食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 病院の内と外で生むことのリスクは?

What are the risks of giving birth inside and outside a hospital setting?
30-Dec-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-12/ohs-wat122915.php
新しい研究は母子のアウトカムを調べ、統合的ケアシステムへのドアを開く
NEJMに発表されたオレゴン健康科学大学の研究。オレゴンでの病院外出産は周産期の死亡リスクの高さと、病院内出産は帝王切開やその他の介入(陣痛誘発など)リスクの高さと関連する。オレゴンの女性はどこであっても安全な出産をする可能性が高いが、自宅やバースセンターでの出産は経膣出産の可能性が高いが小さいながら統計学的に有意な赤ちゃんの有害事象リスク増加がある。

  • 虚血性脳卒中患者の食習慣:症例対照研究

Dietary habits in patients with ischemic stroke: a case-control study.
Rodríguez-Campello A, et al.,
PLoS One. 2014 Dec 15;9(12):e114716.
スペインの病院での2007年から2010年の患者300人と対照300人の比較。患者はカロリー摂取量が多く健康的な栄養習慣にあまり気を遣っていない

  • プロバイオティクスを投与された早産児のBifidobacterium longum(ビフィズス菌)菌血症

Bifidobacterium longum bacteremia in preterm infants receiving probiotics.
Bertelli C, et al.,
Clin Infect Dis. 2015 Mar 15;60(6):924-7.
投与されたプロバイオティクス由来の菌血症2例の報告。スイス。

  • 植物食品サプリメントと植物製品の有害影響:臨床的因果関係評価を伴う系統的レビュー

Adverse effects of plant food supplements and botanical preparations: a systematic review with critical evaluation of causality.
Di Lorenzo C, et al.,
Br J Clin Pharmacol. 2015 Apr;79(4):578-92.
PubMed/MEDLINE および Embaseの検索。植物成分による有害事象の報告は比較的少なく、重大な反応は限られているものの死亡例も報告されている

  • 食事からのヘテロ環状アミン摂取、NAT2遺伝的多型および直腸結腸腺腫リスク:東京直腸結腸腺腫研究

Dietary Heterocyclic Amine Intake, NAT2 Genetic Polymorphism, and Colorectal Adenoma Risk: The Colorectal Adenoma Study in Tokyo
Sanjeev Budhathoki et al.,
http://cebp.aacrjournals.org/content/24/3/613.long
がんセンター。2004年から2005年に大腸内視鏡検査を受けた腺腫患者738人と対照697人の食事調査から肉と魚の摂取量をもとにHCA暴露を推定。毛髪中PhIPで検証。MeIQと総HCA摂取量の多さが女性の直腸結腸腺腫のリスク増と関連するが男性では関連しない。PhIPやMeIQxとの明確な関連はなくNAT2アセチル化遺伝子型による修飾は観察されなかった。
(推定摂取量がPhIPは最小1/4が7.4あるいは7.5で最大1/4は33.4ng/d、MeIQxが1.8-7.4、MeIQが1.5-6.2、総HCAが12.3-54.3で女性だけ有意
肉の摂取量に男女差があまりないようだが・・男性の平均BMI24で摂取カロリー1930、女性が22.6で1917って明らかに男性の過小報告度合いが大きい。それで数ngのHCAの摂取がどうこう言えるかな)

  • 反ワクチンの両親は金持ちで教育レベルが高い

Anti-Vaccination Parents Richer, Better Educated
Dec 31, 2015 04:30 PM ET // by Benjamin Radford
http://news.discovery.com/human/psychology/anti-vaccination-parents-richer-better-educated-151231.htm
“American Journal of Public Health”に最近発表された研究では医学的理由以外でワクチン義務の除外を要求したカリフォルニアの学生の人口動態を調べている。2007年から2013年の間に個人的信念によるワクチン拒否は3.06%に倍増した。絶対数としてはワクチン拒否率は低いものの集団免疫の観点からは一般人のリスクを上げる。ワクチン拒否者の特徴は興味深いもので、ワクチンの安全性と有効性についての科学的根拠は圧倒的であるにも関わらず、教育レベルの高い両親のほうが拒否する傾向がある。ワクチン拒否率は一般的に高所得地域、教育レベルの高い、主に白人で高い。公立学校が2.88%なのに対して私立は5.43%である。一部の郊外では50%近くが拒否である。
反ワクチンがこれほど持続する理由の一部はそれが強力な陰謀論要素を含むことである。医師や製薬会社がワクチンの危険性を意図的に隠していると信じている。安全性と有効性についての疑念は陰謀論者に留まらず主要メディアで拡散される。
Dr. Paul Offitは教育があり豊かな保護者は病気を恐れていないためにワクチンをしないと考えている。南カリフォルニアで金持ちのアッパーミドルクラスと、上流の環境に住み、良い食生活をしていて運動もしているので病気にはならないと考える−病気になるまでは。
反対の理由がなんであれ、ワクチン拒否は続く。反ワクチン運動は何世紀も前からある。教育が足りなくて反対されることもあれば豊かで地位のある人による反対もある。彼らの子どもが病気にならない限り彼らは戦い続けるだろう。