食品安全情報blog過去記事

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  • 改訂英国Eatwellプレートについてのエディトリアルへの専門家の反応

SMC
expert reaction to editorial on the revised UK Eatwell Plate
June 13, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-editorial-on-the-revised-uk-eatwell-plate/
英国心臓財団上級栄養士Victoria Taylor
Eatwellガイドは食事についてのガイダンスを一般の人に示すのに使われるツールである。このガイドラインは栄養に関する科学助言委員会による入手可能な根拠の独立した厳密なレビュープロセスを経て開発された。これらにレビューでは栄養のような複雑な分野の助言をするために、いろいろなタイプの研究を考慮している。何千人もの人の食事を何年にも渡ってコントロールするのは不可能なので、RCTだけではわからない。栄養に関するガイドラインについては常に批判があるようだが、基本は実践不可能なガイドラインには意味がないということである。我々にはまだやるべきことがある。
英国栄養士会広報ロンドンTeaching病院主任栄養士Catherine Collins
英国Eatwellガイドはこれまでの健康的食生活ガイドの「プレートモデル」を引き継ぎいくつか変更している。発表以降このガイドにはいくつかの批判がありそのいくつかがエディトリアルで取りあげられている。意味のある批判もあるが、残念ながらHarcombeのエディトリアルは彼女のいつもの炭水化物の悪者扱いにはまりこんでいる。炭水化物には毎日30gの食物繊維を摂れるように考慮してあることが無視されている。最後にガイドラインの更新が食品企業からの資金提供で歪められているという想像は馬鹿げている。
Reading大学栄養健康准教授Gunter Kuhnle博士
食事に関する助言は明確でわかりやすいものである必要がある。あいまいで定義がよくわからない「本物の食品」のような分類を使うことはメリットが無く混乱のもとである。
Zoe Harcombeの助言は「本物の食品(real food)を食べよう」であるが、彼女はそれが何を指すのか説明していない。「リアルフード」という概念はここ数年人気が出ているがそれが何なのかについてのコンセンサスは無いようである。リアルフードはしばしば加工されていない食品と同義で使われるが、ほとんどの伝統食品はなんらかの加工を経ている。地中海食の定番である赤ワイン、チーズ、オリーブ油は全て加工されているがそれらはリアルフードなのか?
(中略)
最近、1970年代と80年代の食事ガイドラインの導入と肥満や糖尿病の増加が関連するという主張がある。しかし近代社会の変化は食事ガイドラインの導入だけではない。多くの他のことで人々のライフスタイルが変わった。それらを無視して単純化するのは適切な対応を阻害するため危険ですらある
King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授
一般向けの食事助言が良質な科学で支えられていることは重要である。このエディトリアルは科学ではなく挑発的ジャーナリズムである。食事ガイドが企業の影響で改訂されたという薄っぺらな仄めかしがたくさんある。肥満の流行がガイドラインのせいだという根拠はない。食事ガイドラインの根拠がRCTではないという主張は単に間違いである。FSAやPHEはいくつかの大規模RCTを行っている。このエディトリアルはデンプン質の食品に反対したいようだが、炭水化物を腫瘍エネルギー源とするようになったのは最近のことだというのは間違いである。実際には英国人は第二次世界大戦中はエネルギーの53%が炭水化物で、それから45%に落ちて約50年変わらない。
(中略)
「健康のためではなく企業の利益のためにデザインされた」という見出しは全く正当ではない

  • Holliday 対Vitacost社和解

Holliday v. Vitacost.com Settlement
http://www.vitacostmagnesiumsettlement.com/
http://www.vitacostmagnesiumsettlement.com/media/572310/v7_vch_notice_060116_final.pdf
マグネシウムを含むサプリメントを販売していたVitacost社が、製品の成分表示に「酸化マグネシウム」を表示していなかった(100% グリシンマグネシウムと表示されていた)ことに対して集団訴訟が提訴され、返金を含む$522,500.00.で和解成立。
(購入していた場合このサイトから返金申請文書がダウンロードできる。いかにもアメリカっぽい。消費者が権利を守りたければこうやって戦う。)

テキサスのカイロプラクターは今後アイオワで「糖尿病自然療法」セミナーを行わない
Texas Chiropractors to Cease Future Iowa “Natural Diabetes Program” Seminars
June 10, 2016
https://www.iowaattorneygeneral.gov/newsroom/texas-chiropractors-to-cease-future-iowa-natural-diabetes-program-seminars/
カイロプラクターJeffrey Murray Hockings と Dean Draluckがアイオワのホテルで"Help Your Diabetes"という2-4ヶ月のサプリメントやレシピや電話などからなる糖尿病治療に参加することを求めるセミナーを開催した。このセミナーに参加して4000ドルの参加費を払ったアイオワの高齢者二人が、アイオワの消費者保護局に苦情を申し立てたところHockingsはキャンセルと返金を拒否した。理由として彼らがキャンセルや返金の権利を放棄するという契約書にサインしたからだという。しかしこの契約はアイオワの州法に違反している。アイオワの人たちには、無料の食事やギフトを配ったり信じがたいような宣伝をしてあなたを誘うセミナーや販売会には警戒するよう呼びかける。
(違法な契約には効力無いとか、知らない人がよくカモになってる)

Liverpool NHS set to axe £30k funding for controversial homeopathy treatment
13 Jun 2016
http://www.liverpoolecho.co.uk/news/liverpool-news/liverpool-nhs-set-axe-30k-11461949
保健主任がこの代替療法には科学的根拠がないという
最近の調査では73%がリバプールでのホメオパシーにNHSのお金を出すことを止めて欲しい、23%が続けて欲しい、だった。
年に100人以上の患者に29000ポンドの支出となっている

  • Walgreensがアリゾナの40のセラノスセンターを閉鎖

Walgreens shuts down 40 Theranos centers in Arizona
June 13, 2016
http://www.azcentral.com/story/money/business/health/2016/06/13/walgreens-shuts-down-40-theranos-centers-arizona/85839104/
月曜日にWalgreensがフェニックスのセラノス健康センター40ヶ所全てを閉鎖した後、この会社のアリゾナでの小売りは4ヶ所に縮小した。Doug Ducey議員がこのシリコンバレーの企業の最大の支持者の一人で、アリゾナの立法機関はこの会社や他の民間検査会社に、消費者に医師の処方無しに直接血液検査や尿検査を制限無しに販売することを認める法律を成立させていた。Walgreensは約3年前に店舗内に最初にセラノスをオープンさせた。この閉鎖はセラノスが連邦規制機関からの監視強化に直面していることと2件の民事訴訟による。Walgreensの声明では米国保社会福祉省の公的保険制度運営センターからセラノスの検査結果は無効だとされたことを述べている。FDAの査察で1月にカリフォルニアのセラノスのラボに問題がみつかり、修正するまで検査を止めるよう命令された。
セラノスは別のセンターを作ったり計画したりしているという。
セラノスは消費者への宣伝は派手だが科学者は新技術に関する質問への回答を拒否していることなどについて疑問を提示してきた。10月のWall Street Journalの暴露記事以降逆風が続いている。
(科学者がなんと言っても上手なプレゼンと政治家の支持で他人の健康を弄んだ金儲けはできちゃう)