食品安全情報blog過去記事

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論文

High-cholesterol diet, eating eggs do not increase risk of heart attack
11-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/uoef-hde021116.php
American Journal of Clinical Nutritionに発表された東フィンランド大学の新しい研究。
42-60才の2032人の男性を21年フォローした。230人が心筋梗塞になり、APOE4キャリアは32.5%。APOE4表現型でも全体でも食事からのコレステロールの摂取と心筋梗塞リスクに関連は見られなかった。卵を食べることも関連がなかった。この集団の平均コレステロール摂取量は1日520mgで卵は1日1個。

Cancer found for the first time in naked mole rats
Feb. 11, 2016
http://www.sciencemag.org/news/sifter/cancer-found-first-time-naked-mole-rats

  • Framingham心臓研究の30年の認知症発症率

Incidence of Dementia over Three Decades in the Framingham Heart Study
Claudia L. Satizabal et al.,
N Engl J Med 2016; 374:523-532 February 11, 2016
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1504327
時代とともに認知症の発症率は下がっている

  • 母親の肥満ではなく乳児の初期の食事が腸内細菌叢の発達に影響する

Early diet of infants, not maternal obesity, influences development of gut microbiome
11-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/asfm-edo021116.php
米国微生物学会のオープンアクセス雑誌であるmSphereに今週発表された研究によると9ヶ月以降の乳児の腸内細菌叢の発達は、母親の肥満ではなく家族の食べる食事への移行による。健康な母親の子ども114人と肥満の母親の子ども113人の便を9ヶ月と18ヶ月で分析した。9ヶ月ではほとんどの子どもが少なくとも一部は離乳食になっている。腸内細菌叢の発達に影響する主要因子はタンパク質や繊維の多い食事の導入であった。
(なんか当たり前のような気がするんだが、普通の子では母乳のためにと称して母親にあれこれ食事制限指導するの意味ないよ、ということの一例として。)

  • NOAAとその共同研究者:アラスカの海洋ほ乳類に藻類毒素検出

NOAA, partners: Testing detects algal toxins in Alaska marine mammals
11-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/nfwc-npt021116.php
アラスカの海の食物連鎖に有毒藻類の毒素が、鯨やセイウチやイルカやアザラシやラッコで検出できるほどの高濃度存在する。雑誌 Harmful Algaeに発表。これまでカリフォルニアアシカなどでは藻類毒素中毒が報告されてきたがアラスカから北極海ではこれが初めて。温暖化で問題は拡大するだろう。

Natureニュース
Parkinson’s patients trained to respond to placebos
Jo Marchant 10 February 2016
http://www.nature.com/news/parkinson-s-patients-trained-to-respond-to-placebos-1.19341
研究がダミーの錠剤でルーチンケアに使う医薬品の量を減らす方法を示唆
イタリアの神経科学者Fabrizio BenedettiらのThe Journal of Physiologyに発表された研究。進行したパーキンソン病で深部脳刺激という治療法のために脳に電極がある42人で、アポモルヒネだと言って生理食塩水を注射した時、実際の薬物をその前に投与されているという「条件付け」があると反応する。この訓練が有効な期間は短く最大1日である。しかしこの反応を利用して使う医薬品の量を減らせる可能性がある。

  • 法廷闘争が大規模毒性データベースの開始を遅らせている

Legal tussle delays launch of huge toxicity database
Natasha Gilbert 11 February 2016
http://www.nature.com/news/legal-tussle-delays-launch-of-huge-toxicity-database-1.19365
約1万化合物の健康リスクの図表が検査されていない物質の毒性を予測するのに役立つ
巨大データベースはデータのない物質の毒性予測を簡単にすると予想されるが法的合意ができていないためデータベースが公開できないでいる。
Johns Hopkins大学のThomas Hartungらがデータベースを作ってAlternatives to Animal Experimentsに2月11日にその仕事を説明した論文を発表した。このインデックスはREACHのもとでECHAが集めたデータを使ったもので情報自体は既に公開されている。しかし解析が簡単な形式ではないためHartungらがそれからデータを抽出し検索可能なデータベースにした。しかしECHAがこの情報を使う権利を独占所有していて複製のために必要な特別な許可をHartungらが得ていないと主張している。Hartungらはそのためデータベースの公開を保留している。ECHAのウェブサイトにある情報が企業の知的財産権あるいは著作権の対象である可能性の問題もある。

論文の内容についてはScienceのほうが詳しい
化学物質安全性のための水晶玉
A crystal ball for chemical safety
Tania Rabesandratana
Science 12 Feb 2016:Vol. 351, Issue 6274, pp. 651
http://science.sciencemag.org/content/351/6274/651.full