食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • オバマの科学遺産:生命医学に大きく賭ける

Natureニュース
Obama’s science legacy: betting big on biomedical science
Heidi Ledford 22 August 2016
http://www.nature.com/news/obama-s-science-legacy-betting-big-on-biomedical-science-1.20465
野心的な脳のマップとがん治療への大きな賭けは研究全体への資金増加にはならなかった
大統領が退任準備をする中、Natureは彼の任期中の科学の浮き沈みを検討した。

  • 専門家に聞こう 電子レンジポップコーンの危険性

Ask the Experts
A Microwave Popcorn Danger
by Jeanine Barone | August 22, 2016
http://www.berkeleywellness.com/healthy-community/environmental-health/article/microwave-popcorn-danger
Q:電子レンジポップコーンに発がん物質が含まれるって本当?
A:ノー、しかし少なくとも一成分は定期的に吸入すると肺に傷害をもたらす−それは「ポップコーン肺」と言われている。疑われている化合物は天然にヨーグルトやワインやバターやチーズなどの食品に含まれるが、問題となるのはバター風味のために添加された合成ジアセチルを嗅いだときである。ジアセチルは電子タバコやタバコにも使われている。
ポップコーン肺は不可逆的で消耗性で死亡することもある肺疾患である。この用語はポップコーンや香料の製造工場で働いている人が呼吸器症状、医学的には閉塞性細気管支炎として知られる、を発症したことによる。この炎症性の病気は肺の小さな気道を詰まらせ慢性の咳や息苦しさをおこす。
一般の人がポップコーン肺について初めて聞いたのはポップコーンが大好きな中年男性がこの病気になって、製造業者と小売り業者を訴えて700万ドルを得た時であろう。原告はほぼ毎日10年にわたってエクストラバター風味電子レンジポップコーン2袋のバター風味の蒸気を吸入していたと報道されている。
CSPIが最近主要電子レンジポップコーン製造業者に尋ねたところ、全てがジアセチルを類似の化合物である2,3-ペンタジオンに切り替えたと主張した。この化合物も吸入すれば安全ではない可能性がある、少なくとも動物実験では。これら化合物は「合成香料」とのみ表示され個別の化合物名は記載されていない。
電子レンジポップコーンの袋には最近FDAが使用を禁止したPFOSが使用されている可能性がある。PFOSやジアセチルのような化合物が最も問題になるのは職業暴露である。時々電子レンジポップコーンを食べることについてパニックになる理由はない。それでも、調理の際に出る煙やフュームには多くのリスクのある化合物が含まれるため、キッチンの換気を良くするのは良いことである。CSPIは電子レンジポップコーンの袋を空ける前に冷ましたり換気扇のもとで開けたりすることを薦めている。買うときにはカロリーやナトリウムを比較しよう。

  • Elizabeth M. Whelan博士を追悼する公衆衛生エッセイ集

Standing With Giants
A Collection of Public Health Essays in Memoriam to Dr. Elizabeth M. Whelan
https://www.createspace.com/6286768
1978年にACSHを創設して2014年9月11日に亡くなるまで努めたElizabeth M. Whelan博士の追悼エッセイ集

  • 実験室で育てた肉やミルクが米国市場に少し近づき、企業は誰が規制するのか疑問に思う

Scienceニュース
As lab-grown meat and milk inch closer to U.S. market, industry wonders who will regulate?
By Elizabeth DevittAug. 23, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/08/lab-grown-meat-inches-closer-us-market-industry-wonders-who-will-regulate
実験室で作った肉のハンバーガーは味についてはあまり誉められなかったが、米国政府がこの分野、動物を使わずバイオテクノロジーで肉やミルクや卵白を作る細胞農業、をどう規制するのかについての疑問を明るみに出した。
これまでこのような合成食品は市販されていない。しかし十程度のベンチャー企業が生産の規模拡大を試みている。サンフランシスコベイエリアではMemphis Meatsが細胞培養ミートボール、ソーセージなどを5年程度で販売したいと希望していて、Perfect Dayは2017年末までに乳牛を使わない乳製品を販売したい。しかしこのような新しい食品をどの政府機関が規制するのかは明確ではない。
歴史的には肉や家禽や卵はUSDAが、食品添加物FDAが安全性を監視している。またヒトの組織や血液由来の生物製剤や遺伝子治療FDAが監視している。しかし新しいバイオテクノロジーはこれらの境界を曖昧にする可能性がある。
微生物やその他のバイオテクノロジーを使って食品に加える酵素やタンパク質を作ることは既に行われている。そのような製品はGRASであることを証明できなければFDAによる市販前の認可を必要とする。このシナリオはPerfect Dayにも使えるだろう。ただしその製品をミルクと呼ぶことはできないだろう。
細胞培養肉については事態はもっと複雑で、食品添加物とは違う。FDAの医薬品製造監視の制度になるかもしれない。
バイオテクノロジーは新しい食品製品の定義を難しくするかもしれないがより正確な安全対策を可能にするかもしれない。将来的には単一の規制機関を作るのが理想かもしれない

