食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 魚風味のキャットフードがネコの甲状腺機能亢進症に寄与する可能性

Fish-flavored cat food could contribute to feline hyperthyroidism
6-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/acs-fcf010616.php
Environmental Science & Technologyに発表された日本からの研究。キャットフードとネコの血液のPCBとPBDE関連化合物を調べ、ネコで血中濃度が高いのは魚風味のキャットフード由来であると結論した。甲状腺機能亢進症との関連はこれからの課題。
Organohalogen Compounds in Pet Dog and Cat: Do Pets Biotransform Natural Brominated Products in Food to Harmful Hydroxlated Substances?
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.est.5b04216?journalCode=esthag
(タイトルにクエスチョンマーク入れるんだ?イヌ用の餌には魚はあまり使われていないのでこの手のものがネコに多いのは当然。でもただ計っただけで、その濃度で甲状腺機能に影響しているのかどうかについては調べていないのにプレスリリースではタイトルにしちゃうんだ。)

  • がん検診が「命を救った」ことは示されていない、と専門家が主張

Cancer screening has never been shown to 'save lives,' argue experts
6-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/b-csh010416.php
オレゴン健康科学大学の准教授Vinay PrasadらがBMJで主張。
がん検診が特定の病気による死亡率を減らしても全死亡率を減らさない。検診による有害影響が明確であるのに検診の推進者はメリットだけを強調してきた。
エディトリアルではGerd Gigerenzerがまず最初に透明性の高い情報提供を行うべきだと主張。特に検診の有害影響についての明確な説明を提供して「情報を与えられた上での決定」を促進すべき。
(この話をずっと追いかけているのは「検査」を増やすことが食品の安全性向上とはあまり関係がなくコストだけかかるのと似ているから。検査や検診の効果への期待は信仰のようで、統計の示す数値は直感とはかなり異なる。)

  • メキシコの砂糖入り飲料税は1年後の12%販売減と関連

Sugary drinks tax in Mexico linked with 12 percent cut in sales after one year
6-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/b-sdt010416.php
BMJに発表された研究によるとメキシコでの砂糖入り飲料への10%課税は、1年後、全体として12%の販売減と課税対象ではない飲料(主に水)の4%の販売増と関連した。社会経済的地位の低い層での減少が大きい。
メキシコでは2014年1月1日から砂糖入り飲料1Lあたり1ペソの課税を導入している。

  • The Lancet Diabetes & Endocrinology:砂糖入り飲料の砂糖含量を5年で40%減らすことは英国の過体重と肥満を150万人、糖尿病を30万症例減らせるだろう

The Lancet Diabetes & Endocrinology: Reducing sugar content in sugar-sweetened drinks by 40 percent over 5 years could prevent 1.5 million cases of overweight and obesity in the UK and 300,000 cases of diabetes
6-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/tl-tld010516.php
エネルギー摂取量が1日当たり平均38.4kcal減りそれは成人の体重が平均1.2kg減ることになり過体重は約50万人(1.0%)、肥満は100万人(2.1%)減る。その結果としてその後20年間の肥満に関連する2型糖尿病患者が274000-309000人減ることになるだろう。
もし砂糖入り飲料からフルーツジュースを除外するとエネルギー摂取量の減少は31.0kcal/日となりそれに応じて数値は低くなる。
徐々に変化させることで甘味への感覚は慣れるだろう