食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • 劇的声明で、欧州リーダーが全ての科学論文を2020年までに「直ちに」オープンアクセスにするよう求める

In dramatic statement, European leaders call for ‘immediate’ open access to all scientific papers by 2020
By Martin EnserinkMay. 27, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/05/dramatic-statement-european-leaders-call-immediate-open-access-all-scientific-papers
ブリュッセルでの2日間の会合の後、科学、革新、貿易、産業担当大臣が集まった競争委員会が、全ての科学論文を2020年までに自由に入手できるようにすべきだと結論した。しかし一部の観察者はこの目標は達成困難であろうと警告する。

  • 再現性の実態把握

Natureエディトリアル
Reality check on reproducibility
25 May 2016
http://www.nature.com/news/reality-check-on-reproducibility-1.19961
natureの読者調査で、結果の再現性についての懸念が大きいことが明らかになった。研究者、資金提供者、雑誌それぞれが研究の信頼性を高めるために対応する必要がある
実験結果を再現できるというのは科学の中核である−失敗はつきものだが。ある程度の再現性の無さは避けられないが調査の結果はそうではなく解決すべき課題があることを示唆した。
「再現性」とは何を意味する?サイエンスジョークでは再現性の定義そのものに再現性がない。我々は今回実験科学者の使う、同じ方法で実験したら同じような結果が得られる、という定義を使った。しかし定義を決めても科学者によりその基準は異なる。科学者は用語の使い方にもっと厳密である必要がある。

  • ナチュロパスが医療システムに忍び込み、さらに多くを望む

Naturopaths have weaseled their way into the health care system, and they want more
Britt Marie Hermes, ND | Physician | May 22, 2016
http://www.kevinmd.com/blog/2016/05/naturopaths-weaseled-way-health-care-system-want.html
現在ナチュロパスがワシントンで医師として認めMedicareの対象にするよう強力なロビー活動を行っている。私は二つの州で許可を受けたナチュロパスで今は引退しているが、この政治活動についての初歩的知識を提供しよう:ナチュロパスは彼らが主張するようなものではない。
公正のために言うと、ナチュロパスドクターは現在は曖昧なプラクティショナーではない。現在米国の18州、カナダの5地方で許可または登録を受けている。ここに至るまでナチュロパスは彼らのやっていることが信頼できる科学であるというキャンペーンを続けてきた。
ナチュロパスは独自の認証機関をもち、その認証機関は2001年に米国教育省に認証されている。重要なことはナチュロパスのカリキュラムが認められているのではなくでナチュロパスの機関がナチュロパスによって運営されていることを教育省が認めているということだ。
さらにナチュロパスは医学的知識を問う試験であるNPLEXに合格していると主張することがある。ではその中身の例を見てみよう。
症例:8才の男の子。深夜11:30に子どもがひどい咳で眠れないと、不安になった母親が電話をかけてきた。熱は38.6℃で心拍は120 pbm、呼吸困難であえぎながら呼吸数は60/minである。あなたはどのホメオパシーレメディを与える?
ナチュロパシーの標準は医療の代わりに魔法を与えることである。最近のカナダのナチュロパスTracy Tannisのことを思い出さずにはいられない。髄膜炎の子どもにハーブチンキを与え、その子どもが死んだ事例だ。彼女は私と同様、訓練期間に子どもの救急をみたことがなかっただろう。ナチュロパシーの小児科の科目には臨床は一切無い。
ナチュロパシーの学生はたった850時間の訓練しかしない。医師は数万時間を経ないと患者を診ることができない。そしてその内容は医師の場合は医学の訓練だが、ナチュロパスはビタミンやミネラルやダイエタリーサプリメントが効果的だと教わるのだ。
そのような教育で安全で有効な医療行為ができるわけがない。
我が国の医療には問題がある。解決にはナチュロパスはいらない。

