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高用量ビタミンDは高齢者の転倒リスクを増やすか?

Behind the headlines
Do high doses of vitamin D increase falls risk in the elderly?
Wednesday January 6 2016
http://www.nhs.uk/news/2016/01January/Pages/Do-high-doses-of-vitamin-D-increase-falls-risk-in-the-elderly.aspx
「年金受給者に骨を強くするために高用量ビタミンDを与えると転倒リスクを高くするかもしれない」とTimesが報道した。スイスの研究で高用量ビタミンDサプリメントが利益はなく転倒リスクを増やすことが示唆された。
この12ヶ月の試験では、転倒したことのある高齢者に高用量ビタミンDを与えると、もっと低い推奨量(1日20マイクログラム、1日800 IU に相当)を与えた場合に比べてビタミンD濃度が高くなって足の機能が改善されるかどうかを評価することを目的とした。英国で推奨されているのはもっと低い1日10マイクログラムである。
この研究では高用量ビタミンDは確かにビタミンD濃度を上げたが足の機能には何の良い効果もなく、実際には試験期間中の転倒数が増えることと関連した。この研究は現在の英国政府の推奨している1日10マイクログラムのサプリメントが安全でないことの根拠とはならない。現在推奨されているとおりのサプリメントを使用している人はこの試験結果について心配する必要はない。転倒の多い高用量群で使用されたのは1500マイクログラム/月で、英国の推奨量300マイクログラム/月より遥かに多い。
この知見は1日20マイクログラム以上のビタミンDを摂っても高齢者にとって利益はないだろうことを示唆する。