  • 動脈の爆発を予防するために緑茶を飲む

Drinking green tea to prevent artery explosion
23-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/ku-dgt082316.php
京都大学ポリフェノール摂取はラットの腹部大動脈瘤拡大を減らすことを示す
腹部大動脈瘤を誘発する酵素で処理したラットに緑茶ポリフェノールを飲ませると発症が抑制されることをJournal of Vascular Surgeryに発表した。
共著者のHidetoshi Masumotoは「日本人は世界で最も寿命が長く、約80%が毎日緑茶を飲んでいる。我々は新しい腹部大動脈瘤予防法として緑茶を飲むことを検討すべきだと信じる;将来の研究課題は最適用量を調べること」という。
(このプレスリリースには実験方法の具体的記載無し、やたらファンシーなイラスト。これで京都大学の専門家内での評価が上がるわけはなく、一般の人向けの誤解を狙ったアピールとしか。ちなみに実験方法はラット30匹に管腔内からエラスターゼと管腔外から塩化カルシウムを投与して腹部大動脈瘤を誘発するモデル。処置の2週間前から処置後4週間までEGCG 20 mg/dを投与。評価したのは28日目の腹部大動脈の直径や壁の厚さやエラスチン含量等。当然のことながら腹部大動脈は破裂していない。ラットの体重150gくらいだとするとヒト50kgに換算すると 20 x 50000/150 =6667 mg。ペットボトルのお茶500mLでカテキン含量が多いと宣伝しているもので360 mgだそうだから18.5本分。普通のお茶だとその2倍くらい)

Homeopathy on the NHS: at death's door
07 April 2016
http://www.nightingale-collaboration.org/news/183-homeopathy-on-the-nhs-at-death-s-door.html
NHSのホメオパシーは18年連続低下
新しいデータによるとイングランドのNHSでのホメオパシーが底値を更新した。20年前のピーク時に比べて処方は95%減少、費用では90%減少。
2015年の処方は8894で2014年の10238から減少、総費用は94313ポンドと初めて10万ポンドを割った。

Quackwatch
Homeopathy: The Ultimate Fake
Stephen Barrett, M.D.
revised on August 22, 2016.
http://www.quackwatch.org/01QuackeryRelatedTopics/homeo.html
(長い記事。主に米国の状況について)

  • 小規模研究が微量の周産期BPA暴露が男の子で鬱を引き起こすと主張する

Science 2.0
Small Study Claims Trace Prenatal BPA Exposure Causes Depression In Boys
By News Staff | August 16th 2016
http://www.science20.com/news_articles/small_study_claims_trace_prenatal_bpa_exposure_causes_depression_in_boys-178560
BPAは一部のプラスチックの成分で食品容器や水ボトルや歯のシーラント、感熱紙に存在する。人体では弱いエストロゲン作用があり「内分泌撹乱物質」に分類され、エストロゲンの2万分の1の受容体結合活性がある。
環境保護主義者らはFDAが4年かけて徹底的に調べても、妊娠マウスでも、ヒトの暴露量の1000倍でも、何の影響も見つけられず、さらにヒトは齧歯類より遥かに効率的にBPA代謝し排泄することを確認したのに、不思議なホルミシス作用でヒトに問題を引き起こしていると主張している。BPA反対者は毒性学を使えないので、疫学研究による示唆を使う。この場合は241人の妊娠女性で尿中に極微量のBPAが検出され、子どもは3-5才で痕跡程度に検出されると7-9才と10-12才の男の子の鬱になる可能性が高いという。
もしあなたが統計について知っていたらこのEnvironmental Researchに発表されたMailman School of Public Healthの研究の欠陥がわかるだろう。女の子では関連が見られない

NYT
Got a Thyroid Tumor? Most Should Be Left Alone.
By GINA KOLATAAUG. 22, 2016
http://www.nytimes.com/2016/08/23/health/got-a-thyroid-tumor-most-should-be-left-alone.html?_r=0
甲状腺がんについての新しい報告書の数字はぼう然とするようなものである。2003年から2007年の間に甲状腺がんだと言われて甲状腺を切除した米国、フランス、イタリア、オーストラリア女性の70-80%もが実際には放っておくべきものだった。韓国ではもっとひどくて、甲状腺がん女性の90%が手術は必要なかった可能性が高い。
(中略)
病理学者は甲状腺がんは、特に小さいものは、悪化しないことをずっと前から知っていた。解剖で1/3の人は甲状腺がんがあっても気がついていないことが示されていた。米国甲状腺学会は最近、小さな腫瘍が見つかったら最良の方法は経過観察で放っておくことだと助言している。
もちろん危険なものもあるがそれは大きくて症状がある。
(わかりやすい図が引用されている。)

