食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

健康な成人にとってプロバイオティクスに利益があるという根拠はない

Behind the headlines
No evidence probiotics are beneficial for healthy adults
Thursday May 12 2016
http://www.nhs.uk/news/2016/05May/Pages/No-evidence-probiotics-are-beneficial-for-healthy-adults.aspx
Guardianが「プロバイオティクス製品は健康な成人にとっては「お金の無駄」であると研究が示唆する」と報道した。これまでのデータの新しいレビューで、プロバイオティクスが健康な成人の腸内細菌のバランスを改善するという根拠は見つからなかった。
プロバイオティクスは生きた細菌や酵母で、しばしばヨーグルトに加えられたりサプリメントとして摂られたりし、腸内の「善玉細菌」の増殖を亢進するのに役立つと宣伝されている。支持者はそれが湿疹から過敏性腸症候群までの幅広い病気を治療するのに役立つと主張するが宣伝文句の多くには根拠がほとんどない。
さらに健康な人に消化管の健康を増進するためにプロバイオティクスを摂るべきだとも宣伝されている。この主張が今回の最新のレビューで評価された。
レビューでは計画、方法、結果の評価方法で大きく異なる7つの試験が同定された。そのような場合試験結果は統計学的に意味のある方法ではまとめられない。これらのうち4試験は腸内細菌に対してプラセボと差はなかった。3試験では幾分かの影響を報告しているが全体として全ての試験の質は低い。調べられているプロバイオティクスの種類が多様であることを含めて、研究が限られていることから、全てのプロバイオティクスが無効であると確信をもって結論することはできない。
質の高い根拠がないということは効果がないという根拠ではない。より良いデザインの研究では何らかの利益は見つかるかもしれない。
全体として、現在の根拠は、健康な人の腸内細菌にプロバイオティクスが何らかの影響をもつことを示してはいない。さらなる質の高い研究が必要である。
EUは既にプロバイオティクスの宣伝はできないので、ちゃんと根拠出してね、と。一方日本は現状で好き勝手できるのできちんとやるインセンティブはなく、科学的進歩は望めないだろう。将来どっちが生き残るかは明白じゃないかな。)