食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • 科学と政治を結びつける

The science–policy interface
Peter Gluckman(ニュージーランドの首相への主任科学アドバイザーで政府の科学アドバイザー国際ネットワークの会長)
Science 02 Sep 2016:Vol. 353, Issue 6303, pp. 969
公共政策を作る際に科学が効果的に役割を果たすことを確保するにはどうすればよいか?今月ブリュッセルで科学者と政策決定者が政府の科学アドバイザー国際ネットワーク(INGSA)フォーラムでもっとも良い方法を検討するため招集される。
科学者はしばしば根拠が政策に影響しないことに困惑する。気候変動の根拠は何年も蓄積されてきたのに政治は反応が遅い。公衆衛生コミュニティは肥満への有効な対策がほとんど採用されないことにいらいらしている。しかし政策決定者もまた科学者の問題同定能力や研究をタイムリーで採用可能な解決法として文脈に沿って提示する能力のなさにいらいらしている。しばしば忘れられているのは政策決定は面倒である、ということである。科学的入力は多くの入力のうちの一つでしかない。
(いろいろ略)
科学的根拠を政策決定の役に立てるのは簡単ではなく必ずできることでもないが、我々の関与はかつてなく重要になっている。

  • 南アジアの地下水の60%は飲めない

Scienceニュース
Sixty percent of south Asia’s groundwater is undrinkable
Aug. 31, 2016
http://www.sciencemag.org/news/sifter/60-south-asia-s-groundwater-undrinkable
Nature Geoscienceに発表された研究で、23%は塩が多すぎ、37%はヒ素濃度が高い

  • 委員会:スウェーデンの病院は「スター外科医」を雇うべきではなかった

Panel: Swedish hospital should never have hired 'star surgeon'
By Gretchen VogelSep. 1, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/09/panel-swedish-hospital-should-never-have-hired-star-surgeon
カロリンスカ大学病院とカロリンスカ研究所は201年にPaolo Macchiariniを雇ったとき、警告信号を無視した、独立した委員会が今週結論した。この調査はMacchiariniを巡る研究不正スキャンダルのために行われた。Macchiariniの人工気管は3人の患者に移植され2人が死亡3人目は移植されてからずっと入院中。「Macchiariniのの移植はカロリンスカ大学病院だけでなく、スウェーデン全体の臨床研究にダメージを与えた」と委員会は言う。
病院がMacchiariniを雇ったのは一般的人気が根拠で独自の情報収集をしなかった。採用後も監視者はいなかった。病院とMacchiariniは手術は臨床研究ではなく他に選択肢のない患者の命を救うためのものなので倫理的レビューは必要ないと主張したが委員会は患者は命に関わるような状態ではなく手術には倫理的レビューが必要だったと言う。
(この事件は不正行為が指摘されてからの研究所側の対応もかなりひどいので「スウェーデン全体にダメージを与えた」)

