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タルクと卵巣がん:最新の根拠が示すこと

Talc and ovarian cancer: what the most recent evidence shows
Tuesday March 8 2016
http://www.nhs.uk/news/2016/03March/Pages/Talc-and-ovarian-cancer-what-the-most-recent-evidence-shows.aspx
Mail Onlineが「タルクが卵巣がんと関連」と報道した。これは米国で有名な裁判のため話題になっている、タルクが卵巣がんリスクを増やすかどうかについて調べた最近の研究の知見である。卵巣がんのある2000人以上の女性とがんのない同程度の対照群で、生殖器にタルクを使っている人の卵巣がんリスクが33%高かった。タルクの使用頻度とホルモン補充療法の使用についてさらに群を分けると関連が強まった。しかし小さなサンプルサイズでのリスク推定を解釈するには注意が必要である。
デザインから、この研究では因果関係を証明できない。がんと診断されてからタルクの使用について尋ねられているようなので思い出しバイアスがある。またどちらが先におこったのかわからず、各種の測定されていない健康やライフスタイル要因が関連する可能性がある。
IARCは生殖器へのタルクの使用は発がん性の可能性がある(possible)と分類している。
これまでこの分野の研究の知見はばらばらである。確認には質の高い前向き研究が必要であろう。多くの産婦人科医は膣周辺はタルクや香料入りの石けんやゲルや消毒薬ではなく、無香料のただの石けんでやさしく毎日洗うことを薦めている。