食品安全情報blog過去記事

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expert reaction to conference abstract about high cholesterol and survival in people with cancer
July 8, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-conference-abstract-about-high-cholesterol-and-survival-in-people-with-cancer/
Frontiers in CardioVascular Biology学会の発表要旨
Wolfson予防医学研究所長でQueen Mary University of Londonのがん予防センター長Jack Cuzick教授
提供されたデータを正確に解釈するのはほぼ不可能である。高脂血症の診断基準は?929552人の全てで調べたのか一部のみか?がんと高脂血症の関連は?補正もされていないようだ。
オックスフォード大学医療統計と疫学教授で臨床試験ユニットの共同部長Sir Richard Peto教授
この、スタチンががん死亡から守るかもしれないという主張は真に受けるべきではない。なぜなら進行がんでは血中コレステロール濃度が下がることはよく知られており、スタチンの大規模RCTでがんの有病率や死亡率にほとんどあるいは全く影響がないことを既に知っているからである。
Queen Mary University of Londonがん予防センター研究フェローMangesh Thorat博士
研究の質の高さを判別する情報がある。ピアレビューされているか?結論はしっかりしたデータに基づくか?スタチンの影響なのか高コレステロールの影響なのか区別できるか?既存の根拠と矛盾しないか?著者が交絡を考慮しているか?限界は?観察された影響のメカニズムは?
シェフィールド大学心臓相談医心血管系医学准教授Tim Chico博士
このような学会発表データは通常予備的なもので評価のための十分な情報がない。長生きするがん患者がスタチンを使用しているという根拠はない、彼らは単に高脂血症なだけでスタチンをとっているかどうか確認していない。

  • マウスでの食事とエピジェネティック変化の関連についての研究への専門家の反応

expert reaction to study investigating link between diet and epigenetic changes in mice
July 7, 2016
マウスのエピジェネティック変化に食事がどう影響するのかについての研究がScienceに発表された
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-investigating-link-between-diet-and-epigenetic-changes-in-mice/
Babraham研究所エピジェネティック計画部Wolf Reik教授
この研究は食事がどう遺伝子やエピジェネティックと相互作用するのかについてのメカニズムについてのもので、食事の影響そのものについては扱っていない。従ってこの研究から高タンパク質食をすべきだとは言えない。この研究の面白いところは、人生の初期の栄養不良で細胞のタンパク質レベルを調節するrDNA座位にDNAメチル化が見られたことである。しかしその反応はrDNA自身の遺伝子型に依存する。従って栄養の変化はエピジェネティクスと遺伝的要因の両方により健康な発達や加齢に影響する可能性がある。さらに面白いのはrDNA座位は酵母からほ乳類まで保存されている栄養変化による遺伝指標的であることで、適応の一般的メカニズムに重要なように思える。