食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 研究は科学界の最も有名なでっちあげのひとつであるピルトダウン人の犯人を明らかにする

Scienceニュース
Study reveals culprit behind Piltdown Man, one of science’s most famous hoaxes
By Michael PriceAug. 9, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/08/study-reveals-culprit-behind-piltdown-man-one-science-s-most-famous-hoaxes
1907年から始まったピルトダウン人の物語について、本日Royal Society Open Scienceに報告された研究でこの詐欺が一人の人間によって行われたことが示唆された。最も可能性が高いのは100年前に死亡したCharles Dawson。
(いろいろ略)
ピルトダウン人の物語は科学者が期待していたものを発見したときに簡単にそれを受け入れることの危険性の教訓として今日でも価値がある

  • 安全でない量の有害化合物が600万人以上のアメリカ人の飲料水に検出された

Unsafe levels of toxic chemicals found in drinking water for 6 million Americans
9-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/htcs-ulo080416.php
ポリフルオロアルキルおよびパーフルオロアルキル化合物(PFASs)が連邦推奨安全量を超えて飲料水から検出された。Environmental Science & Technology Lettersの2016年8月9日号に発表。
EPAが2013-2015年に集めた全国の水の検体36000以上のデータを検討した。EPAの2種のPFASに対する安全基準70pptを超えてどれか一種類の化合物が検出された公共水は66で、これらの水が供給されているのは600万人以上。最も高濃度だったのはPFOAで349 ng/L、PFOSで1800 ng/L。濃度が高いのは工場や排水処理施設の近く。
またEnvironmental Health Perspectivesの2016年8月9日号には同じHarvard Chan Schoolの Philippe Grandjeanらがファロー諸島の約600人の若者で小さいときのPFASへの暴露と予防接種を受けたジフテリア破傷風への抗体の量の少なさに関連があると報告している(もと論文には破傷風抗体は関係ないって書いてあるけど)
EPAは安全でない量なんて言ってないし、一回でもどこかで検出されればその水系全部をダメだというのは大げさだし。でもいつものやりかた。「基準値」を下げることの弊害はこの手の誤用・濫用。研究費稼ぎに使われる)

  • がん罹患歴のある成人に肥満が増加している

Obesity on the rise in adults with a history of cancer
9-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/cums-oot080916.php
Journal of Clinical Oncologyに発表された米国のがんサバイバーとがんになったことのない人を比較した研究。1997年から2014年の18-59才のNHANESに参加した国民を代表する53969人のデータを用いた。肥満の定義はアジア人ではBMI 27.5以上、それ以外は30以上。がんサバイバーは32447人で最も多いがんは乳がん、次いで前立腺がん、直腸結腸がん。1997年から2014年の間にがんでない人の肥満は21%から29%に増えたががんサバイバーは22%から32%に増えた。特に女性がんサバイバーで大きく増えた。

  • プラスチック製造用化合物BPSは卵細胞を傷つける、研究が示唆

Plastic manufacturing chemical BPS harms egg cells, study suggests
9-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/uoc--pmc080916.php
ビスフェノールAの代用品として使われているビスフェノールSはBPAと同様生殖器系に有害であることがUCLAの研究者らによって発見された。BPSは女性の卵細胞をBPAより低い濃度で傷つける。PLOS Genetics.
(線虫の実験なのにwoman's eggsと言っている。単にデータがないだけのものに代えてBPAフリーとか宣伝することのばかばかしさはもともと指摘されていた。徹底的に調べられているBPAのほうがよほど安全性は高い。リスクがゼロではないことが拒否の理由になると思っている人たちの理想を求める旅は永遠に終わらない)

BMJ Views And Reviews
Margaret McCartney: Game on for Pokémon Go
BMJ 2016;354:i4306
http://www.bmj.com/content/354/bmj.i4306
ポケモンGoが流行している。スマートホンを使ってアニメキャラクターを現実の場所で、バーチャルに狩る。若者や子供じみた大人(kidult)に人気で、歩き始めている。
私の一番下の子どもは母親と一緒に何マイルも歩くのを喜んでいる。真ん中の子どもは我々が夢中になっているのにうんざりしているが感心してる(多分)。一番上の子どもは呆れている。
メディアも同じように分かれている:ポケモンGoはあなたにとって良いあるいは悪い?鬱に役立つとか肥満を解決するとか、あるいは逆にポケモンGoをやっていて海や穴におちて救助されたとかが報道されている。
英国子ども虐待防止学会は保護者向けガイドを作った。確かに、ポケモンGoはもっと安全にできるしするべきだ。他の多くのことと同様、それには利益もリスクもある。
おこらなかったことについては報道されることはない:運動したせいで心臓発作が予防されたとかピカチューを捕まえている間に日光を浴びてビタミンD欠乏が避けられた、とか。
ほとんどの健康アプリは健康になりたいと思っている人の運動を増やす。ポケモンGoは健康アプリとして宣伝されてはいないがプレイヤーはたくさん歩く。このアプリはストリートを活動的にし遊び場を再生させる可能性がある。運動量が増えるのは興味深い副作用である。
ゲームを続けよう。