると蜜が細菌や酵母で汚染され、これらの微生物が蜜を餌にし他の化合物に変換することで虫にとっての蜜の魅力を変える可能性がある。

  • Twitterユーザーにポジティブなニュース:あなたの絵文字(emoji)は概ね楽観的

Positive news for Twitter users: Your emojis are mostly upbeat
By John Bohannon 9 December 2015
http://news.sciencemag.org/brain-behavior/2015/12/positive-news-twitter-users-your-emojis-are-mostly-upbeat
欧州13言語での絵文字の一般感情への翻訳データベースを作った。751の絵文字について感情的にネガティブか中立かポジティブかを分類し、ツイートされている絵文字のうちネガティブなのは20%以下だった。調べた言語全てで概ねポジティブなもののほうが多かった。
Emoji Sentiment Ranking
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0144296
(顔文字(こんなの;-))がemoticonでスマイルマークみたいなのがemojiと呼ばれているようだ)