食品安全情報blog過去記事

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  • Chipotleの信用失墜

Chipotle’s fall from grace
By Rick Berman Monday, December 14, 2015
http://www.washingtontimes.com/news/2015/dec/14/rick-berman-chipotles-fall-from-grace/
このチェーン店は誠実であることよりもマーケティングを重視することのリスクについての教訓となる
ボストンカレッジのバスケットボールチームは、しばらくは試合後の食事にChipotleを選ぶことはないだろう。100人以上の学生が感染したアウトブレイクの一部として少なくも8人の選手がここで食事をしてノロウイルスに感染した。
この事件は今年Chipotleが関連した5回目の食中毒アウトブレイクである。このニュースは太平洋北西部7州での大腸菌アウトブレイクの拡大とともに危機を拡大しChipotleの株価は10月から30%近く下がった。
Chipotleは長い間多くのビジネスから羨望の的だった。特にレストラン業界では。今や「Chipotleに続く」は警鐘である。
特にChipotleにとって悪いのはこれらのニュースがこの会社のブランドとマーケティングの中核に打撃を与えたことである。Chipotleのモットーは「食品を誠実に」で何年もの間他のレストランよりよりクリーンでより健康的な食品を提供していると宣伝してきた。皮肉なことに事実は他のレストランよりばい菌が多く不健康であることが証明されてしまったのだ。Chipotleのイメージを作るのに何年もかかったが、壊れるのは一瞬である。
皮肉なことにChipotleはこれまでゴミ箱に捨ててきたシステムの助けを求めている。今年Chipotleレストランの1/3が、意味のない「抗生物質を使用していない」自慢基準を満たす供給業者を見つけられなかったという理由で豚肉の提供を停止した。最終的には英国の供給業者に落ち着いたが病気の治療に抗生物質を使うことは認めた。
こんな表面的なことに意味はない。Chipotleは同社の「抗生物質フリー」肉には残留薬物は含まれないということを意味する宣伝をしているが、全ての食肉に抗生物質は含まれないという事実は伝えない。Chipotleはまるで「ホルモンフリー」牛肉は特別なものであるかのように宣伝しているがその豆腐や豆には牛肉より多くの天然ホルモンが含まれる。そしてChipotleはオーガニックを喧伝するが、適切に行わない場合大腸菌などの汚染が入りやすい。そして地元産の牛肉を宣伝しながら多くのステーキはオーストラリア産で、「ローカル」に新しい意味を与えている。
Chipotleの事例は実際に提供できる能力を超えたマーケティングを許してしまうことの教訓となる。Chipotleのブランドは高く力強いが中身のない「持続可能」「責任ある飼育」「誠実」といった単語の上に築き上げられた。ローカル、オーガニック、GMOフリー、などのようなバズワードをちりばめて。
Chipotleは食品にイデオロギーを持ち込む進歩的食通たちの寵児になった。これらの人々は有機農業が好きで遺伝子の改変のような新しい技術は嫌う。そして企業が嫌いである。
彼らはChipotleが巨大企業であることを無視する。なぜならChipotleは大規模農業が悪であると、正しいことを言うので。誤解を招く動画や広告でChipotleは慣行農法が良くて工業は悪だという物語を創った。そのうちのひとつ「案山子」という動画は150万回再生された。
単刀直入に言うとChipotleは実質より見かけを重視した。
今やこのチェーン店は信頼を失い地盤を作ろうとしている。言い方を変えると真に持続可能ではなかったのがChipotleの食品についての物語だ。
世界中に食品の供給源を探すのは悪いことではない。主流の食品供給システムは我々に食料を供給するということはよくやっている。「大規模農業」は悪だというキャンペーンにもかかわらず、USDAによると米国の農場の97%は家族経営である。
Chipotleはファンタジーに耽っていた。進歩的な人たちはお腹をすかせた世界のためには賢く食品を生産しなければならない現実を知っている。

  • 小児科医は大麻の処方に根拠はないと警告

Pediatricians warn evidence doesn’t support marijuana prescriptions
The Globe and Mail
Published Monday, Dec. 14, 2015
http://www.theglobeandmail.com/life/health-and-fitness/health/pediatricians-warn-evidence-doesnt-support-cannabis-prescriptions/article27722743/

