食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

Scienceニュース

  • 多くの調査は、約1/5は、虚偽のデータを含む可能性がある

Many surveys, about one in five, may contain fraudulent data
By John BohannonFeb. 24, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/02/survey-says-many-surveys-about-one-five-may-contain-fraudulent-data
調査を行う人たちはどのくらいデータの一部または全部を偽造するか?ここ数年で話題になったいくつかの事例がこの疑問を提示するが、問題の全容はわからないままである。昨日ワシントンで開催された会合でMichael RobbinsとNoble Kuriakoseの有名な研究者ペアが調査の回答におけるデータ改ざんを検出する統計試験を発表した。それを1000以上の国際調査の公開データセットにあてはめたところ、約1/5がデータ偽装の可能性が高いという憂慮すべき結果になった。しかしこの主張はそのような調査を主に行っているPew Research Centerにより激しく反論されていて彼らの研究結果を発表しないように要求するところまで至っている。Pewの対応は「極めて残念だ」とKuriakoseはいう。皮肉なことにRobbinsとKuriakoseは二人とももとPewの研究者でPewで出会っている。

  • Karolinska研究所はスキャンダルにまみれた外科医を解雇する手続きをとる

Karolinska Institute takes steps to dismiss scandal-plagued surgeon soon
By Gretchen VogelFeb. 24, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/02/karolinska-institute-takes-steps-dismiss-scandal-plagued-surgeon-soon
Paolo Macchiariniへのプレッシャーが増加しKarolinska研究所は11月に切れる現在の契約をそのまえに切るつもりだという。昨日LancetがMacchiariniの発表した重要な論文に問題があるという文書を発表した。スウェーデン王立アカデミーのメンバー2人によるこのレターによると、「入手できる情報はこの論文は患者の状態を正しく記述していない」。これまでLancetはこの論文の取り下げや修正の検討を却下してきた。昨年のエディトリアルではMacchiariniを強く擁護し2月20日には編集長のRichard Hortonが論文については新しい調査の結果を待つと書いていた。
(1月のスウェーデンテレビのドキュメンタリーが大きな影響を与えた)

Queensland: Tough Laws on Smoking Enforced
February 24, 2016
http://www.australianetworknews.com/queensland-tough-laws-smoking-enforced/
豪州のクイーンズランドはタバコ製品の販売を禁止するこれまでより厳しい法を導入した。音楽フェスティバルのような行事を含む全ての小売店での禁煙、高齢者施設周辺での禁煙など

  • 誰がフッ素について決めるべきなのか?

Who should decide on fluoride?
Feb 24, 2016 10:28 am
By: Matt Rockley
http://www.westernwheel.com/article/Who-should-decide-on-fluoride-20160224
Community Dentistry and Oral Epidemiologyに最近発表された研究では、カルガリーエドモントンの2年生の虫歯率を比較した。カルガリーでは水道水のフッ素添加が2011年に終わり、エドモントンではまだ添加されている。2004年から2014年の虫歯の率はどちらの都市でも増加していてカルガリーの法が悪かった。この研究の結果は飲料水へのフッ素添加に関する議論を再燃させる。CTVニュースはカルガリーの歯科医Dr. Leonard Smithの「市がフッ素添加を止めたのはこれまでのカルガリーでの最も公衆衛生に反する決定の一つである」というコメントを紹介している。このコメントは議論の重要なポイントを指摘している。フッ素添加は公衆衛生上の問題であってその決定は地方水道局ではなく州保健省がすべきである。

  • 連邦判事は自宅での大麻栽培禁止を無効にする

Federal judge strikes down ban on growing medical marijuana at home
Feb. 24, 2016
http://www.theglobeandmail.com/news/national/federal-judge-to-decide-if-medical-marijuana-patients-can-grow-their-own/article28865796/
オタワが大規模商業生産システムに移行した際に導入された大麻の自宅栽培禁止が、連邦裁判所で無効と判断された。病気のカナダ人は自分用の大麻を栽培する権利がある。
水曜日に発表されたこの決定は連邦政府に、数年で二回目の医療用大麻の規則の書き直しを迫る
ヘルスカナダの調査によるとカナダには25才以上の医療用大麻使用者が約50万人いる
(カナダだけで50万人使っていて有効性のエビデンスが出せないというのだから。)

  • SMC UK

タルクパウダーと卵巣がんについての米国の裁判所の決定についての専門家の反応
expert reaction to reports of US court decision on case of talcum powder use and ovarian cancer
February 24, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-reports-of-us-court-decision-on-case-of-talcum-powder-use-and-ovarian-cancer/
米国の裁判所が、Johnson & Johnsonに、同社のベビーパウダーのタルクのせいで卵巣がんになって死亡したと主張する女性の家族に7200万ドルの支払いを命令した。
Cambridge大学がん疫学教授Paul Pharoah教授
私の見解では裁判所の決定は二つの理由で間違っている。一つ目は、性器にタルクを使用することと卵巣がんリスクの因果関係は弱い。二つ目は仮に関連があったとしても関連の強さは非常に小さくタルクを使った女性になんらかのがんができてもそれがタルクのせいだと言える可能性はない。
英国では毎年約7000人の女性が卵巣がんと診断されている。全ての卵巣がんが同じではなくいくつかの種類がありリスク要因も臨床上の性質も違う。主なリスク因子はホルモン補充療法、肥満、内膜症である。粘液性卵巣がんという珍しいタイプでは喫煙が関連する。BRCA1 や BRCA2遺伝子変異も関連する。若い時期の経口避妊薬の使用は卵巣がんリスクの50%低下と関連する。妊娠と母乳もリスク低下と関連する。
タルクと卵巣がんの関連は何年も報告されてきた。この関連は症例-対象研究によるもので、バイアスの影響を受けやすい。最近の複数研究解析では8000の症例と9000の対象で、会陰タルク使用は卵巣がんリスクの20%増加と関連していた。卵巣がんの種類による違いはなかった。
バイアスの影響が少ない前向き研究は2つあって、ひとつは漿液性がんとの有意の関連、もう一つは有意でないリスク増加を発見している。どちらも症例対象研究の20%リスク増と矛盾しない。生物学的には可能性があり、生殖器に使ったタルクが卵管や卵巣に入って炎症をおこし、それが卵巣がんにつながる、というものである。
タルクとある種の卵巣がんに関連がある可能性はあるが、重要なのはそのリスクの大きさである。英国の20才の女性が生涯の間に卵巣がんになる可能性は1000人中18人で、20%増加したとするとそれが1000人中22人になる。一方BRCA1変異のある女性の生涯卵巣がんリスクは1000人中約400人である。