  • トロピカルオイルについて知っておくべきこと

What to Know About Tropical Oils
by Berkeley Wellness | September 01, 2016
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/nutrition/article/what-know-about-tropical-oils
トロピカルオイルはかつて加工食品に好まれた。パーム油やココナツ油は安定でクリーミーなテクスチャーがあり食品製造業者にとって好ましい性質があった。しかし1980年代後半から、血中コレステロール濃度を上げることと関連する飽和脂肪が多いとして好ましいものではなくなった。当時の解決法は部分水素添加植物油に交換することだった。部分水素添加植物油は加工食品に広く使われるようになり、やがてそれに含まれるトランス脂肪がトロピカルオイルより心臓に悪いということが発見される。
最近は?一部の業者は部分水素添加植物油より健康的だと宣伝してトロピカルオイルに回帰している。最近いろいろなものに増えているのを見ているだろう。これは賢明な動きなのだろうか?
研究は不足しよくわからない
一部の実験室での研究ではパーム油は飽和度が高いが人体では血中コレステロールに対して不飽和脂肪酸のように振る舞うかもしれないことを示唆している。しかし根拠は矛盾し臨床試験は少なく規模が小さい。一方で集団研究ではパーム油摂取と心疾患の関連は一貫して示されてはいない。実際のところ英語の雑誌にはヒト試験があまりにも少ない。
ココナツオイルについてはさらに少ない。Lipidに発表された一つの研究では毎日1オンスのココナツオイルを12週間摂取した女性にコレステロールの望ましくない変化はみられなかった。スリランカポリネシアの人々はココナツオイルをたくさん食べるがコレステロールは低い傾向がある。しかしココナツオイルが多くのウェブサイトで宣伝されているような免疫強化や消化改善、ヘルペスHIV治療、心疾患や関節炎やその他慢性疾患予防などの効果があるという根拠はない。
トロピカルオイルを分解する
全ての脂肪は飽和と不飽和脂肪酸の混合物である。トロピカルオイルの脂肪酸のほとんどは飽和脂肪だが全ての飽和脂肪が有害なわけではない。
我々の助言:トロピカルオイルが危険だとした初期の研究には欠陥があった。しかしコレステロールへの影響が完全に理解できたわけではないのでまだ食べすぎには気をつけるべきである。これらの油を多く含むスナックはカロリーが高く栄養に乏しい傾向がある。時々料理に使って風味を楽しむことはできるが、我々は日常的にはキャノーラやオリーブや大豆や紅花油を使うことを薦める。
パーム油の種類(果実部分由来のパーム油とパーム核油)について解説有り

  • Roger Tsien−生物学を照らした男

Natureニュース
Roger Tsien – the man who illuminated biology
Daniel Cressey 01 September 2016
http://www.nature.com/news/roger-tsien-the-man-who-illuminated-biology-1.20532
8月24日64才で死亡。
2008年ノーベル化学賞GFP
彼の蛍光色素の成果である写真を掲載

  • DEAの突然の「ハーブのヘロイン」禁止はKratomコミュニティの強い抵抗を呼ぶ

DEA’s Sudden ‘Herbal Heroin’ Ban Triggers Stiff Resistance from Kratom Community
Sept. 1, 2016,
http://www.usnews.com/news/articles/2016-09-01/deas-sudden-herbal-heroin-ban-triggers-stiff-resistance-from-kratom-community
火曜日に麻薬取締局がKratomを規制対象薬物にすると発表したことについてアメリカKratom協会などはデモや訴訟を計画。

  • ジカの蚊はアナナスの中で繁殖した可能性がある、フロリダ当局が言う

Zika Mosquitoes May Have Bred in Bromeliads, Florida Officials Say
Sep 1 2016,
http://www.nbcnews.com/storyline/zika-virus-outbreak/zika-mosquitoes-may-have-bred-bromeliads-florida-officials-say-n641726
フロリダの保健担当者が木曜日にマイアミビーチ地域で捕まえた蚊からジカウイルスを発見したと言い、人気のある熱帯植物アナナス類(に貯まる水)が原因ではないかと言う

  • B.C.市の警察は20分間に9例の過剰使用にはフェンタニルが関与していると信じる

Police in B.C. city believe fentanyl involved in 9 overdoses in 20 minutes
Thursday, September 1, 2016
http://www.ctvnews.ca/health/police-in-b-c-city-believe-fentanyl-involved-in-9-overdoses-in-20-minutes-1.3055019
誰も死ななかったのが奇跡だ、とブリティッシュコロンビアの警察署長は言う。木曜日の朝、Lower Mainland市の4ヶ所からほぼ同時に救急要請があった。救急隊はナロキソンを使い一人は心停止から蘇生した。

  • B.C.でキノコ中毒増加

Mushroom poisonings on the rise in B.C.
Thursday, September 1, 2016
http://vancouver.24hrs.ca/2016/09/01/mushroom-poisonings-on-the-rise-in-bc
中毒情報センターが今年は例年の2倍の電話があると警告。雨の多い天候が原因と考えられる