Fentanyl found at Prince's estate mislabelled as weaker opioid
Aug 22, 2016
http://www.cbc.ca/news/arts/prince-fentanyl-overdose-1.3730477
プリンスは死亡する12ヶ月前にミネソタで規制対象薬物を処方されてはいない
匿名でAssociated Press の取材に答えた担当者によると、ひとつのAleve(アメリカで市販されているナプロキセン系の解熱・鎮痛剤)のボトルに入っていた約2ダースの錠剤には"Watson 385"と誤表示されていた。このスタンプはアセトアミノフェンとヒドロコドンの混合物を含む錠剤に使われるものであるが、少なくともその1つからはフェンタニルが検出されている。
当局はプリンスがどうやってこの薬物を入手したのかをまだ捜査している。
プリンスの住居からはたくさんの錠剤が発見され、オキシコドンコデイン、規制対象ではない薬物など様々だった。1ダースはドレスルームのボトルから発見されたが多くはアスピリンやビタミンCのボトルに入っていてプリンスが良く持ち歩いているスーツケースやバッグに入れられていた。一部の錠剤は裸でバッグに入っていた。
"Watson 385"と表示されているある錠剤からはフェンタニル、リドカイン、その他の薬物が検出された。別のアスピリンのボトルには60錠以上の偽の錠剤が入っていた。
一部の錠剤はフェンタニル、リドカイン、U-47700が含まれる。
別人の名前で処方されたオキシコドン錠剤の入ったボトルも見つかっている。

  • Chipotleは従業員がtweetすると罰を与えることを禁止される

Chipotle is banned from punishing employees for tweeting
http://www.businessinsider.com/chipotle-banned-from-punishing-employees-for-tweeting-2016-8
国労働関係委員会が先週、従業員にオンラインで同社の名誉を傷つけることを禁止したChipotleのソーシャルメディア規則は連邦労働法違反だと裁定した。2015年に従業員が休憩できないという請願をツイートしたことで解雇されたことに対応してNLRBが命令を出した。
(またChipotleがニュースになっていると思ったら・・。会社の秘密をばらすとかではなく、労働条件についてソーシャルメディアで文句を言うのは禁止してはいけないらしい。)

  • カナダよ、照射牛肉はどう?

Beach Beat: Oh Canada, what’s the beef with irradiated beef?
By Coral Beach | August 23, 2016
http://www.foodsafetynews.com/2016/08/beach-beat-oh-canada-whats-the-beef-with-irradiated-beef/#.V70tVtMkpaQ
カナダでは牛挽肉に放射線照射を認めるべきかどうかについての意見募集があと10日でおわる。ヘルスカナダがこの点で意見を募集したのは二回目で、2002年には一般からの意見のバックラッシュにあって挽肉と冷凍肉に照射を認める計画を諦めている。2002年の状況は「人々は単純にそれが嫌いだった」。ヘルスカナダの2002年の提案には1700の意見が寄せられほとんどの反対は「照射食品への誤解と照射の科学と安全性をとりまく不信であった」
9月1日に締め切られる現在の意見募集について、ヘルスカナダは何の情報も提供していない。家族経営の農家からなる全国農業者組合は照射は大規模農業者の望むものだとして反対している。また照射により安全管理をしなくなる、失業する、等と主張している。
労働問題や家族経営はともかく照射は食品の安全性の問題である。そしてヘルスカナダは明確にイエスと答えなければならない。挽肉の照射は食品安全ツールの一つとして加えられるべきである。
2008年に加工肉のリステリア汚染、2012年には大腸菌汚染による大規模回収があった。
米国では既に照射挽肉が使われている。

  • 英国肥満計画は砂糖を攻撃−しかしヨーグルトと乳飲料の砂糖を計算するのは難しい

UK obesity plan attacks sugar- but calculating sugar in yogurt and dairy beverages is tough
By Jim Cornall 23-Aug-2016
http://www.dairyreporter.com/Regulation-Safety/UK-obesity-plan-Calculating-sugar-in-yogurt-and-beverages-is-tough
肥満報告書によると政府は子どもが最もよく食べる製品から砂糖を排除するために。広範で構造的な砂糖削減計画を開始する。現在の砂糖税には乳製品は除外されているが一部の風味つきミルクは炭酸飲料並の砂糖が含まれる。現時点で乳製品が対象外でもやがて対象になる可能性はある。
ヨーグルトやジュースには天然の糖が含まれる。英国の食品表示では糖は単純に糖で、添加されたかどうかは関係ない。米国では添加された糖が表示される。どちらにも賛否はある。