カナダ小児科学会意見表明
医療用大麻は子どもの治療の選択肢か?
Is the medical use of cannabis a therapeutic option for children?
Dec 14 2015
http://www.cps.ca/en/documents/position/medical-use-of-cannabis
カナダ小児科学会医薬品治療と有害物質委員会
現在難治性のてんかんに医療用大麻が有効だという症例が報告されて子どもに大麻を使用しようとメディアが主張している。しかし全体として子どもへの大麻の使用は有効性も安全性も十分な情報がない。逆に有害だという根拠はますます増加している。また子どもに投与する方法として喫煙は許容できない。特定事例での医療用大麻の使用を大麻を娯楽用に使うことの正当化のために使うべきではない。

Alberta Fentanyl Deaths Reach Crisis Levels
Updated: 12/14/2015
http://www.huffingtonpost.ca/2015/12/14/alberta-fentanyl_n_8805628.html
アルバータでは週に5-6人がフェンタニルの過剰使用で死亡し政府は対応に迫られている。2015年1月から9月までの間にアルバータでのフェンタニルが関係する死亡は213で、2011年はたった6だった。解毒剤のナロキソンへのアクセスを改善し自宅用ナロキソンキットを追加購入した。

コンシューマーラボ
Product Review: Vision Supplements with Lutein and Zeaxanthin
Initial Posting: 12/12/15
https://www.consumerlab.com/reviews/lutein_zeaxanthin_supplements_review/lutein/
多くのものは品質検査に合格したがどれがあなたにとって正しいのか?

  • 2015年科学ニューストップ10

SMC NZ
Top Ten Science Stories of 2015
December 15th, 2015.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2015/12/15/top-ten-science-stories-of-2015/
・キウイ(鳥のほう)の遺伝子配列決定
ニュージーランドの環境報告書
・魚油サプリメントの品質が疑わしい
・1080ミルク騒動(犯人は金儲けのための脅迫を行った60才のビジネスマン)
・Kermadecs島の保護
エルニーニョの予想
・外来ミバエ警告
・カンナビジオール油の薬効について
・巨大地震
・動物細胞間のミトコンドリア遺伝子交換

  • 流れを断ち切る(幹細胞の潮流?)

Natureエディトリアル
Stem the tide
09 December 2015
http://www.nature.com/news/stem-the-tide-1.18976
日本は証明されていない臨床試験のために患者が支払うシステムを導入した
日本はiPS細胞の再生医療への応用に熱狂していて(feverishly)数十億円を投じて市場に投入しようとしている。この戦略は9月に最初の治療法が認可された時点までは有効だった。しかしこのような加速が日本の医療システムや患者にとって利益があるかどうかは明確ではない。テルモのHeartSheetが7人での試験で臨床に「条件付き認可」された。5年以内に最低60人の患者と120人の対照のデータを提出する必要がある。
このような認可は日本のiPS細胞のノーベル賞受賞以降渇望となった再生医療のフロントランナーになりたいということとこれまであまり成功していないバイオテクノロジーを成長のエンジンにしたいという二つの強迫観念を強化する。
患者は熱狂的にお金を払うだろう。HeartSheetは約1500万円で、医療保険から支出されるものの患者は効果があるかどうかわからない医薬品の費用として10-30%負担する。
このことは医薬品の発見モデルを変えるものだ。通常医薬品開発の投資は製薬企業が負担する。今やリスクが外部に委託された。治療法に効果がなくても企業は儲けられる。
もし効果がないことが証明されたら?患者への払い戻しはされない。日本の医薬品規制当局は市販後評価は厳格に行うといっているが既に認可された医薬品を抑えるのは簡単ではない。評価が手ぬるければ、やがて日本には効果のない治療法が溢れるであろう(注:この部分が囲みで強調)。そしてそれは患者にとっても政府にとっても、真に効果のある医薬品を開発したいと思っているバイオテク企業にとっても良くないことだろう。
(外から見たら熱に浮かされてるように見える。日本でiPSに批判的なことは言えない雰囲気だし。地味な公衆衛生のためのリソースは配分されないのに。)