食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • 新しい研究は、がんは発達するのに条件の「パーフェクトストーム」が必要であることを明らかにする

New research reveals cancers need a 'perfect storm' of conditions to develop
25-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/cru-nrr082416.php
Cellに発表されたCancer Research UKの科学者の研究。
がんは幹細胞から始まる可能性が高いが、がんになるにはDNAの間違いが積み重なって修復機能に傷害や綻びが必要。これらのDNAの間違いは幹細胞が複製されるときにランダムに生じ年齢とともに増える傾向がある。またタバコや紫外線のような環境要因でもおこる。
異なる臓器でのがんのはじまりを見つけるため、研究者らはマウスの特定細胞の追跡のため蛍光色素を使い、各種がんとの関連があるDNAの間違いを導入した。
重要なことはDNAの間違いだけではがんになるのに十分ではないことを発見したことである。休眠中の幹細胞にDNAの間違いを導入してもがんにはならない。一方たくさんの損傷に晒されている臓器−例えば大腸−の活発に複製する幹細胞にDNAの間違いを導入するとがんになり始める。
(いつものインフォグラフィクスあり。そんなにびっくりするような発見ではないけれど実験で確認したところが偉い)

  • これをかみ締めて:我々の肉がどう育てられたかについての信念が味に影響する

Chew on this: How we believe our meat is raised can influence how it tastes
24-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/nu-cot082416.php
同じ肉に違う説明をつけて食べてもらう実験。人道的な農場で育てられた動物の肉だと説明した場合より工場のような農場で育てられたと説明した場合の方が味や風味が劣ると評価された。PLOS ONE
(とても大事に育てた動物を食べるなんてかわいそう、とはならないのか)

Ecological consequences of amphetamine pollution in urban streams
25-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/cioe-eco081816.php
Environmental Science & Technologyに発表されたボルチモアでの研究。

  • しっかり包まれた糞がロブスターが怪我無くクラゲの毒針を食べることを可能にする

Well-wrapped feces allow lobsters to eat jellyfish stingers without injury
25-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/hu-wfa082316.php
ロブスターの幼生はクラゲに乗ってそれを生きたまま食べながら海を漂う。広島大学のKaori Wakabayashi博士らはロブスターに毒クラゲの毒のある触手のみを食べさせ新鮮な糞を顕微鏡で観察したところ、毒針が何層もの膜で堅く包まれていることを発見した。
広大の各種サイトへリンク

  • バイオ燃料は多くの人が考えるほど「グリーン」ではない

Biofuels not as 'green' as many think
25-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/s-bna082516.php
Climatic Changeに発表された米国での石油をバイオ燃料に変えたことによる環境影響の評価の結果、実際のところ二酸化炭素の排出量が増えたという解析。

  • 過フッ素化化合物がアフリカのワニ(クロコダイル)、アメリカのワニ(アリゲータ)から検出された

Perfluorinated compounds found in African crocodiles, American alligators
25-Aug-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-08/nios-pcf082516.php
ChemosphereとEnvironmental Toxicology and Chemistry

  • 市販作物の収量が米国有機農業の強みと弱みを明らかにする

Commercial Crop Yields Reveal Strengths and Weaknesses for Organic Agriculture in the United States
Kniss AR, Savage SD, Jabbour R (2016) PLoS ONE 11(8): e0161673. doi:10.1371/journal.pone.0161673 http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0161673
米国では過去20年有機農業のための農地は一貫して増加していて、世界の他の地域でもそうである。有機農業への主な批判は収量の低さである。これまでの有機農業の収量の低さについての解析は主に実験条件での結果をもとにしているがそれは必ずしも実態を反映していない。この解析では1万人以上の有機農家の80万ヘクタール以上の有機栽培農地で集めた収量のデータに基づく。これまでの研究同様、有機作物の収量は慣行栽培より少ない。全ての作物平均で有機の収量は慣行栽培の80%であった。しかし作物によって差がないものや有機のほうが多い一部の干し草まである。同じ作物でも場所により違う。
(農業なんて土地と作物によってベストプラクティスは多様だろうに、何故ヨーロッパの一部の人たちの信仰をもとにした有機の規格にあわせようと思うのか謎。)