食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • TACTの間違った解釈:心疾患に対してキレートはスタチンより良くはない

Misinterpreting TACT: No, Chelation Does Not Outperform Statins for Heart Disease
Posted by Harriet Hall on December 8, 2015
https://www.sciencebasedmedicine.org/misinterpreting-tact-no-chelation-does-not-outperform-statins-for-heart-disease/
キレート療法を評価するTACT試験がThe People’s Pharmacyウェブサイトでキレート療法が極めて有効であるという根拠として使われている。このウェブサイトの主催者(で各種サプリメントを売っている)GraedonsはスタチンよりEDTAのほうが効果があると主張しているが単に間違いである。
TACT試験には多数の欠陥があり根拠に基づいた医療の基本原則から逸脱している。キレート療法推進者はTACT試験をキレート療法の効果を示す根拠だといい、科学に基づいた医療の推進者はTACT試験はキレート療法に効果がない根拠だという(一部に統計学的有意差があるため)。3160万ドルの税金を使ってなにも明らかにできないこのような試験は行われるべきではなかった。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20140408#p6
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20130328#p11
これに304もコメントがついている。Mercury Free Kidsという団体のアカウントとかYouTubeの動画がエビデンスだとかいう人たち。根拠の確からしさの判断にはそれなりに基礎知識が必要なのでいいかげんな試験は有害。)

After Chipotle Outbreaks, Will 'Food With Integrity' Still Resonate?
January 5, 2016
http://www.npr.org/sections/thesalt/2016/01/05/461925691/after-chipotle-outbreaks-will-food-with-integrity-still-resonate
何回もの食中毒で数百人の顧客を病気にしたChipotleは、食べるのに安全な場所だと納得させるのに苦労している。誰もその仕事が簡単なことだとは思わない。
Northwestern大学のKellogg経営管理大学院マーケティング教授Timothy Calkinsは「これはChipotleにとって極めて重大な問題だ」という。顧客はしばしば会社の違反行為を速やかに許すが、今回の事例ではそうはならないだろう、と彼は言う。「Chipotleにとって困難なことは、事故が一回ではないことである。何度も異なる事故をおこしている。そして問題なのはそのことが全体的印象を形成し、安全性についての疑問を提示する」
過去3ヶ月に二つの異なる大腸菌アウトブレイク、12月にはノロウイルスアウトブレイク、8月にはサルモネラ
20年以上前にコロラドで創立されたChipotleはヘルシー、フレッシュ、を売り物にして「完全な食品」を提供する企業と宣伝して急速に成長してきた。
市場リサーチ企業IBISWorldのアナリストAndrew Alvarezは「Chipotleで食べることは倫理的環境的に正しいことだと認識されて顧客をひきつけた」という。
度重なる食中毒はその核心に打撃を与えた、とSt. Joseph's大学の食品マーケティング教授John Stantonはいう。「彼らは自社をフレッシュでデリシャスな製品を提供する特別な企業だと位置づけてきた。そして人々を病気にした。もしあなたが人々を病気にしたら彼らはそれを極めて重大なことだとするだろう」
悪い評判はこの会社の基盤を揺るがした。売り上げが減り株価が下がった。
Chipotleは「食品安全の業界のリーダーになる」と約束しプレスリリースでは製品の検査をより厳しくし従業員の訓練を改善しサプライチェーン全体の改善を続けるという。
設立者でCEOのSteve EllsはNBCの番組でアウトブレイクについて謝罪した。しかしそのメッセージは顧客には届かないだろうとStantonはいう。「つまり、最初の疑問は、何故最初からそうしてなかったのか?ということだ。彼らは自分たちの製品を安全にするためにできることを明らかにやっていなかったので、今そのつけをはらっている」
Calkinsは会社が最終的には回復できるという。最初に最近のアウトブレイクの原因を見つける必要がある。それから人々を満足させて広告にお金をかける。人々は食の安全を考えてはいなくてブランドと好きな食品について考えている。Calkinsはトヨタのような企業は大規模信用危機から復活したので可能だと言う。しかしChipotleがはまりこんだ穴からはい出すには時間がかかるだろうという。
マーケティングの人って中身はどうでもいいんだろうか?トヨタは別にやるべきことを全くやっていなかったわけでも他社製品にいわれのない難癖つけて自社製品を優良誤認させていたわけでもないはず。食中毒は原因(なにがどこからきたか)がはっきりわかることのほうが珍しいのに。)

  • U.S. Newsベストダイエットランキング

U.S. News Best Diet Rankings
http://health.usnews.com/best-diet
http://health.usnews.com/best-diet/best-overall-diets
いつものやつ
今年はMINDが入っている
原始人ダイエットは最下位ではなくて36位タイでその下にグルテンフリー、クッキーダイエット、低FODMAP ダイエット、レモネードダイエットがある。マクロビは28位。(毎年数が増えている)

  • 私は栄養科学にはもううんざりしている。あなたもそうに違いない。

I'm Completely Fed Up with Nutrition Science. You Should Be, Too.
Posted by Ross Pomeroy
http://www.realclearscience.com/blog/2015/12/im_completely_fed_up_with_nutrition_science_you_should_be_too.html?source=acsh.org
栄養科学はあなたの健康に悪い!もちろんそうではないが、でもある食品が何かに悪いという研究が一つ出るたびに心配していたら気が狂いそうになるだろう。
赤肉は?がん。グレープフルーツは?がん。チーズは?がん。人工甘味料は?肥満。砂糖は?肥満。ミルクは?骨折。こんなリストが延々と続くが、中身は?
私は栄養科学にはもううんざりしている。あなたもそうに違いない。
私がうんざりするのは一つの研究にではなく、おぞましい現状が耐え難い。
栄養科学の問題はほとんどの研究が観察研究であることに始まる。ある食べものを食べる人と食べない人の健康を比べる−しかしこの種の研究は間違うことが非常に多い。今年初めに私が書いたように、2011年の統計学者. Stanley YoungとAlan Karrの調査によると52の観察研究(各種ビタミンが健康に良いというものが多い)の結果のうちRCTで確認されたのはゼロである。つまり観察研究は100%間違いだった。実際には9.6%は観察研究とは逆だった。
残念ながら栄養科学者が科学研究のゴールドスタンダードであるRCTを採用した場合でも必ずしもエビデンスの質は良くはならない。2011年の人工甘味料臨床試験の系統的レビューでは、53のRCTのうち1週間以上10人以上が続けられたのはたった13の試験である。その13試験のうち10試験はRCTの質を0から5で評価するスコアで1である。つまり質が低い。最も長期の試験でも10週である。
質の高い研究がほとんどなく、質の低い矛盾する研究が溢れていることが詐欺師につけいる隙を与える。科学者ですら合意していないことに一般の人に何が正しいのかわかるだろうか?
さらに問題なのは栄養科学に多くの企業がお金をつぎ込んでいることである。
栄養研究の目的は人々に何を食べるべきなのか知らせることである。何か健康的なのか?しかしこの努力は最初から絶望的である。ある人にとって健康的なことが他の人にとっては健康的ではない可能性がある。
質の悪い研究と企業の宣伝のための研究と、そして誰もが同じ反応をするわけではないという事実の間で、栄養科学全体が巨大な眉唾物になっている。
(全否定はいきすぎだが気持ちはわかる。現状があまりにもひどい)