食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 多くの売り上げの多い日焼け止めは適切な保護を提供しない

Many top selling sunscreens don't offer adequate protection
6-Jul-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-07/nu-mts070516.php
Amazon.comで販売されているベストセラー日焼け止めの約40%が米国皮膚科学会の日焼け止めガイドラインを満たさない。多くは水または汗に耐性がないため。また同じ保護性能を買うための値段は最も安いものの3000%にもなる。
JAMA Dermatologyに発表。

  • 慢性痛は家族内発症する?

Does chronic pain run in families?
6-Jul-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-07/wkh-dcp070616.php
慢性痛リスクは親から子どもに伝達されるか?国際痛み研究学会の公式雑誌PAIN®に発表された報告によると遺伝、早期発達影響、社会的学習などいくつかの要因が寄与する可能性がある。
・遺伝 慢性痛のある両親の子どもは痛みの感覚器や心理的要因の遺伝的リスクが高い可能性がある。研究によると概ね半分。
・早期神経生物学的発達 慢性痛のある両親は重要な時期の神経系の発達の特徴に影響する可能性がある。妊娠中や産後の母親のストレスレベルなど
・痛み特異的社会的学習 こどもは両親から「痛みへの間違った適応行動」を学習する可能性がある。痛みについての過剰な壊滅的な反応や恐怖など
・一般的な育て方や健康習慣 
・ストレスの多い環境

  • 何故膝の怪我はしばしば治らないのか

Why knee injuries often don’t heal
By Mitch LeslieJul. 6, 2016 ,
http://www.sciencemag.org/news/2016/07/why-knee-injuries-often-don-t-heal
もしあなたがスキー場で転んだり氷で滑ったりしたとき、脚の骨を折った方が膝軟骨が破れた時より治りがいいだろう。過去の核実験の放射性降下物を用いた新しい研究によると、骨と違って、あなたの軟骨は再生したり治癒したりしない。
共著者でコペンハーゲン大学リューマチ専門医のMichael Kjærは「関節置換術を行う外科医は心配すべきではない。彼らは仕事をしている」という。
多くのアスリートや週末の戦士達が証言するように、傷めた膝関節軟骨は治りにくい。しかし軟骨の代謝は測定が難しいため、研究者達は確信できなかった。これを確認するためKjærらは同位体炭素14の量により分子の年齢を決める技術を利用した。大気中のC14は1950年代に地下核実験により急増し1963年に禁止条約ができてから急速に減少した。この同位体の量を測定することでその分子の年齢がわかる。もしその分子が継続的に置換されているのなら、その分子は若く、現在の大気中のC14と近いレベルを含むはずで、もしその分子が変わらないならその分子ができたときのC14濃度になるはずだ。
Kjærらは2000年より前に生まれた1献体と22人の膝関節置換術を行った患者の骨のC14濃度を測定した。患者の中には変形性関節症により膝を交換した人や骨腫瘍のため関節は健康だが置換術をした人がいる。研究者らは軟骨を、最も負荷のかかる膝関節の中心部からと、負荷の少ない辺縁部から分析した。
軟骨の強度を提供するタンパク質であるコラーゲンのC14濃度は、彼らが8-13才の時の大気中濃度に相当し、成人になってからは新しいコラーゲンは作られないことを示唆する。Science Translational Medicineに本日オンライン発表された。例えば1935年生まれの患者のC14は少なく、1950年代に生まれた患者の同位体含量が最も高かった。
これまでの研究のいくつかでは変形性関節症患者で関節の自己修復の兆候であろうコラーゲン合成の増加が見られている。しかしKjærらの研究ではその影響は検出できなかった。この違いの説明として、科学者らはこれまでの研究では関節のコラーゲン代謝は間接的に測定しているためだと示唆している。負荷の最も高い関節部分でも、成人は新しいコラーゲンを作らない。
研究者らは膝軟骨の再生を誘発するため、幹細胞や銀を入れたりといったいくつかの方法を試みてきたが効果はなかった。軟骨が壊れるのを予防する方法を開発する方が成功する可能性が高いだろう、とKjærは言う。
この研究は軟骨を守ることの大切さを強調する。ノースカロライナ医科大学の軟骨生物学者でこの研究には関与していないRichard Loeserも同意する。「あなたは若いときには軟骨を大事にする必要がある。一度傷つくと自己修復はしない」。
Radiocarbon dating reveals minimal collagen turnover in both healthy and osteoarthritic human cartilage
Katja M. Heinemeier et al.,
Science Translational Medicine 06 Jul 2016:
Vol. 8, Issue 346, pp. 346ra90
http://stm.sciencemag.org/content/8/346/346ra90
(既に臨床試験の結果はあって結論は出ているのだけれど、コラーゲンだのヒアルロン酸だののサプリメントを摂っても膝関節軟骨には何の効果もない。その理論的根拠がこの研究でさらに強化された)

  • 何ですって?カフェインは難聴からの回復を阻害するかも

Say what? Caffeine could impair recovery of hearing loss
Wednesday, July 6, 2016
http://publications.mcgill.ca/reporter/2016/07/say-what-caffeine-could-impair-recovery-of-hearing-loss/
McGill大学健康センター研究所の研究者が、毎日カフェインを摂取することは一時的な聴覚障害からの回復を阻害する可能性があることを発見した。JAMA Otolaryngol Head Neck Surgに発表。
コンサートなどで大音量に暴露されると一時的に聴力が落ちる。この低下は通常72時間の間は回復可能であるが、症状が長引くと永続することがある。研究者らは動物モデルを使って、11dBに1時間暴露しその後一方の群に毎日カフェインを与えると、8日後カフェインのない群が完全に回復したのにカフェイン群では聴覚障害が持続することを発見した。25mg/kgのカフェインは明確に負の影響があった。
Association of Caffeine and Hearing Recovery After Acoustic Overstimulation Events in a Guinea Pig Model.
Faisal Zawawi et al.,
JAMA Otolaryngol Head Neck Surg 2016 Apr;142(4):383-8