食品安全情報blog過去記事

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[論文]論文

  • 議論のある殺虫剤が野生の蜂の減少に関連

Natureニュース
Controversial insecticides linked to wild bee declines
Miquel Sureda Anfres  16 August 2016
http://www.nature.com/news/controversial-insecticides-linked-to-wild-bee-declines-1.20446
EUのレビューを前にネオニコチノイドに不利な根拠が増える
英国政府の資金提供をうけた研究が8月16日にNature Communicationsに発表された。これまでの研究は実験室や野外での短期間のものだった。この研究を行った生態学水文学センター(CEH)の生態学者Nick Isaacは「我々の研究はネオニコチノイドが野生の蜂に有害であることを示す−我々はそのことを確信している」という。
この報告は広範に使われているこの化合物をミツバチのために禁止または厳しく制限するかどうかについての激しい議論をさらに激しくする。世界中でいろいろな蜂が減っているが、気候変動や他の殺虫剤や寄生虫や住処の消失などが全てこの問題に関連している、とCEHのもうひとりの生態学者Ben Woodcockは言う。
(中略)
同じくこの研究に参加したCEHの生態学者Richard Pywellは殺虫剤の使用とミツバチの減少の関連は明確だと考えている。しかしEUネオニコチノイドの禁止を継続すべきかどうかについてはコメントできない、という。「我々の仕事は政策について決めることではない。EUと英国の政策決定者に独立した根拠を提供することだ」。
政策決定者にとっての問題は、ミツバチのような授粉媒介者の健康な多様性を促進しつつ如何にして作物の害虫をコントロールするか、であるとWoodcockは言う。「ミツバチを救うためなら他の全てのものをダメにしていい、などと言うことはできない。我々はもしネオニコチノイドが禁止されたらその代わりに使われる殺虫剤の影響を考える必要がある」。

  • ネオニコチノイドの使用がミツバチの長期集団変化に与える影響をしらべた研究への専門家の反応

SMC
expert reaction to study investigating neonicotinoid use on long-term population changes in bees
August 16, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-investigating-neonicotinoid-use-on-long-term-population-changes-in-bees/
Nature Communicationsに発表されたイングランド中の62の野生蜂に与えるネオニコチノイドの影響を調べた長期大規模研究について。
Dundee大学神経生物学准教授Christopher Connolly博士
これは非常に興味深い研究で、18年間62種の野生の蜂を調べた。ミツバチの主な暴露源である可能性の高い菜種(OSR)畑で餌を集める蜂への負の影響が、そうでない蜂の3倍であることを発見した。実験室での研究と違ってこの研究は関連のみを示すので他に原因がある可能性も残る。例えばミツバチが菜種から餌を集められるのは4-6週間のみで、それ以外の時期には餌不足である可能性がある。また菜種に使われる殺虫剤はネオニコチノイドだけではない。従ってこの研究はネオニコチノイドの安全性についての新しい重要な根拠を加えるが他の原因の可能性を排除することはできない。まだまだ知るべき事がたくさんある。

Survey and Risk Assessment of Apis mellifera (Hymenoptera: Apidae) Exposure to Neonicotinoid Pesticides in Urban, Rural, and Agricultural Settings
T. J. Lawrence et al.,
http://jee.oxfordjournals.org/content/109/2/520
ミツバチの巣の蜜蝋や花粉のネオニコチノイド濃度を測定してリスクを計算した研究