食品安全情報blog過去記事

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その他

  • サモアに肥満関連遺伝子が発見された−専門家の反応

SMC NZ
Obesity-linked gene discovered in Samoa – Expert reaction
July 26th, 2016.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2016/07/26/obesity-linked-gene-discovered-in-samoa-expert-reaction/
サモアの肥満を研究している研究者が脂肪の貯蔵を高め肥満リスクを増やす特有の遺伝的変異を発見した。それがNature Geneticsに発表された。彼らは第5染色体の単一遺伝子変異を同定し、この変異を持っていない人に比べて肥満になるオッズが35%高いと推定している。Brown大学の公衆衛生教授Stephen McGarveyは、これはサモアの肥満率の高さの多くの理由のうちの一つに過ぎない、という。この遺伝子のリスク増加はこれまで発見された中では最大であるが全体としてはサモアBMIの多様性のうちのたった2%しか説明しない。そしてこの遺伝子変異をもつ人は2型糖尿病になりにくい。この発見をサモア人が肥満になるのは避けられないと解釈しないよう注意する。健康体重には健康的な食事と運動が重要であることに変わりはない。サモア人は200年前は肥満ではなかった。遺伝子はそんなに早く変わらない−急激に変わったのは栄養環境である。
SMCは以下の専門家のコメントを集めた
オタゴ大学ヒト栄養と医学教授Jim Mann教授
これは興味深い発見であるがすぐには公衆衛生問題を解決する役にはたたないだろう。直近の公衆衛生対策としては不適切な食品摂取を減らすことを目的としている。
オタゴ大学ヒト栄養学部上級研究フェローLisa Te Morenga博士
興味深い発見ではあるがその影響については文脈を考える必要がある。
この遺伝子は対象集団のBMIの変動の1-2%を説明する。1980年からサモアの肥満は約18%増加した。今やサモアの男性の46%、女性の69%が肥満である。これは食品由来のエネルギー摂取が47%増えたことによる。
遺伝子研究は誰が肥満リスクが高いか低いかのヒントを与えるが半分以上が肥満である場合にはあまり意味がない。最も重要なことは明確で、食品環境である。
遺伝学者でオタゴ大学Maurice Wilkinsセンター主任研究者Tony Merriman博士
この研究はポリネシアの人たちの肥満遺伝子の初めての系統的研究で重要である。この変異は世界的には極めて希でサモアの人たちに特異的である。注意すべきはこの遺伝子はサモアの体重管理の約2%にしか関与しない。さらなる研究が必要である
オークランド大学細胞信号伝達教授でMaurice Wilkinsセンター主任研究者Peter Shepherd教授
個人の体重増加リスクに遺伝的要因があることはわかっていた。しかしその遺伝子についてはあまりよくわかっておらず、この研究は大きな前進である。
オタゴ大学生命倫理講師Mike King博士
この種の研究は極めてテクニカルなもので慎重な報道が必要である。情報は重要であるが誇大宣伝にならないように注意が必要である
オークランド大学糖尿病専門内分泌専門医Maurice Wilkinsセンター主任研究者Rinki Murphy博士
これは非常に重要な研究であるが発見された遺伝子変異がインスリン抵抗性とは関連しないのは興味深い。
オークランド大学集団健康学部太平洋健康研究者Maurice Wilkinsセンター研究者Ofa Dewes博
重要な研究でさらなる研究が必要だろう。一方で科学的知見を明確にコミュニティや関係者に伝えることが優先課題である。

SMC NZ

Government plan for a predator-free New Zealand – Expert Reaction
July 25th, 2016.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2016/07/25/government-plan-for-a-predator-free-new-zealand-expert-reaction/
政府が害獣駆除のためのジョイントベンチャー企業を作って2050年までにニュージーランドから全てのラット、オコジョ、ポッサムを駆除することを計画している
SMCは保存の専門家の反応を集めた
(略)

政府の捕食者フリー誓約−ニュース報道
Govt’s predator-free pledge – In the News
July 25th, 2016.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2016/07/25/govts-predator-free-pledge-in-the-news/
John Key首相が2050年までにニュージーランドを捕食者フリーにするという野心的な目標を発表した。各種ニュース報道へのリンク

  • コロラドで娯楽使用が合法化されてから、子どもの大麻暴露が増加

Marijuana exposure in kids rose after recreational use legalized in Colorado
25-Jul-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-07/tjnj-mei072116.php
JAMA Pediatricsに発表された論文によるとコロラドでの大麻の娯楽用使用が合法化されてから、子どもの意図しない暴露による地域の中毒センターへの報告事例と病院へ行くことの両方が増加している。
コロラドは2000年に大麻の医療用使用、2014年に娯楽用使用を合法化している。コロラド大学Anschutz医学部のGeorge Sam Wang医師らが2009年から2015年の子ども病院への入院と中毒センターへの症例データを評価した。対象としたのは10才以下で病院の救急外来や緊急治療センターあるいは入院施設で評価された子どもと中毒センターに田尾間に暴露されたと報告された子どもである。病院で81例そのうち解析対象62例、中毒センターへの報告163例を同定した。子どもの年齢の中央値は病院が2.4才、中毒センターが2才である。子どもの入院は合法化の前の10万人あたり1.2から合法化後2.3に増加。中毒報告は2009年の9例から201547例に増加した。大麻の由来は親、祖父母、近所の人、友人、ベビーシッター、あるいは他の家族。製品としては食べものに大麻を入れたもの。
(娯楽用の大麻入りクッキーを合法にしたらそうなるに決まっている。)

  • マグネティック(磁石付き、磁気入り)インソールは足の痛みを緩和する?

専門家に聞こう
Do Magnetic Insoles Ease Foot Pain?
by Berkeley Wellness | July 26, 2016
http://www.berkeleywellness.com/self-care/over-counter-products/article/do-magnetic-insoles-ease-foot-pain
Q: マグネティックインソールは足の痛みを緩和する?
A:あてにするな。実際のところ、それに効果がないという良い科学的根拠がある。磁石は人体に侵入できる磁場をつくり、それが神経系の機能を変えたり血流を促したりその他の痛みの緩和に関係しそうな影響があると宣伝されている。しかし2003年にJAMAに発表されたMayo Clinicの大規模研究で磁気のないプラセボより痛みを緩和することはなかった。8週間後、磁石をつけた参加者の1/3が症状が改善したと報告したが、プラセボ群でも1/3が改善した。2005年にMayo Clinic Proceedingsに発表された同じ研究者の別の研究でも磁気インソールには「臨床上の効果はない」と結論している
NCCIHによると磁石についての研究は一貫しない結果であるが全体としては痛みの緩和に使うことを支持しない。見かけ上の改善は単に症状が自然に無くなったかプラセボによるものである。

Water in East Colorado Town Is Deemed Marijuana-Free After All
By JACK HEALYJULY 25, 2016
http://www.nytimes.com/2016/07/26/us/water-in-east-colorado-town-is-deemed-marijuana-free-after-all.html?_r=0
HugoのTHC陽性野外検査の結果は実験室での検査では確認されず、偽陽性であったと発表。