  • 何故我々は健康的食生活の真実について決して知ることがないのか

Why we will NEVER know the truth about a healthy diet
http://www.heraldscotland.com/News/14523226.Why_we_will_NEVER_know_the_truth_about_a_healthy_diet/
赤ワインは良い。赤ワインは悪い。塩はあなたを殺す。そうでもない。赤肉は食べるな。赤肉は食べよう。菜食主義になろう。最近の食事に関する混乱したメッセージは脂肪だろう。何十年も脂肪が悪いと言われてきたのに今やいいことになった。脂肪を食べるから太るのではないと全国肥満フォーラムと公衆衛生協議会が言い、一方別の専門家はこれに怒っている。栄養学者たちがお互いを利益相反や結果の恣意的報告だと非難している。食事と栄養に関しては混乱するばかりだ。消費者として信頼できる答えを見つけることはできるのだろうか?私達はスコットランドの専門家に聞いてみた。
脂肪、肉、赤ワイン、塩
(こういう聞き方では「真実」になどたどりつかないだろう)

  • 浜辺を歩いていた人が有毒魚に刺されてヘリコプターで病院に運ばれた

Beach walker stung by poisonous fish is airlifted to hospital
By South Wales Evening Post | Posted: May 29, 2016
http://www.southwales-eveningpost.co.uk/Beach-walker-stung-poisonous-fish-airlifted/story-29334281-detail/story.html
Welshシーサイドリゾートで70才の男性がweever fishに刺されて呼吸困難になってヘリコプターで病院に運ばれた。この事故で沿岸警備隊が警告を出した。
魚に刺されたという報告は増加している。しかし報告されない数が多いだろう。

Supplements, Lies, and a Lengthy Transcript
Posted by Jann Bellamy on May 26, 2016
https://www.sciencebasedmedicine.org/supplements-lies-and-a-lengthy-transcript/
1993年10月21日、米国上院労働人的資源委員会で、以下のような長ったらしいタイトルのヒヤリングが行われた:如何にして連邦政府はダイエタリーサプリメントの販売と使用を規制すべきかについてとダイエタリーサプリメントに関する連邦基準を強化するためのS.784を含む関連する対策の検討
S.784はOrrin Hatch上院議員が提案したもので最終的にはDSHEAとなった。
私はNECSSで話をするためのリサーチをしていてこの議会での一幕を発見した。Scott Gavuraと私は「ナチュラルの惨事:ダイエタリーサプリメント」という発表を共同で行い、Scottは薬理学に焦点をあて、私はFDAの規制(つまり規制がないこと)に焦点をあてた。彼のおかげで私はファーマコキネティクスの初歩がわかった。彼が先週そのことを投稿しているからあなたは読むべき。
ところで私はその長い議事録を読んで、私の疑いが確信になった。私が認識していなかったことは、DSHEA支持者の少なくとも一部の人は、消費者にはサプリメントについて正確な情報を入手できるようにすべきだと考えていたこと、DSHEAの弱点は法の成立後の20余年で痛ましいほど明確になったが最初から予想されていたこと、「専門家」の出自はHatch議員の命令で証明を求められていたこと、である。
まずこのドラマの舞台を見てみよう。1991年に議会は栄養教育表示法(NELA)を通過させた。NELAは、初めて全ての食品に現在おなじみの栄養成分表示を求めたものである。同時に食品の健康強調表示は「相当な科学的合意」で担保されるべき、とした。Henry Waxman下院議員らはダイエタリーサプリメントの健康強調表示についても同じ基準を望んだ。しかしサプリメント業界はそのような厳しい規則では生き残れないことを知っていてHatch議員はそうならないようにした。全会一致でFDAに基準を決めさせることにした。そしてFDAがダイエタリーサプリメントの健康強調表示には同じ基準を求めるという提案をした。これには二とおりの方法があって、サプリメント企業がFDAにデータを提出してFDAがレビューする、あるいはNASのような科学的権威のある団体の発表、である。これを面白く思わなかったHatch上院議員と業界はFDAが消費者からサプリメントを取りあげる、という嘘の噂を流し始めた。これをもとにたくさんの署名が議会に提出された。そして問題のヒヤリングが行われたのである。
S.784の支持者Bill Richardson下院議員はこの問題を「選択の自由」という枠組みで語った。この時消費者への情報開示が強調された。
そしてTom Harkin上院議員はミツバチ花粉がいかにして彼のアレルギーを治したかを語った。しかし彼は「相当な科学的合意」が必要だとも言っている。
FDAのKessler博士らは委員会に対してサプリメントの危険性と根拠の無さを警告した。
サプリメント業界の守護神でFDAの批判にほとんどの時間を費やしたOrrin Hatch上院議員の話は笑わずにはいられない。彼はワクチンに反対し彼の「専門家」はがん詐欺師のStanislaw Burzynskiで、抗生物質は効果が無く、キレート療法を薦め、ノコギリヤシが効くという。証言者ではないがライナス・ポーリングビル・クリントン大統領の手紙も記録に残っている。
一方Center for Science in the Public InterestのBruce Silvergladeは各学会の見解を提示したが戦略を間違った。S.784を過剰に好意的に解釈した。
そして誰が正しかったのか?
DSHEAのおかげで1994年には40億ドルの年商だったサプリメントは2014年には370億ドル弱になった。
業界以外の人にとってはあまり嬉しいことではない。このヒヤリングの一部の予言は現実化し一部は完全な間違いだった。
消費者には約束された根拠は提供されずみんなが元気になるのはプラセボでそのせいで治療可能な病気で死亡していて抗酸化サプリメントは実際には有害で医療費の削減効果はなくインチキサプリメントが市場に溢れている。
結論:DSHEAはいまだに消費者を傷つける恐ろしい法律である
真の医療の専門家はダイエタリーサプリメントの使用について何度も警告しDSHEAを廃止するよう求めている。しかしOrrin Hatch上院議員が議会に留まりサプリメント業界がお金を儲け続けている限り、規制の改革はありそうにない。

