食品安全情報blog過去記事

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感受性の高い集団、特に子ども達が、科学的リスク評価の全てのことの基準である

Sensitive populations, especially children, are the measure of all things in scientific risk assessment
BfR Communication No. 006/2016, 4 March 2016
08.03.2016(英語版掲載の日付)
http://www.bfr.bund.de/cm/349/sensitive-populations-especially-children-are-the-measure-of-all-things-in-scientific-risk-assessment.pdf
子どもは有害物質の影響に特に感受性が高いとみなされている。このことは農薬有効成分の健康リスク評価や健康に基づいた基準値の設定に考慮されている。このため国際専門家委員会の設定したADIやARfDのような毒性学的基準値は、子ども達の暴露量と比較されている。このことはグリホサートについてもあてはまる。
グリホサートはドイツや世界中で認可されている一連の農薬の有効成分である。これらの農薬を使うと食品に残留する。法的最大基準を超えなければ、そのような残留が健康に影響することはなく安全で、合法である。科学的視点からは尿に微量のグリホサートが検出されることはあり得る。それはグリホサートが速やかに、主に尿から、排泄されていることを示すものである。
ドイツ食品監視計画の枠組みで調べられた過去6年の全ての食品の中で、約1400検体のグリホサートを調べている。この検体はドイツ人の実際の暴露量についての信頼できる推定をするにはあまりにも少ない。合計で24検体から残留グリホサートが検出された。子どもでも成人でも暴露量はADIの1%以下である。
製品が使用目的に従って正しく使用されればグリホサートによる子ども達の健康リスクはない。認可とライセンス授与方法でのリスク評価は全ての影響のある集団での予想される最大の摂取量を考慮している。子どもも含まれる。BfRの評価はEFSAの結論で、欧州の加盟国の専門家によって明確に確認されている。
ヒトや動物が食品や飼料から微量のグリホサートを食べる可能性があるのは事実である。しかしグリホサートは速やかに排泄されるのでヒトや動物の尿に検出されることが予想される。しかしこれまで尿中に検出されたグリホサートの濃度は消費者の健康への懸念とはならない。常に改良される分析技術のおかげでますます微量の物質が検出できるようになった。1960年代はppmレベル(10-6 = 0.000001)で検出できたものが、2015年には最新のガスクロマトグラフィーと高分解能質量分析装置の組み合わせでppq (10-15 = 0.000000000000001)レベルまで検出できるようになった。(ドイツ語バージョンのグラフ参照http://www.bfr.bund.de/cm/343/entwicklung-der-empfindlichkeit-von-analytischen-methoden-fuer-den-nachweis-von-unerwuenschten-stoffen-in-lebensmitteln-am-beispiel-von-dioxin.pdf
農薬有効成分の最大基準値が子どもに採っても安全かという質問に関しては、子どもにとって妥当な毒性学的データを安全係数を用いて考慮した上でADIを導出している。ARfDについても同様である。推定暴露量は体重当たりにすると成人の3-4倍多く食べる子どものデータを用いている。

このニュースのせいかな
ほぼ全てのドイツ人はグリホサートに汚染されている
Almost all Germans contaminated with glyphosate
8th March 2016
http://www.theecologist.org/News/news_round_up/2987365/almost_all_germans_contaminated_with_glyphosate.html
ドイツ緑の党の関係財団であるHeinrich Böll財団の行った研究によると0.4%を除く全てのドイツ人がグリホサートに汚染されている。尿を調べたところ75%が飲料水基準(0.1microg/Lらしい)を上回った。2009人の99.6%から検出され、特に農場で育てられている子どもからも見つかった。
(飲料水って・・尿飲むのか)