食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

遺伝毒性に突然変異スペクトルを使うことについての声明

Statement on the use of mutation spectra in genetic toxicology
16 February 2016
https://www.gov.uk/government/publications/statement-on-the-use-of-mutation-spectra-in-genetic-toxicology
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/500831/COM_statement_on_mutation_spectra.pdf
「突然変異スペクトルmutation spectra」というのは特定の遺伝子配列に観察される全ての突然変異の数、種類、サイトを総合したものである。またより広い意味で見つかった突然変異の種類や数、あるいは主要な突然変異(たとえば GC→AT 遷移のような)を指すこともある。一部の遺伝毒性発がん物質はin vitroやin vivo実験系で特有の突然変異スペクトルを生み出すことが知られており、これが化学物質による発がんの作用メカニズムを決めるのに役立つ。特定の腫瘍関連遺伝子で特有のスペクトルが同定されていて診断に使える突然変異と考えられている。例えばCOMはこれまでオゾン暴露されたマウスの肺がんのK-ras遺伝子のコドン61の高頻度変異の重要性について助言している。AT →TAトランスバージョンを含むこれらの変異は自然発生肺腫瘍では見られず、オゾンで特異的に誘発されると考えられる。
このトピックについてCOMは関心を抱き続けておりこの声明は現段階の状況を記したものである。
In vitroでの各種トランスジェニック細胞系統モデル、in vivoでの主にトランスジェニックマウス(MutaTM mouse, Big Blue®)とHUPKI (ヒト p53ノックイン) マウスモデルなどについて考察。化学物質に特有の変異についてはタバコの煙、アフラトキシンB1、アリストロキア酸くらいしか同定されていない。次世代シークエンシングでさらなる知見が得られるかもしれない。