Where science meets supplements
Posted by Scott Gavura on May 19, 2016
https://www.sciencebasedmedicine.org/where-science-meets-supplements/
サプリメント業界は巨大ビジネスでますます拡大しているようだ。わたしはかつて似たような、サプリメントホメオパシー代替医療に特化した独立系薬局に勤めていたことがある。巨大チェーン薬局との差別化のためだった。10年の間に大きく変わった。今や全国チェーン薬局すらハーブレメディやダイエタリーサプリメント専用コーナーがありホメオパシーすら売っている。しかし商品の豊富さとはうらはらに、サプリメントが必要だという根拠はほとんどなく、有害ですらある。消費者が自分の健康のために選択する権利は重要だが、残念ながらこれらの製品の規制はあまりにも貧弱で効果が無く、一般的消費者にとっては害の方が多い。システムは消費者を陥れるように構築されている。
サプリメントとは実際何?
我々の健康を改善するリスクのない魔法の弾丸、という考えには逆らいがたい。サプリメントは安全でナチュラルで有効だと宣伝されていて、その宣伝文句が有効なのは間違いない。しかしそれは医薬品ではなく、医薬品との違いはあなたが思うよりはるかに重要である。
(かなり略)
サプリメントサプリメントでなくなるとき
一般的にサプリメントは安全でないことが証明されるまで安全だとみなされる。一方医薬品は販売前に安全性と有効性を示さなければならない。しかしその差は明確だろうか?
医薬品だろうとサプリメントだろうと、人体では吸収・分布・代謝・排泄がおこる。これをADMEという。サプリメントにはこのデータがない。
そして品質基準がないので特有のリスクがある
異物混入は珍しくない
安全なサプリメントを選ぶ方法は存在しない
(日本の機能性表示と同じ問題。ただし日本のほうがさらにたちが悪いところもある)