食品安全情報blog過去記事

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その他

  • フランスの科学者が企業からの支払いを隠したとして偽証罪に問われる

ScienceInsider
French scientist accused of perjury for allegedly concealing industry payments
By Tania RabesandratanaMar. 31, 2016 ,
http://www.sciencemag.org/news/2016/03/french-scientist-accused-perjury-allegedly-concealing-industry-payments
INSERMの呼吸器疾患研究者でパリのBichat-Claude Bernard病院の喘息専門医のMichel Aubierが偽証罪に問われている。2015年4月にAubierは上院の委員会の審問でディーゼル微粒子を含む大気汚染が肺がんと関連するという説は根拠薄弱で議論があると語った。同時にこの問題に関する経済的関係はないとも語った。しかし今月初め新聞Libération とLe Canard enchaînéが石油会社がAubierに1990年代後半から毎年5万から6万ユーロを医学助言者として支払っていたことを暴露した。
2012年にIARCはディーゼルエンジン排気ガスはヒトに対して発がん性がある、と1988年の「おそらく発がん性」という分類から格上げしている。
ScienceInsiderはAubierにコメントを求めたが拒否された。
INSERMの広報担当はScienceInsiderに対して利益相反の取り扱いポリシーがあると語ったがAubierについてどうするかは言わなかった。Aubierのもう一つの雇用主である病院運営団体はAubierの対応に距離をおいている。
裁判に持ち込まれるかどうかは来月上院の局が決めるだろう

  • 謎の腎臓病が世界的に

Scienceニュース
Mysterious kidney disease goes global
By Rhitu ChatterjeeMar. 31, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/03/mysterious-kidney-disease-goes-global
インドの南部のAndhra Pradesh州のPedda Srirampuram村の学校で村人の小規模集団が待っている。男女は二つのプラスチックの袋を持っていて、一つは医療記録、もう一つは尿が入っている。若い男性4人が大きな木製のテーブルにいて、彼らは順番を待っている。最初のテーブルにいるのはSrinivas Raoという研究者で、背の低い痩せた男性の医療記録を見て「両方の腎臓が機能していない」と記す。その男性Kesava Raoは45才で原因不明の慢性腎疾患で、生きるために透析が必要である。Raoはほとんどの人生をココナツ農場か建築現場で働いてきて、熱が出て腎疾患と診断されるまで、健康で滅多に医者にかかることはなかった。Raoは糖尿病でも高血圧でもなかった。ここに集まった多くの慢性腎疾患の村人の多くが糖尿病でも高血圧でもなかった。
この地域は地元の医師やメディアが原因不明の慢性腎疾患(CKDu)流行とよぶ中心地である。厳密な有病率データはほとんどないがHyderabadのNizam医科学研究所の腎臓専門家Gangadhar Taduriによる未発表研究によると、この病気はこの地域のコメ、カシューナッツ、ココナッツ農業地帯の15-18%に影響していることが示唆されている。都市部の高齢者に多い他のよく見られる種類の慢性腎疾患と違って、CKDuは田舎の病気で、農場労働者が罹り、患者の多くは30-50代の男性である。この村で研究チームを率いているTaduriは「これは貧しい人たちの問題である」と言っている。
他の国でも同様のアウトブレイクが相次いで報告され、これが世界的問題であることが強調されている。スリランカのコメ栽培地域の一部でも流行があり、メキシコと中央アメリカの砂糖生産地域でも蔓延している。エジプトでも報告されている。どこでも有病率の数値はあまりなく不確実であるが「大きな懸念である」とJohns Hopkins Bloomberg 公衆衛生大学院の疫学者Virginia Weaverはいう。「この病気は相当な死亡率である。この病気がなければ働けた、家族を養っている人が死んでいく。非常に問題である」
公衆衛生の専門家や研究者は危機感を抱き困惑している。最も被害の多い中央アメリカでは主要な仮説はサトウキビ畑での熱と脱水への慢性暴露による職業病、である。Andhra PradeshではTaduriらは飲料水中の天然毒素−例えばリチウム−などが寄与しているのではないかと考えている。Pedda Srirampuramの血液や尿を用いて「実際に微量元素が人体にあるかどうかを調べようとしている」
しかしインド、スリランカ、中央アメリカで研究者らがCKDuを説明しようとして市販の鎮痛剤や農薬暴露などを含む広範なアイディアを追いかけている。ハーバード大学医学部の腎臓病専門家Ajay Singhは地域の飲料水の高濃度シリカを発見しこれが寄与していると考えている。
この病気が世界的なものであることが明確になるにつれて、答えを求める研究も加速している。CKDu研究のための国際ネットワークが形成されつつあり、研究者らは単純で正確な診断法で世界の病気の頻度をマップし、原因候補との関連をみようとしている。
CKDuが蔓延している多くの場所と同様、インドはどれだけの患者がいるのかよくわからない。しかし逸話的根拠はびっくりするようなものである。
CKDuが恐ろしい理由の一つは検出が難しいことである。病気の初期には人々は何の症状もない。発見されたときには既に腎臓は修復不可能で、透析へのアクセスは限られていて多くの人は診断されてからそう長くないうちに死亡する。運良く透析が可能で数年生きられても生計を立てられず家族が貧困になる。
インドではいくつかの研究チームが原因を探っているがそれぞれが独自の方法とツールをばらばらに使用していて知見を比較するのが困難である。例えばTaduri と SinghはどちらもAndhra Pradeshで何年も研究していて飲料水中の高濃度シリカ説を支持しているが最近初めて会った。他の人が研究していることを知りすらしなかった、とSinghは言う。Singhはシリカが農薬由来だと考えTaduriは地下水経由で岩盤から来たと考えている。研究者らは協力が必要である。このことはインド以外でもそうである。
(以下略。地図がある。原因は不明だがきれいで十分な水と休憩、鎮痛薬を飲み過ぎないことなどが薦められている。バルカン腎症がコメント欄に書き込まれているが腎毒性のあるものは多いので)

  • アルコールとがんの関連についての一般の認識は「懸念するほど低い」

Public awareness of link between alcohol and cancer 'worryingly low'
http://www.theguardian.com/society/2016/apr/01/public-awareness-of-link-between-alcohol-and-cancer-worryingly-low
CancerUKの研究によると、英国人の10人中9人が飲酒とがんを関連させない
このためアルコール飲料には健康警告をするよう呼びかける
2100人の全国を代表するサンプルで昨年7月に調査したところ、飲み過ぎにより引き起こされる健康問題としてがんを挙げたのは成人のたった13%だった。
(聞きたくないことは聞こえないんだよね)