食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 知見は膝の骨関節炎の痛みを減らすのにビタミンDを使うことを支持しない

Findings do not support use of vitamin D to reduce pain from knee osteoarthritis
8-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/tjnj-fdn030416.php
JAMAの3月8日号に発表された研究によると、膝に骨関節炎があって25-ヒドロキシビタミンD濃度の低い人にビタミンDサプリメントを与えることは膝の痛みを減らしたり軟骨の減少を遅くしたりしない。
膝に骨関節炎があって症状があり25-ヒドロキシビタミンD濃度の低い413人にビタミンD3 (50,000 IU; n = 209)またはプラセボ(n = 204)を2年与えた。オーストラリアでの研究。
平均年齢63才で半分が女性、82%の340人が試験を完了した。2年にわたりMRIで測定した脛骨軟骨の容量と痛みの指標で群間に差はなかった。
Effect of Vitamin D Supplementation on Tibial Cartilage Volume and Knee Pain Among Patients With Symptomatic Knee Osteoarthritis
A Randomized Clinical Trial
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2499277
(しかし両群で症状のスコアが下がっている、つまりプラセボが「効いている」。脛骨軟骨の容量はどちらも減っているのに。このへんがサプリやマッサージ等が入り込む余地)

  • 低濃度ヒ素は胎児の成長に影響するかもしれない、Dartmouthの研究が発見

Low-level arsenic may impact fetal growth, Dartmouth-led study finds
8-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/dc-lam030516.php
EHP。米国人でよく見られる程度の妊娠中のヒ素暴露量の多さが生まれた子どもの頭囲の少なさと関連する。
Relation between in Utero Arsenic Exposure and Birth Outcomes in a Cohort of Mothers and Their Newborns from New Hampshire
Diane Gilbert-Diamond et al.,
http://ehp.niehs.nih.gov/15-10065/

  • 背が低いあるいは過体重であることと人生のチャンスの少なさに関連

Being short or overweight linked to reduced life chances
8-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/b-bso030716.php
背の低い男性あるいは過体重の女性は教育や職業や収入などの分野でのチャンスが少ない。
BMJに発表された研究。社会経済的地位の高さとの関連では背の高い男性、社会経済的地位の低さとの関連は過体重の女性で特に強い。
Height, body mass index, and socioeconomic status: mendelian randomisation study in Jessica Tyrrell et al., UK Biobank
2016;352:i582
http://www.bmj.com/content/352/bmj.i582
エディトリアル
Can genetic evidence help us understand why height and weight relate to social position?
http://www.bmj.com/content/352/bmj.i1224
英国バイオバンクのデータを使ったところがポイント。研究のためのリソースとしては素晴らしいものであるがデータの扱いと解釈には十分注意が必要。

  • インターネットでの違法医薬品販売を誰か止められる?

Can anyone stop the illegal sale of medicines online?
Andrew Jack, editor  BMJ 2016;352:i1317
http://www.bmj.com/content/352/bmj.i1317
規制機関が違法行為を取り締まろうとしているにもかかわらず、オンラインでの違法薬物の需要と供給は増え続けている。Andrew Jackが報告する。

  • 新しい研究によると、乳児用ミルクはアトピー性皮膚炎やアレルギーリスクを減らさない

Infant milk formula does not reduce risk of eczema and allergies, according to new study
8-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/icl-imf030716.php
特別なタイプのミルクはアレルギーリスクを減らさない
BMJに発表された、乳タンパク質を分解する処理をした加水分解ミルクについての37の試験データをレビューした研究。米国FDAは部分加水分解ミルクが一部の子どもの湿疹リスクを減らすかもしれないという製造業者の強調表示を認め、2006年のコクランレビューは加水分解ミルクを与えることはミルクアレルギーのリスクを減らすかもしれないという限定的根拠があるとしている。しかし新しい研究では統計学的に有意なリスク減少はみられなかった。さらに多くの研究がミルク製造業者と財政的つながりがある利益相反も明らかにした。
この研究は英国FSAが資金提供した。
Hydrolysed formula and risk of allergic or autoimmune disease: systematic review and meta-analysis
Robert J Boyle et al., BMJ 2016;352:i974
http://www.bmj.com/content/352/bmj.i974
エディトリアル
加水分解乳児用ミルクはアレルギー疾患リスクを減らすか?
Do hydrolysed infant formulas reduce the risk of allergic disease?
Caroline Jane Lodge et al., BMJ 2016;352:i1143
http://www.bmj.com/content/352/bmj.i1143
今回のレビューの強みは含まれた全ての研究の質を評価したことである。
現在の助言を更新するのに根拠を用いるべきである
(コクランレビューに大きな影響を与えたのがBMJがデータ捏造として最近取り下げたRanjit Kumar Chandra博士らの一連の研究なわけだからBMJに責任が全くないわけではない。もっと早く取り下げることができたはず
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20151029#p8

  • テレビゲームをする時間は小さい子ども達にポジティブな影響があるかもしれない

Time spent playing video games may have positive effects on young children
8-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/cums-tsp030816.php
子ども達はゲームが好きだがしばしば健康に悪いとみなされている。コロンビア Mailman School of Public HealthとパリDescartes大学の研究者らがゲームをする時間と子ども達の精神衛生と認知及び社会機能の関連を調べ、ゲームをすることがポジティブな影響があるかもしれないという結果をSocial Psychiatry and Psychiatric Epidemiologyに発表した。
6-11才の学童精神衛生欧州プロジェクトのデータに基づく。保護者の報告に基づき、5人に1人が週に5時間以上ゲームをしていた。
(時間による交絡がたくさんあるような)

  • 緑茶と鉄、悪い組み合わせ

Green tea and iron, bad combination
8-Mar-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-03/ps-gta030816.php
緑茶には多くの健康上のメリットがあると宣伝されているが、実験室のマウスの炎症モデルでは食事中の鉄と一緒に摂ると緑茶の利益が減ることを示唆する。American Journal of Pathologyに発表。
(何をいまさらと思ったけどひょっとして緑茶と鉄の相互作用って日本でしか常識ではないのか?)