食品安全情報blog過去記事

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論文

  • ハーブレメディは見過ごされている世界的健康ハザードである

Herbal remedies are an overlooked global health hazard
3-May-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-05/bcom-hra050316.php
世界中で何百万人が、千年前に始まった伝統によりハーブ治療薬を使用している。多くの人がハーブは何年も使われてきたのだから安全だと信じているが、Baylor 医科大学とStony Brook 大学の研究者らはハーブレメディが長く使われてきたことはその安全性を保証するものではないと啓発する。EMBO reportsへの招待コメント。
Baylorの医学免疫学名誉教授Donald M. Marcus博士とStony Brook 大学薬学部著名教授Arthur P. Grollman博士はアリストロキア酸腎症(AAN)の例を示して議論する。台湾では国の処方データベースによると1997年から2003年の間に800万人がウマノスズクサ(アリストロキア)を含むハーブを処方された。台湾と中国の腎不全とがん患者の研究からこれらの国では数千万人がAAN発症リスクがあることが示された。遺伝的に感受性のある人がウマノスズクサを使用するとそれに含まれる化合物アリストラクタムが腎組織のDNAと反応する。この複合体がTP53腫瘍抑制遺伝子の変異をもたらし腎臓がんへの道を拓く。さらなる研究でこのプロセスは肝臓と膀胱のがんにもつながることが示された。他にもアフリカやアジアで伝統薬やハーブが原因の重大な病気があることが示されているが、これらの場合は疫学データに欠ける。ウマノスズクサは2000年以上の使用歴があるが「その毒性は認識されていなかった、主にその暴露時期と症状が出るまでの時間の長さ、そして約5%の感受性の高さに影響する遺伝的要因が一因である」、と著者は言う。AANの長期にわたる科学的研究がウマノスズクサとの関連を明らかにした。
ほぼ全ての発がん物質と多くの毒素は症状が出るまでに長い時間を要する。このことは特定の化合物が病気の原因だと同定するのを非常に困難にする。ウマノスズクサの歴史は、他のハーブも同じように有害/発がん性を持つだろうことを示す。多くのハーブには有害物質や発がん物質が含まれていてやがてヒト健康に問題をおこす可能性がある、とみなすのが賢明であろう。
Marcus とGrollmanはWHOが伝統ハーブの使用を是認することには反対する。主な懸念はハーブ医薬品による中毒防止であり、伝統的ヒーリングを却下するものではない。ハーブレメディは世界的ハザードである。世界中の医療コミュニティは広く使われている植物製品の有効性と安全性を評価する対策をとるべきだ。

  • 150万人以上の解析から肉を食べることは死亡率を上げることを発見

Analysis of more than 1.5 million people finds meat consumption raises mortality rates
5-May-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-05/aoa-aom042516.php
Journal of the American Osteopathic Associationに発表されたアリゾナMayo Clinicの医師らによる研究で、肉、特に赤肉または加工肉を毎日食べる人の全原因による死亡率が高いことを発見。メタ解析のレビュー。
7月1日までオープンアクセス
http://jaoa.org/article.aspx?articleid=2517494
(特に目新しいデータはない。)

This week in BMJ Case Reports: paintballing injury, black henna tattoos, WW2 solider
5-May-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-05/b-twi050316.php
・ペイントボールゲームで2回ボールがあたって見た目の怪我はなかったのに2日後肝臓から激しい出血をおこした18才少年
・ブラックヘナタトゥーによる皮膚炎(写真)
など

  • 「最も多く減量した人」研究がダイエットの長期代謝影響を明らかにする

'Biggest loser' study reveals how dieting affects long-term metabolism
5-May-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-05/w-ls050516.php
食事制限中は代謝が低下することがわかっているが、新しい研究によると体重が戻った後も代謝抑制状態は継続することを示唆する。
この知見はテレビの"The Biggest Loser"シリーズの出演者の研究によるものでObesityに発表された。番組参加後6年で体重がかなり戻っているにもかかわらず、安静時代謝率は減量競技の最後に測定したレベルと同じままだった。平均代謝は年齢と体組成から予想される値より平均500カロリー/日低かった。

  • 尿路病原性細菌接着予防に関して市販のダイエタリーサプリメントの多様性

Variability of commercial cranberry dietary supplements for the prevention of uropathogenic bacterial adhesion
Bilal Chughtai et al.,
http://www.ajog.org/article/S0002-9378(16)30005-9/fulltext
市販のクランベリーサプリメント7つの、培養ヒト赤血球への尿路病原性P線毛保有大腸菌接着予防活性を調べた。4製品は接着予防作用なし、他の製品の活性は0.47から 60 mg/mLと多様だった。プロアントシアニジン量は0.56 から175 mg/gと大きく異なる。
臨床試験プロアントシアニジン約36mgを含む製品の再発する尿路感染削減効果が報告されてはいるが、実際に市販されている商品は多様で一部は効果はないであろう。