食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • 10%の価格の変化が心疾患と死亡を予防できるかもしれない

A 10 percent price change could prevent heart disease and death
1-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/aha-atp022416.php
健康的な食品(野菜果物穀物)の価格を10%下げ不健康な食品(砂糖入り飲料)の価格を10%上げることで相当数の人が心疾患や脳卒中で死亡することを予防できる可能性がある。学会発表。

Vitamin D supplements in pregnancy do not improve bone health
1-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/tl-vds022916.php
英国のガイドラインで勧められている妊娠中の女性のビタミンDサプリメントは、赤ちゃんの骨密度に意味のある影響はない。The Lancet Diabetes & Endocrinologyに発表された最初のRCT。ただし冬に生まれた赤ちゃんの骨に利益がある可能性を示唆した。
これはLancetのプレスリリース
一方大学のプレスリリースは
妊娠中のビタミンDサプリメントは冬の赤ちゃんの骨に役立つかもしれない
Pregnancy vitamin D supplementation may help winter baby's bones
1-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/uos-pvd022916.php
(サブ解析なので「かもしれない」。メインアウトカムでは有意差無し。冬の赤ちゃんでの有効性を確認するための試験なら別の計画が必要になる。英国の冬の妊婦の日光不足という条件があるので他の国にはあてはまらない可能性)

SMC UK
expert reaction to study investigating vitamin D supplementation in pregnancy and bone health in babies
March 1, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-investigating-vitamin-d-supplementation-in-pregnancy-and-bone-health-in-babies/
王立国立整形外科病院の小児科相談医Benjamin Jacobs博士
この研究では通年で生まれた子ども達の骨量への利益を示すことには失敗したが、私の見解ではポジティブな知見のほうが重要である。冬に生まれる赤ちゃんの場合にはメリットが示された。またビタミンD1000ユニットの投与は母親の血中ビタミンD濃度を望ましい濃度に上げる。現行の推奨量は400ユニットで十分ではない可能性がある。妊娠女性にビタミンDを薦めているのは赤ちゃんの骨のためだけではなく母親の骨や新生児痙攣の予防などもあるので1000ユニットのビタミンDの妊婦への安全性が確認されたことは価値がある。

  • 水を多く飲むことが多くの食事上の利益と関連する、研究が発見

Drinking more water associated with numerous dietary benefits, study finds
1-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/uoia-dmw030116.php
Journal of Human Nutrition and Dieteticsに発表されたNHANESのデータを用いた研究。ただの水の摂取量が多いことと総エネルギー摂取量とナトリウム摂取量の少なさが関連する。砂糖を入れない紅茶やハーブティーやコーヒーは「ただの水」には含まない

  • 白髪、髭の濃さ、つながった眉の遺伝的関連が初めて発見される

Scienceニュース
Study finds first genetic links for gray hair, beard thickness, and unibrows
By Nala RogersMar. 1, 2016 ,
http://www.sciencemag.org/news/2016/03/study-finds-first-genetic-links-gray-hair-beard-thickness-and-unibrows
ラテンアメリカの6000人のゲノムを調べた研究で毛の性質に影響すると思われる18遺伝子を同定した。白髪と関連する遺伝子異型は欧州系統の人にしか見つからなかった。Nature Communicationsに発表。
(アジア人含まれない)

  • カナダでPSAスクリーニングが行われた時代の前立腺がんの発生率と死亡率

Trends in prostate cancer incidence and mortality in Canada during the era of prostate-specific antigen screening
James Dickinson et al.,
cmajo March 1, 2016 vol. 4 no. 1 E73-E79
http://cmajopen.ca/content/4/1/E73.full
PSAスクリーニングが始まる前から前立腺がんと診断される率は増えていてPSAスクリーニングでさらに増えた。前立腺がんによる死亡率はスクリーニングの前から大きく減っていてスクリーニングによる効果だけでは説明できない。結論としてはスクリーニングはみかけのがんを増やしたが死亡率の低下にはあまり大きな寄与はしていない。

  • WHO紀要

Bulletin of the World Health Organization
Volume 94, Number 3, March 2016, 157-232
http://www.who.int/bulletin/volumes/94/3/en/
GLOBOCANの国別がん頻度推定方法の評価、チリの学生の食事の質と成績(いろいろ言ってるけどどうしても最低の質の群が成績も悪いことの影響が大きくて、それは貧困のせいなのではと思うのだが)、屋内空気汚染(家の中で火を燃やさない)